中国 中国決済

日本人でも使える「UnionPay(銀聨/ユニオンペイ)」

クレジットカードがあまり流通していない中国において、一般に「クレジットカード」と呼ばれるものは、銀行のキャッシュカードとデビットカードを兼用した「銀聯カード(UnionPay/ユニオンペイ)」だ。与信審査システムが未構築の中国では、VisaやMastercardなど国際ブランドのクレジットカードを持てる人は限られている。かといって、中国には現金以外の決済方法を大いに必要とする社会的背景がある。それらの課題を一気にクリアした「銀聯カード」について解説する。

目次

銀聯カードとは?

日本で流通しているクレジットカードはVisa、Mastercard、JCB、アメックスなどだが、中国で「クレジットカード」といえば、たいていは銀聯カードを指す。中国国内の主要銀行で発行するほとんどのキャッシュカードには、銀聯カードのサービスを付帯するためだ。ただし「クレジットカード」とは言っても、実際にはデビットカードとして機能している。

銀聯カード運営元の中国銀聯(China UnionPay)は、2002年に上海で設立された。中央銀行である中国人民銀行が主導して設立した同社が、全国各行をまとめる電子決済ネットワークを敷いたのである。こうして、銀聯カードは国内各地で電子決済やキャッシングに利用されるようになった。

中国銀聯が発表したデータによると、2017年時点で銀聯カードの発行枚数は66.9億枚に上る。168の国や地域で使用でき、国内外合わせて加盟店は5000万店、加盟ATMは260万台を数えている。なお、国外で使用する場合は1~2%の外貨両替手数料減免が受けられる他、税金の払い戻しも銀聯カードを通して手続きできる。

日本国内の加盟店は大手百貨店や主要空港、家電量販店やドラッグストアチェーン、一部ホテルや飲食店など67万店、加盟ATMは7万台にのぼる。さらに、三井住友カードと三菱UFJニコスで銀聯カードを発行することもできる。いずれも「ショッピング専用クレジットカード」との位置づけでキャッシングやカードローンには対応しておらず、支払いも一括払いのみとなっている。

銀聯カードが普及した社会的背景

前述したように、中国でクレジットカードをつくることは簡単ではない。勤務先の発行する証明書が必要になるため、会社員以外の人にはハードルが高いのだ。

しかし、中国では偽造紙幣が大量に流通していることから、現金以外で信用できる決済方法を長らく必要としていた。さらに、現在発行されている紙幣の最高額が100元(約1600円)のため、高額な買い物を現金で支払うとなると不便が生じる。

また、中国から海外へ持ち出せる現金は2万元までに制限されている。近年の中国は「爆買い」現象に象徴される海外旅行ブームに湧いているが、もし現金しか使えないなら「爆買い」と呼べる規模の買い物はできなかっただろう。

こうした背景から生まれた銀聯カードは、中国人のショッピングを安心で便利なものに変えたのだ。

銀聯カードの特徴

無審査の即日発行

国内のほとんどの銀行で、口座開設の手続きをしてキャッシュカードを発行してもらうだけで、銀聯カードは手に入る。クレジットカードのような審査はない。日本人なら現地での口座開設に必要なのはパスポートと長期滞在ビザ、電話番号のみだ。

手続きが終わるとカードは即日発行され、口座に入金すればデビットカードとしてすぐに使える。クレジットカードではないのでポイントは貯まらないが、中国のほぼすべてのお店やサービスで使えるというのはやはり便利だ。

決済と口座引き落としが同時

クレジットカードと違い、決済と同時に口座からお金が引き落とされる。つまり、預金残高以上は利用できない。

海外で現地通貨を引き出せる

海外で現金が必要な時は、現地通貨で引き出せるので便利だ。

銀聯カードを使う際の注意点

利用限度額

銀聯カードは利用限度額があらかじめ決められている。この限度額は発行元の銀行によって異なるため、注意が必要だ。詳しくは以下の表にまとめた。

 

1回の限度額 1日(1カ月)の限度額
工商銀行 5万元 5万元
農業銀行 5万元 10万元
中国銀行 5,000元 5,000元
建設銀行 1万元 5万元/月
交通銀行 2万元 2万元
招商銀行 5,000元 5,000元

(2018年8月時点)
参照元: http://online.unionpay.com/static/help/detail_38.html

また、中国では2016年12月以降、銀行で発行するデビットカードは3種類に分かれており、1類、2類、3類の区分がある。この内、2類は1日の入出額合計が1万元以内、3類は5000元以内と制限されている。

海外での引き出し限度額

不正な引き出しを防止するため、国外では引き出し額が定められており、1日1万元相当までとなっている。

モバイル決済に押されるも、まだまだ強い銀聯カード

現在ではモバイル決済のAliPayやWeChatPayが急激に台頭し、銀聯カードの存在感はやや薄れた。しかし、国外で現地通貨を引き出せることなどからやはり利便性は高い。

中国ではレンタカーなどのサービスを利用する時や、ホテルに宿泊する時にデポジットを払わなければならない。銀聯カードを使うと、口座残高の一部が一定期間凍結されることでデポジット(中国では預授権と呼ばれる)を支払ったとみなされる。こうしたデポジットの支払い方法は今のところ、AlipayやWeChatPayではカバーしていない。

国際ブランドとなりつつある銀聯カードは、中国や日本以外の各国で使用できるため、海外出張が多い人や頻繁に海外渡航する人は持っておくと便利だ。

日本で銀聯(UnionPay)カードを作ってみよう!

中国で主に流通している銀聯カードだが、中国出張を控えている方や、中国旅行でショッピングに利用する方などのために、日本で銀聯カードを作る方法がある。例えば、三井住友カードが銀聯カードの発行を行っている。

三井住友カードが発行する銀聯カードは、三井住友銀聯カードとANA銀聯カードの2種類があり、高校生を除く18歳以上なら発行する事ができる。(※ANA銀聯カードは、ANA VISA/マスターカード、ANA VISA Suicaカード、ANA TOP&ClubQ PASMO マスターカードの所有者に限る)

利用枠は10万円から80万円となっており、ショッピング専用となっている。更新時に手数料がかかるものの、新規入会手数料は無料だ。また、年会費が0円というのも魅力だろう。
このカードで買い物をすると、1,000円利用ごとに1ポイントのワールドプレゼントが付与され、ポイントは商品や電子マネーに交換する事ができる。

日本人でも安心して利用できる銀聯カードは、コールセンターが日本語対応となっており、上海にあるコールセンターにいつでも電話する事ができる。出張時や中国旅行の際に1枚は持っておくべきカードと言えるだろう。

便利な銀聯(UnionPay)カード!日本での使い方。使えるお店は?

日本でも幅広く使える銀聯カード。UnionPayマークのあるお店なら、限度額の範囲内で利用できる。以下に挙げる店舗は銀聯カードが使えるお店の例だ。一部の店舗のみで使えるチェーンもあるので、参考までに。

 

百貨店 ドラッグストア 家電 アパレル グルメ ホテル等 ショッピングセンター 空港 ネットショッピング
京王百貨店 コクミン エディオン ビームス かごの屋 京王プラザホテル デックス東京ビーチ(※一部対象外店舗あり) 関西国際空港 Amazon
近鉄百貨店 JR九州ドラッグイレブン コジマ BAPE STORE かに道楽 ザ・ペニンシュラ東京 東急ハンズ 成田国際空港
大丸 マツモトキヨシ ソフマップ 洋服の青山 かっぱ寿司 帝国ホテル 東急プラザ 羽田空港国際線ターミナル
松坂屋 ファミリーマート ビックカメラ がんこフードサービス 阪急阪神ホテルズ なんばCITY 福岡空港ビルディング
阪急百貨店 上新電機 グリルみその ホテルオークラ東京 福岡デューティーフリー
阪急メンズ ヤマダ電機 札幌かに本家 ホテルニューオータニ ラオックス
阪神百貨店 ヨドバシカメラ すたみな太郎 海遊館
マサニ電気 叙々苑 天保山マーケットプレース

(2018年8月時点)
参照元: https://www.smbc-card.com/camp/kokunai/index.html

日本と上海に窓口がある三井住友カードの銀聯(UnionPay)

三井住友カードが発行する銀聯カードは、日本と上海にカスタマーセンターがあり、中国からでも電話をかけられる。紛失や利用方法などの問い合わせが日本語でできるのは心強い。

三井住友カードの銀聯カードは台湾や香港の他、韓国やタイ、シンガポールなどでも利用でき、ホテルの優待などもある。東南アジアを旅行する際にも便利なカードだ。

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