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支付宝(Alipay/アリペイ)の国際事業&世界戦略を解説

支付宝(Alipay/アリペイ)が春節に日本に本格上陸!

ローソンが2017年1月24日から全国の約1万3000の店舗で、阿里巴巴(Alibaba)集団のモバイル決済サービスである支付宝(Alipay/アリペイ)を導入するニュースが伝えられ、日本国内では支付宝(Alipay/アリペイ)の国際化の動向が注目を集めています。タクシー大手の日本交通も1月27日から東京エリアに配車されている約3500台の車両で、支付宝(Alipay/アリペイ)での料金支払いに対応します。その他にも中国人に人気のある[無印良品]も全国288店で支付宝(Alipay/アリペイ)を導入しています。また、福岡市では春節(旧正月)シーズンにあわせ、支付宝(Alipay/アリペイ)を活用した地域連携の実証実験を行なうことになっています。自治体と支付宝(Alipay/アリペイ)の提携はこれが初で、福岡市内の新天町商店街や川端商店街といった地元の商店街の約40店舗で支付宝(Alipay/アリペイ)の決済ができます。このように、2017年の春節を節目として日本国内で支付宝(Alipay/アリペイ)が使える店舗がこれまでの4000店ほどから一挙に約2万店にまで増加します。この支付宝(Alipay/アリペイ)の国際化について考えてみたいと思います。

中国国内では支付宝(Alipay/アリペイ)と微信支付(WeChat Pay)との対決の構図

中国のITサービス業界では百度(Baidu/バイドゥ)、阿里巴巴(Alibaba/アリババ)集団、腾讯(Tencent/テンセント)、新浪(Sina/シナ)の「BATS」と呼ばれる4大企業が中国のIT分野での成長を牽引しているのですが、その中でも特に阿里巴巴(Alibaba/アリババ)集団と腾讯(Tencent/テンセント)との競争が激化しています。腾讯(Tencent/テンセント)の京東(JD.com)がこれまで阿里巴巴(Alibaba/アリババ)集団がほぼ独占していた中国国内のECの個人顧客市場のシェアを侵食し始めていて、2016年に腾讯(Tencent/テンセント)が京東(JD.com)の筆頭株主になり、これによって,阿里巴巴(Alibaba/アリババ)系列のモバイル決済手段の支付宝(Alipay/アリペイ)と腾讯(Tencent/テンセント)系列のモバイル決済手段である微信支付(WeChat Pay)という対決の構図がよりいっそう鮮明になってきています。どちらもモバイル決済の主導権を握ることでEC分野での競争を有利に進めたいという思惑があります。

阿里巴巴(Alibaba/アリババ)集団の抱える二つの課題

中国のEC分野の巨人、阿里巴巴(Alibaba/アリババ)集団にも弱点があり、課題を抱えています。その課題とは、売上高の多くを中国国内、特に天猫(T-mall)と淘宝(タオバオ)に依存している「内弁慶」状態の解消と、微信支付(WeChat Pay)を武器に急速に追い上げてきている腾讯(Tencent/テンセント)との競争に勝利しなければならないことです。この課題を解決するために新たに注力するのが「海外市場」と「新規事業」の開拓なのです。阿里巴巴(Alibaba/アリババ)集団はここにきて、支付宝(Alipay/アリペイ)を運営する傘下の螞蟻金服(アント・フィナンシャル)に経営資源を投入する動きが目立ってきています。どうやら、この動きは阿里巴巴(Alibaba/アリババ)集団の抱える2つの課題を解決するための布石だと見ることができそうです。

海外市場の開拓は

経済成長率の鈍化が顕在化した中国では、「BATS」は市場を海外に求め、国外への投資や進出をどんどん進めています。まず最初にターゲットとなったのが韓国です。そして成長市場である東南アジアへの進出も着々と進んでいます。阿里巴巴(Alibaba/アリババ)集団は2016年4月にタイやインドネシアなど東南アジアでネット通販事業を手掛けるラザダを10億ドル(約1015億円)で買収しました。2016年11月にはタイ最大財閥、チャロン・ポカパン(CP)グループと電子決済分野での提携を行っています。華人が多いタイは中国、韓国に次いで支付宝(Alipay/アリペイ)が使われていて、CPグループがタイで展開するセブン-イレブン約9000店では支付宝(Alipay/アリペイ)が既に導入されています。香港では、螞蟻金服(アント・フィナンシャル)の香港法人が香港金融管理局から第三者決済事業の営業許可証を取得しました。香港には2016年7月末現在で、支付宝(Alipay/アリペイ)に対応するオフラインの実店舗が6000店近くあるのですが、営業許可証を取得したことで支付宝(Alipay/アリペイ)の事業開拓ペースはさらに加速するでしょう。支付宝(Alipay/アリペイ)を他の新興国に広げるためにインド企業に出資したり、ロシアの銀行大手と提携したりもしています。ヨーロッパへの進出もドイツの金融テクノロジー会社であるワイヤーカード(Wirecard)との提携を足がかりに着々と進めています。

支付宝(Alipay/アリペイ)の利用者を20億人に

支付宝(Alipay/アリペイ)の海外戦略は、まず増大を続ける海外への中国人観光客のニーズに対応するために、現地で支付宝(Alipay/アリペイ)を普及させ、消費者の「電子の財布」を握ってしまうことで顧客を囲い込み、天猫(T-mall)への出店や集客に誘導し、各国の現地企業と提携して現地で電子マネーサービスを立ち上げるという流れになっています。今後5年から10年で螞蟻金服(アント・フィナンシャル)は支付宝(Alipay/アリペイ)の利用者数を20億人にすることを目標に掲げています。螞蟻金服(アント・フィナンシャル)が支付宝(Alipay/アリペイ)をモバイル決済の世界的なデファクトスタンダードに育て上げ、世界規模の確固たる事業基盤の構築を目指していることがうかがえます。

新規事業としての金融サービス

一連の目ざましいほどの勢いで進む支付宝(Alipay/アリペイ)の国際化がその先に見据えているのは、金融サービスを阿里巴巴(Alibaba/アリババ)集団の新規事業の柱に据えることだと思われます。今後も阿里巴巴(Alibaba/アリババ)集団の事業の中核がEC事業であるのは間違いありませんが、それを支えながら引っ張るのが、2017年から2019年にかけては金融サービス、2019年から2021年にかけてはYunOS(雲OS)とクラウドサービス、さらに2021年から2014年にかけては物流サービスとする構想があるようです。駅伝に例えれば、阿里巴巴(Alibaba/アリババ)集団の傘下の企業が3年間を1区間として、たすきをつなぎながら交代で中核事業のEC事業とともに阿里巴巴(Alibaba/アリババ)集団を牽引するというものです。この構想では2017年から始まる3年間では金融サービスがグループを牽引していくことになっています。

螞蟻金服(アント・フィナンシャル)から目が離せない

螞蟻金服(アント・フィナンシャル)自体の知名度は支付宝(Alipay/アリペイ)や阿里巴巴(Alibaba/アリババ)集団の影に隠れてしまい、それほど高くはありません。しかし、この螞蟻金服(アント・フィナンシャル)の動きから目を離せません。支付宝(Alipay/アリペイ)を金融サービスを流通させるためのプラットホームにして、4億5000万人を超える顧客に対し、資産運用・保険から信用調査・消費者ローンに至るさまざまな金融サービスを提供できる体制が整っています。支付宝(Alipay/アリペイ)の国際化を通じて金融サービスも国際展開していこうというのが螞蟻金服(アント・フィナンシャル)の長期的な目標でしょう。ECを通じて日々消費者のデータを取得し、毎年数百億件に達する取り引きを問題なく処理できるクラウドコンピューティングとビッグデータを有することが螞蟻金服(アント・フィナンシャル)の強みです。しかし、現在の価値評価には保険や信用度サービス、クラウドコンピューティングといった事業は含まれていないとも言われています。ブロックチェーンやAI(人工知能)技術を支付宝(Alipay/アリペイ)に取り入れることも検討されていると言われ、その実力や資産を投資家や金融業界から正しく評価してもらうということは、目前に控えていると噂される新規株式公開(IPO)にとっては非常に重要であり、螞蟻金服(アント・フィナンシャル)にとっても喫緊の課題のはずです。百度(Baidu /バイドゥ)や腾讯(Tencent/テンセント)も支付宝(Alipay/アリペイ)の国際化を手をこまねいて見ているはずはなく、これに対抗すべく対策を打ち出してくることが予想されます。また海外進出によってApple、Google、LINEとの衝突も避けられません。モバイル決済の主導権争いは舞台を地球規模に拡大しながら、ますます白熱化していくことでしょう。

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