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支付宝の国際事業&世界戦略を解説

2017年春節に日本に本格上陸した支付宝

2017年1月24日、ローソンが全国の約1万3000の店舗で、阿里巴巴(アリババ)集団のモバイル決済サービスである支付宝(アリペイ)を導入するニュースが伝えられ、日本国内では支付宝の国際化の動向が注目を集めている。
(出典:https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/012300548/)

タクシー大手の日本交通も、2017年1月27日から東京エリアに配車されている約3500台の車両で、支付宝での料金支払いに対応した。そのほか、中国人に人気のある無印良品も全国288店で支付宝を導入している。
(出典:https://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ24HNI_U7A120C1TI5000/
https://ryohin-keikaku.jp/news/2017_0118.html)

福岡市では2017年、春節(旧正月)シーズンにあわせ、支付宝を活用した地域連携の実証実験が行われた。自治体と支付宝の提携はこれが初で、福岡市内の新天町商店街や川端商店街といった地元の商店街の約40店舗で支付宝の決済ができる。
(出典:https://www.travelvoice.jp/20170117-81379)

このように、2017年の春節を節目として日本国内で支付宝が使える店舗がこれまでの4000店ほどから一挙に2万店まで増加した。この支付宝の国際化について考えたい。

中国国内では支付宝と微信支付(ウィチャットペイ)との対決の構図

中国のITサービス業界では百度(バイドゥ)、阿里巴巴集団、腾讯(テンセント)、新浪(シナ)の「BATS」と呼ばれる4大企業が中国のIT分野での成長を牽引しているが、その中でも特に阿里巴巴集団と腾讯との競争が激化している。

中国国内のECの個人顧客市場のシェアはこれまで阿里巴巴集団がほぼ独占していたが、近年腾讯と協力関係にある京東(ジンドン)がシェアの獲得を始めている。2016年に、腾讯は京東の筆頭株主になった。

これによって、阿里巴巴系列のモバイル決済手段の支付宝対腾讯系列のモバイル決済手段である微信支付という対決の構図がよりいっそう鮮明になってきたのだ。どちらもモバイル決済の主導権を握ることでEC分野での競争を有利に進めたいという思惑がある。

阿里巴巴集団の抱える二つの課題

中国ECの巨人、阿里巴巴集団にも弱点があり、課題を抱えている。阿里巴巴は売上高の多くを中国国内、特に天猫(Tモール)と淘宝(タオバオ)に依存している。この状態を解消することが課題だ。これに加えて、微信支付を武器に急速に追い上げてきている腾讯との競争に勝たなければならない。

この課題を解決するために新たに注力するのが「海外市場」と「新規事業」の開拓だ。阿里巴巴集団はここにきて、支付宝を運営する螞蟻金服(アント・フィナンシャル)に経営資源を投入する動きが目立ってきている。この動きは阿里巴巴集団の抱える2つの課題を解決するための布石だと見ることができる。

海外市場の開拓は

経済成長率の鈍化が顕在化した中国で、「BATS」は市場を海外に求め、国外への投資や進出を進めている。最初にターゲットとなったのが韓国だ。そして、後にターゲットとなったのが成長市場の東南アジアである。

阿里巴巴集団は2016年4月、タイやインドネシアなど東南アジアでネット通販事業を手掛けるラザダを10億ドル(約1000億円)で買収した。また、2016年11月にはタイ最大の財閥、チャロン・ポカパン(CP)グループと電子決済分野での提携を行っている。
(出典:https://www.nikkei.com/article/DGXLZO1929715026072017FFE000/
https://www.nikkei.com/article/DGXLZO09061890R01C16A1FFE000/)

華人が多いタイは中国、韓国に次いで支付宝が利用されていて、CPグループがタイで展開するセブン-イレブン約9000店では支付宝が既に導入されている。香港では、螞蟻金服の香港法人が香港金融管理局から第三者決済事業の営業許可証を取得した。
(出典:https://ameblo.jp/karurosu2013/entry-12217988418.html)

香港には2016年7月末現在で、支付宝に対応するオフラインの実店舗が1万店近くあるが、営業許可証を取得したことで支付宝の事業開拓ペースはさらに加速するだろう。すでに香港でのアカウント数は100万を超えている。
(出典:https://www.digima-news.com/20180314_32771)

支付宝は他の新興国に事業を広げるためにインドの企業に出資したり、ロシアの銀行大手と提携したりもしている。ヨーロッパへの進出についても、ドイツの金融テクノロジー会社であるWirecard(ワイヤーカード)との提携を足がかりに着々と進めている。
(出典: https://www.prnasia.com/story/181254-1.shtml)

支付宝の利用者を20億人に

支付宝の海外戦略は、まず増大を続ける海外への中国人観光客のニーズに対応するために、現地で支付宝を普及させることだ。消費者の「電子ウォレット」を握ってしまうことで顧客を囲い込み、天猫への出店や集客に誘導し、各国の現地企業と提携して現地で電子マネーサービスを立ち上げることもできる。

今後5年から10年で螞蟻金服は支付宝の利用者数を20億人にすることを目標に掲げている。螞蟻金服は支付宝をモバイル決済の世界的なスタンダードに育て上げたいと考えている。世界規模の事業基盤の構築を目指しているのだ。

新規事業としての金融サービス

めざましいほどの勢いで進む支付宝の国際化だが、阿里巴巴が国際化の先に目指しているのは、金融サービスを阿里巴巴集団の新規事業の柱に据えることだと思われる。今後も阿里巴巴集団の事業の中核がEC事業であるのは間違いないが、それを支えるのが阿里巴巴の金融サービスとなるだろう。

2019年から2021年にかけてはYunOS(雲OS)とクラウドサービス、さらに2021年から2024年にかけては物流サービスを発展させるという構想があるようだ。3年を周期として新しい事業を開拓していくのが阿里巴巴の戦略である。この構想では、2017年から3年間で、金融サービスが阿里巴巴グループを牽引していくことになっている。

螞蟻金服から目が離せない

螞蟻金服自体の名は支付宝や阿里巴巴集団の影に隠れてしまい、あまり知られていない。しかし、この螞蟻金服の動きからは目を離せない。

螞蟻金服は支付宝を金融サービスのプラットホームにすることにより、4億5000万人を超えるユーザーに対し、資産運用、保険、信用調査、消費者ローンに至るまで、さまざまな金融サービスを提供しようとしている。

支付宝の国際化を通じて金融サービスも国際展開していこうというのが螞蟻金服の長期的な目標なのだ。ECを通じて日々消費者のデータを取得できるだけでなく、毎年数百億件に達する取引を問題なく処理できるクラウドコンピューティングがある。

また、ビッグデータを有することも螞蟻金服の強みだ。ブロックチェーンやAI(人工知能)技術を支付宝に取り入れることも検討されているといわれている。その実力や資産を投資家や金融業界から正しく評価してもらうことは、新規株式公開(IPO)を控えている螞蟻金服にとっては非常に重要だろう。
(出典:https://www.nikkei.com/article/DGKKZO31562790Y8A600C1EA6000/)

百度や腾讯も支付宝の国際化をだまって見ているはずはなく、これに対抗すべく対策を打ち出してくることが予想される。また海外進出によってApple、Google、LINEとの衝突も避けられない。モバイル決済の主導権争いは舞台を世界規模に拡大しながら、ますます白熱化していくだろう。

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