先日アリババ集団が訪日中国人客の急増を機に整備された「アリペイ対応店舗網」を生かして同じ仕組みの日本人向けスマホ決済サービスも始めると発表しました。中国ではQRコードの普及とともにスマホ決済が急速発展してその割合が全体の約6割を占めており、露店などの小規模店でも普及が進んでいますが、現金支払いの割合が多い日本ではキャッシュレス決済比率が約2割にとどまっています。キャッシュレス先進国“中国”と現金主義国“日本”のスマホ決済事情にスポットを当ててみます。

QRコード決済の仕組み

中国では上海を中心に、北京など大都市では2年ほど前からQRコード使ったスマホ決済、特に「アリペイ」「ウィーチャットペイ」の利用が急速に進んでいます。前者はアリババのオンライン決済、後者はチャットアプリ「ウィーチャット」での個人間送金を中心に発展した仕組みですが、QRコードを使った店舗決済機能が展開され始めると、大小さまざまな小売店での利用が広まりました。スマホの普及と通信インフラ整備が大きく進んだことに合わせてQRコードの普及がスマホ決済の急速発展に大きく寄与しています。QRコード決済では2つの支払いパターンがあり、店舗がタブレット等の専用装置で表示したQRコードを買い物客がスマホのアプリを使ってカメラで読み取ることで支払いを行う方法と、その逆で買い物客がスマホ上に表示したQRコードを店舗の専用装置に読み取らせて支払いを行う方法の2種類です。前者の場合はQRコードを表示する際に金額を入力しておくことで、その金額がQRコードを読み取った相手のアカウントへと転送されます。つまり、買い物客と店舗の2つのアカウントの間の送金で支払いが行われるわけです。ここで表示されたQRコードは一定時間のみ有効にすることでセキュリティを確保しているのです。また店舗が印刷したQRコードのみを表示しておき、利用者側が金額を入力して支払いを行うパターンもあり、この決済完了画面を店員に見せることで支払いが完了したことを伝えて商品を受け取る仕組みです。

深圳市に視るスマホ決済が日常となった世界

深圳(シンセン)市は香港の新界と接し、北京市、上海市、広州市と共に中国本土の4大都市と称される経済特区に指定されており、2004年に日本のつくば市と姉妹都市提携を結んでいます。深圳市の街中では早朝に朝ご飯を購入すべく食堂や露店に行列を作っている人々がスマホを片手にアプリを操作して支払い準備を行っている姿を見かけます、決済準備を進めておけばあとは自分の番がきたときにスムースに商品を受け取れるからなのです。またこの方式のメリットとして、店員が現金に触れたりする必要がなく、画面を確認するだけで支払いが完了する点が挙げられます。商品は作り置きのものだけでなく、客によって麺やご飯の上に好みのトッピングを行うようなものもあり、その場合、店員はずっとキッチンで料理を行っているわけで店舗のルーティンワークから考えてもメリットが大きいというわけです。一方で、セブンイレブンやKFCのような比較的大きなチェーン店ではQRコードを読み取るための赤外線リーダーをPOSレジに接続してあることが多く、小さな店舗でも読み取り装置を設置しているケースがあります。こうしたQRコード決済は自販機のほか、スターバックスなどの外資系企業、さらには日本食レストランなど、2017年の深圳市では「ほとんど」といっていいほどの場所でスマホ決済が利用可能になっています。銀聯カードが非接触ICカードやスマホでの利用をにらんで“QuickPass”のインフラを広域展開させるべく苦労していたのを横目に、QRコード決済はそれを上回る勢いで普及が進んでいるのです。

現金が飛び交っていた電脳街でもQRコード決済

日本の秋葉原をはるかに凌ぐ深圳市の電脳街は4年前には買い物客で熱気溢れる店舗では膨大な現金が飛び交っていました。深圳市の電脳街の店舗は固定店舗以外に、半年などの短い期間だけ存在する出張店舗のような店を構える問屋も少なくありません。ここには世界中からアクセサリやデバイスなどの製品を仕入れにバイヤーがやってきて店頭で大量の仕入れを行うこともあるため、多額の現金が動いていたのです。今では現金の利用も可能ですがどの店もカウンターにQRコードを掲示しており、スマホでの決済が可能になっています。店舗によってはQRコードを掲示していないこともありますが、おそらくはQRコードを印刷した紙を内側に隠しており、客が求めれば利用できるようになっていると考えられます。ここ最近ではアリペイがシェアを獲得すべく積極的なマーケティングを展開しており、電脳街ビルの多くでは入り口付近にアリペイのシールが貼ってありその存在をアピールしています。ウィーチャットペイというライバルの存在がアリペイの動きに拍車をかけていることも想像に難しくありません。競争がいい形で作用してQRコード決済の普及に結びついているのが現在の中国なのでしょうか。

日本の新サービス「1カ月分後払いのスマホ決済 “アトネ”」

日本政府は訪日外国人の利便性向上などを目的にキャッシュレス決済比率を10年後に約4割まで引き上げる目標を成長戦略に盛り込んでおり、現在ではすでに「コイニー」や「楽天ペイ」をはじめ10社以上がスマホ決済サービスを展開しています。そんな中でこの度、15年間インターネット通販サイトの決済代行「NP後払い」を提供してきた“株式会社ネットプロテクションズ”が「1カ月分の買い物代金を後払いにできる」新しいスマホ決済サービス「atone(アトネ)」を始めました。“クレジットカードを持たない人”でも簡単な会員登録で当面の上限利用額が月額5万円までスマホ決済できる新サービスで、「審査不要の新たな決済手段」として利用の拡大を目指します。利用客が加盟するネット通販会社などで使った1カ月分の買い物代金をまとめてネットプロテクションズがアトネの利用者に請求する仕組みで、利用者が不払いの場合も同社が全額立て替えて加盟店に入金します。当面はコンビニでの支払いのみですが、今年度中には口座振替にも対応するとのこと。年収や勤務先などを記載する書類審査はなく、専用サイトに氏名・住所・電話番号などの基本情報を登録すれば、加盟しているネット通販サイトでアトネの決済サービスを使うことができるのです。収入が安定せずにクレジットカードが作れないものの、ネットで買い物をするために決済サービスを使いたい消費者のニーズを開拓するといいます。一方で、使いすぎを抑制するために専用アプリから購入履歴をリアルタイムで確認できる機能を設けるほか、1カ月の利用上限は新規登録時は5万円ですが口座振替を使うときに別途登録すれば月10万円までの利用が可能になります。

「NTTドコモ」もQRコード決済に新規参入

NTTドコモは従来型携帯電話時代から電子マネー「iD」の展開を進めていましたが、このたびQRコード読み取りによるスマホ決済サービスを今年度中にローソンなどで始めるとのことです。毎月の携帯電話料金と合算して決済代金を支払う仕組みのため、前述のアトネと同様にクレジットカードは不要でドコモの「dポイント」を支払いに充てることもできるといいます。ドコモはQRコード決済の導入費用負担の少なさを武器にベンチャー各社などと提携して「iD」が浸透していない地方の小規模店舗にもQRコード決済を普及させていく考えだといいます。このようにクレジットカードやデビットカードを持っていなくてもスマホ決済が可能なサービスは今後増えていくのでしょうか。

冒頭にあげた中国と日本のキャッシュレス決済比率の差は何でしょうか。その背景には偽札の存在が浮かび上がります、中国ではATMから偽札が出てくることもあるといい、中国と日本の現金に対する信用度の違いが現れているのではないでしょうか。そして、マネーロンダリング、脱税、収賄などの犯罪行為に高額紙幣が利用されているとして日本の一万円札のような高額紙幣は無くせという声が海外から聞こえており、現金主義が根付いていた日本でしたが、キャッシュレス化が進むとともに高額紙幣が廃止となり財布から福沢諭吉が消える日はそう遠くはないかもしれません。

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