インバウンド

台湾発の電動バイクシェアサービスが日本上陸

電動バイクと言うと「テレビ東京」の旅バラエティー番組「出川哲朗の充電させてもらえませんか?」でお馴染みですが、その電動バイクのシェアリングサービスが日本上陸です。

目次

電動バイクとは

電動バイクは電動スクーターとも呼ばれ、自家用車のEV化同様にエンジンをモーターに置き換えたEVバイクです。公道を走るには番組を見てのとおりヘルメット着用で普通の50ccクラスの原動機付自転車と同じで運転免許証が必要です。日本のヤマハ、ホンダ、スズキなど海外メーカーを含めると約30社が販売しており、普通のバイクで言う原付1種・原付2種・軽二輪クラスの種類があり、当然それに応じた運転免許証が必要となります。価格は10数万円~50万円位ですが、高価なものではBMWの軽二輪で150万円位のものもあります。また、航続距離はフル充電で小型のものは30~50Km位で、BMWなど大型のものでは160Kmというのもあります。

台湾の電動バイク企業「Gogoro」

Gogoro(ゴゴロ)社は台湾・桃園市に本社を置くベンチャー企業で、設立は2011年で、台湾では2015年より電動バイク「Gogo1」と、装備を少し落とした「Gogo2」を相次いで発売し、バッテリー交換を含む扱いやすさや車体のデザインなどが評価されて、電動バイクとしては異例の累計3万4,000台以上を販売しました。台湾で成功した背景にあるのがゴーステーション(GoStation)と呼ばれるユニークなバッテリー交換ステーションの設置です。電動で走る以上はどこかで充電する必要に迫られますが、登録ユーザーはこのステーションで使用済みのバッテリーを返却することで充電済みのバッテリーと交換でき、つまり、台湾では購入するのは車体だけで、バッテリーは基本的に定額制でシェアリングして使うことを前提としています。このステーションは台湾全土に約400カ所用意されており、交換する作業も専用アプリで表示されるQRコードを読み込ませるだけで、充電済みバッテリーがステーションから自動的にポップアップされ、ユーザーはまずシートを跳ねあげて、メットインスペースの前にあるバッテリーを引き出しますそれを取り出して充電済みバッテリーを車体に収めます。この作業に要する時間は最短6秒で済むといい、この簡便さが支持される大きな要素だったと言えるでしょう。そして、ドイツのベルリンとフランスのパリで、独自動車部品大手ロバート・ボッシュ傘下のスタートアップ「COUP(クープ)」との協力で、車体の販売はせずに電動バイクのシェアリングサービスとしてそれぞれ2016年と2017年にかけてシェアリング事業をスタートしました。ベルリンでは当初200台で、今年1,000台に拡大し、パリでは600台を展開しているとのこと。

沖縄県石垣島でシェアリングサービス

Gogoro社が住友商事とパートナーシップを締結して、今年度中にも沖縄県石垣島でパリやベルリンと同様のサービスをスタートします。サービス名称は「GoShare」で、石垣島でパイロット展開を行ない、2018年には他の都市などにも広げる予定だといいます。搭載している2本のバッテリーで100kmは走れるそうで、ベルリンやパリのシェアリングサービスでは今のところ専門スタッフが停車中の電動バイクの場所を巡回してバッテリー交換をしているとのことですが、日本では台湾と同様にエリア内に複数の充電ステーションを用意し、24時間いつでもライダーが自由に交換できるサービスとしてとりかかるとのことです。ハンドル中央には大きなディスプレイがあって、スピード、時間、走れる距離、バッテリーの充電状況がひと目でわかるようになっており、枠が5分割された2つのバッテリーインジケーターのうち、1枠だけが光っている状態で残り10kmは走れるとのことで、石垣島では20km圏内に充電ステーションを配置するといいます。充電ステーションの場所や空車状態の電動バイクもアプリで検索することができ、シェアサイクルみたいに乗り捨て自由です。料金などの詳細な情報はまだ煮詰められておりません。

なぜ石垣島なのか?

「なぜ石垣島なのか?」という疑問も湧きます。発表によると、石垣島は観光客の増加に伴いレンタカーの駐車場確保が難しい状況となり、さらにはレンタカー増加による排気ガスによる島内環境の悪化も懸念材料となっているといい、電動バイクであれば、それらの問題を解決する手段となり得るとのことです。gogoroの普及を担う住友商事は、その石垣市が目指す「新たな価値の創造による“持続可能な発展”を目指した島づくり」をサポートする一環としてgogoroの車両とステーションを活用する提携を市と結んだといいます。さらにもう一つ背景にあるのが急増する台湾からの観光客への対応で、台湾の人たちにとってgogoroの電動バイクのは既に馴染みのあるものとなっており、これが石垣島にあれば観光客の目にとまり一定数の利用者は得られるはずというわけです。石垣市との提携による補助事業としての優遇も受けられ、ここで事業をまず成功させることを優先し、その上で日本国内へ広げていこうという考えだといいます。展望としてはインバウンドを見込んで、荷物配送サービスと連携して観光周遊ルートへの展開も見込めますが、先ずは石垣島でのパイロット展開で課題の抽出と改善を行い、より良いサービスへ発展することを期待します。

日本でのシェア拡大は見込めるのか?

運転免許証に関しては、日本人なら50ccタイプなら普通免許か原付免許で、125ccタイプなら小型二輪免許で運転はできますが、訪日客数No.1の中国人はジュネーブ条約に非加盟のため国際免許がありません、なのでいま大人気の訪日旅行客向け「公道カート観光アクティビティ“マリカー”」やレンタカーも利用できません。当然ながらこの電動バイクも訪日中国人の利用は望めないのです。そして、もう一つ課題となりそうなのが、二輪車ということで乗車時にはヘルメットやグローブの着用が必要となってきますが、汗・臭いなど肌に密着するだけにシェアリングサービスでこれを行うには衛生面での懸念も出てくる可能性も考えられ、その点をどうクリアするかが問題です。住友商事は「利用者がスマートフォンでステーションに訪れることが分かった時点で有人配置をする必要がある。利用者の利便性を損なわない方法を検討中で、そのためのコストなども踏まえて料金設定を考えたい」としています。石垣島はパイロット展開とのことですが、日本各地へのシェア拡大となると、利用を促す料金設定もカギを握りますが、充電ステーションなどの設備投資や事故に備えた保険・有人配置等の運用コストも含めてシェアリングサービスに適した料金設定は出来るのでしょうか。今後の展開を見守りましょう。

政府観光局(JNTO)のデータによると2020年の東京オリンピックに向けて、年々訪日外国人の増加基調が見込まれており、訪日外国人客がこうしたシェアリングサービスを利用するものと予測されますが、自転車シェアリングの「Mobike」と「ofo」の日本参入(両社は合併協議中)
など地元日本人による利用も視野に入れたシェアリングエコノミー市場の開拓が本格化しつつあります。

情報参照元:
Emaerging media Response (https://response.jp/)

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