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訪日中国人観光客のマナーは向上している

訪日中国人観光客の急増にともない「中国人はマナーが悪い」との声が聞かれるようになり、全国的にその印象が染み付いていた。しかし、いつまでもそうではないようだ。中国人観光客のマナー問題について近年の動向をレポートする。

中国からみた中国人観光客のマナー

2017年7月10日の人民網(人民日報社のニュースサイト)では「中国人観光客の海外での評価が向上した」とするレポートを取り上げられ、訪日ツアーを担当するガイドの声が紹介された。

「中国新媒体発展報告2017」という名称のレポートは中国社会科学院新聞伝播研究所と社会科学文献出版社が発表したもので、「中国人の被調査者の8割以上が自分の海外旅行でのマナーに満足している」といい、海外の被調査者の間でも「5年前に比べて中国人観光客のマナーは向上した」との認識が強まっているとの内容が記載されている。

そして観光客のマナー向上を最も感じ取れる職業の一つとしてガイドの仕事を紹介しており、10年以上旅行業務に従事していて、主に訪日ツアーを担当してきたあるガイドは以下のように述べる。

「中国人観光客の印象はここ数年で明らかに変わった。以前の訪日ツアーではごみのポイ捨てや喫煙場所について何度注意してもマナー違反がたびたび起こっていた。しかし、近年は出発前に自ら旅行中の注意事項を尋ねる客が増えていて、ルールを守ろうという意識を持っている。自分としても国が作成した訪日旅行マニュアルを喜んで配布している」

と語ったようだ。中国が中国人の海外でのマナーの悪さを認知して「訪日旅行マニュアル」を作成するなどの対策に乗り出しており、それとともに観光客もマナー向上の意識を持っているということだ。

在日中国人の目線

日本に慣れ親しんだ在日中国人の方は訪日中国人観光客をどう見ているのだろうか。福建省出身の中国人男性を夫に持つ女性のコラム記事の一部では、このような経験談が取り上げられた。

この女性は、中国人の夫とある飲食店で食事をしていた。店内には中国人観光客がたくさんいて、店が混んでいるのに食べ終わってもいつまでも居座っており、他の客がいるのに遠慮せず周囲の写真を撮ったりしていた。すると夫がすっと立ち上がって写真を撮っていた中国人観光客の方へ行き、中国語で「写真、撮らないでくれる?」と言ったそうだ。

日本人の女性としては信じられない気持ちでいっぱいだったが、夫は堂々と中国人旅行客の前で不快感を表したというのだ。「喧嘩になるのではないか…」とハラハラしていたが、夫に注意された中国人たちは「うん、分かった」とあっさり写真撮影を止めたそうだ。

席に戻った夫は「ああいう人たちがいるから中国人旅行者はマナーが悪いって言われるんだ」とブツブツ言っていたが、まさか本人たちに直接言うとはびっくりで、しかも言われた方もあっさりと聞き従ったことがなにより驚きだったようだ。

同じ中国人でも日本に慣れ親しんだ中国人は日本人目線で見ており、同国人のマナー不足を恥じるかのように、責任感から中国人観光客に注意を促したのだろう。この女性の「まさか本人たちに直接言うとはびっくり」という言葉に表れているように、日本人は見て見ぬふりをする場面でも、中国人はハッキリとものを言うという場合もあるのだ。

中国人観光客が中国人に(中国語で)注意されたことで、これは良くないことだと理解したからこそ素直に従ったのであり、日本人が黙って他人目線で睨みつけても何も変わらないのかもしれなない。

中国人はお互いに言いたいことはハッキリ言う気質なので、何も言われなければ何も問題は無いと解釈している場合もある。何も注意を促さず黙って見ている方も改善の余地があるのかもしれない。

向上する中国人旅行客のマナー

近年、10か国を対象にオンラインでアンケートがとられた。中国人旅行客のマナーに関するもので。アンケート対象となったのは以下の国だ。

米国・英国・フランス・日本・韓国・タイシンガポール・インドネシア・香港・台湾

特に以上の国の内インドネシア、フランス、シンガポール、英国、米国の5か国は、「中国人旅行客のマナーが向上した」と感じている人が多いということだ。

このレポートから分かったのは、中国人旅行客のマナーは多くの国において、5年前と比べて改善されているということだ。それぞれの国がメディアによって観光客の非文明行為(マナー違反)を取り上げることによって、どういった行為が外国人に悪い印象を与えるのかが浮き彫りにされたことが理由として考えられる。

こういったマナー違反のブラックリストを公表することは一定の効果があるようだ。というのも、調査対象者の74%がこのブラックリストの存在を認識しており、このブラックリスト化を支持すると答えた人は93%に達したからである。

また、非文明行為を公表することは効果があると考えた人は58%に達した。中国人の多くはマナー問題を認識しており、自ら現地のルールに従おうという気持ちを持っているのだ。

中国のメディアやSNSでも中国人のマナー違反がしばしば題材とされることがあり、インターネットの発達により、中国国民全体がそれを認知するようにもなっているのだ。

マナー問題とは結局何なのか

日本国内の社会問題となってしまった中国人観光客のマナー問題についてある中国人ジャーナリストは、国と文化、特に経済発展の違いによるものが大きいと分析している。経済発展の違いは文化の違いをもたらしてきたようだ。

国柄の違いについて言えば、例えば中国人は公共の場所などで大声で話すことが習慣となっている。これは、国土が狭く密集している日本に住む人の習慣とは異なる。日本人は抑揚の少ない日本語を用い、公共の場所で小声で話すことは、場合によっては良い事だという概念があるからだ。

お金を払う前に開封してしまう習慣は、偽物がまかり通る中国ではその昔一般的な行為だったという可能性もある。これは、経済発展の差異が多少なりとも関係しているかもしれない。こういった背景を考えると、マナー違反の背後にある理由が分かる。

中国人観光客に特に人気がある観光スポット、銀座では、「外国人向けガイドブック」なるものを作成し、配布する取り組みが行われている。食べながら歩かない、列には並ぶなど、マナーの基本的なことが書かれているのだ。

郷に入っては郷に従えという中国の故事成語にもあるように、中国の人たちは郷に従おうとガイドブックを熟読し、マナー向上に努めているのだ。現在では地方の旅館経営者でも中国人旅行客のマナーが向上してきたと感じるまでになっている。

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