中国 中国SNS

中国のBiliBili動画は何がすごいのか?

日本の代表的な動画共有サイト「ニコニコ動画」。海外発の動画共有系プラットフォーム「YouTube」や「Facebook」も人気だ。しかし、これらは中国では見られないばかりかURLを開くこともできないが、中国にはそれに代わるものがある。それが、中国で大人気のbilibili(略称:B站)だ。イメージキャラクターのbilibili娘(ビリビリニャン)姉妹は「22娘」が姉で、「33娘」が妹という設定だ。

目次

bilibiliとは

嗶哩嗶哩(ビリビリ)は中国の代表的な動画共有サービスだ。「中国版ニコニコ動画」とも言われ、「ニコニコ動画」が開発した「弾幕」と呼ばれる「リアルタイムで“弾丸コメント”を打ち込み、ユーザー同士が会話できる」機能を持つ。それが他の動画サイトにはない特徴となっている。

「弾幕」はbilibiliで人気のある機能で、ユーザーがコメントを書くとそれがリアルタイムに動画の画面全体に表示される。「bilibili弹幕網」と称され、このコメント機能が若い層を中心としてヒットした。中には共感できる言葉が動画鑑賞中に流れてきたりして、思わず笑ってしまうこともある。

bilibiliの運営法人は「上海幻電信息科技有限公司(Shanghai Hode Information Technology Co.)」だ。元々は動画共有サイト「AcFun弹幕视频网(略称:A站)」の会員“⑨bishi”さんが2009年6月26日に設立したファンサイトであり、当初の名前は「Mikufans」だったが、2010年1月24日に名前を「bilibili」に変更した。

過去には他のサイトからの転載もあって、著作権法に違反した不正な物が流通されるという問題も見受けられた。ユーザーインターフェースは中国語のみだが、日本の番組と提携して正式コンテンツとして配信することもある。また、日本のアニメ系イベントに出展することもある。さらに、2014年より中国国内向けに日本アニメのライセンスを正式に取得して、公式配信しているのだ。
(出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/bilibili
https://www.winxdvd.com/blog/easy-bilibili-japanese-version-guide.htm)

bilibili動画の一場面

公式配信とクラウドファンディング

ニコニコ動画やその他の配信サービスと同じように、毎週決まった時刻に新しいエピソードが配信される。また、動画配信サービスを開始した後に「新番組寄付計画」も開始している。これはライセンス購入時の費用を負担するbilibili運営に対し任意で寄付をするというもので、一種のクラウドファンディングと言えるだろう。

ライセンスを取得したコンテンツには、動画の画面右上に「bilibili正版、独播」という透かし(ニコニコ動画でいう“ニコニコチャンネル”透かし)が入り、これらのほとんどは中国国内からのみ閲覧が可能となっている。
(出典:http://dic.nicovideo.jp/a/%E3%83%93%E3%83%AA%E3%83%93%E3%83%AA%E5%8B%95%E7%94%BB)

アップロード動画のチェック

一般会員の動画アップロードについて、アップロードされた動画は、bilibili運営独自のチェックが数十分にわたって行われる。ここで他者の権利を侵害しているものや、暴力、ポルノ、政府への批判などの内容を含むもの、また、内容にそぐわないタグが付いているものは公開拒否となる。

また、この時には詳細なカテゴリ設定もbilibili運営側で行われる。チェックの完了後は自動で「標準解像度」「高解像度」「最大解像度」の画質に変換されるようになっている。国家の要求によりbilibili動画内容の健全性を図るため、風紀委員会なるものが組織されており、この風紀委員会には2018年の段階で3.6万人もの人員が集まっている。
(出典:http://www.tic-web.co.jp/column/bilibili%E5%8B%95%E7%94%BB%E3%81%8C%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%81%AE%E3%80%8C%E4%BA%8C%E6%AC%A1%E5%85%83%E7%B5%8C%E6%B8%88%E3%80%8D%E3%82%92%E3%82%B0%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%93%E3%82%B8/
http://tech.sina.com.cn/roll/2018-07-27/doc-ihfvkitx4498247.shtml)

風紀を正すための取り組み

bilibiliでは風紀を正すために、小黒屋という機能が備わっている。風紀を乱す書き込みや動画投稿などがあった場合は、アカウントが小黒屋に入ることになる。ここではユーザー矯正のため、100問テストを受けなければならない。それでも違反が続く場合は、最終的にアカウント停止処分を受けることになる。
(出典:http://acg.gamersky.com/news/201702/872074.shtml)

bilibiliのここがすごい

<若者が殺到するbilibiliのコンサート>

人気のあるbilibiliユーザーは毎年会社が企画する年次コンサート、bilibili Macro Link(BML)に選出されて出演する。上海万博跡地にある最大1万8千人収容の「メルセデスベンツアリーナ」が大勢の若者たちで埋め尽くされるのだ。

そこには化学発光棒(グロースティック)を持って、光の海の中ではじける1万人以上の若者たちの姿があり、日本のフェスさながらの光景が広がる。2017年は7月22日「BILIBILI MACRO LINK -STAR PHASE × Anisong World Matsuri」と、7月21~23日「BILIBILI WORLD」が開催され、日本の女性声優・歌手・女優の“三森 すずこ”さんと、男性5人組アイドル“DearDream”が出演した。

2018年には、「BILIBILI MACRO LINK -STAR PHASE × Anisong World Matsuri 2018」が、同じメルセデスベンツアリーナで開催され、鈴木このみやELISAなどが出演した。
(出典:https://bang-dream.com/events/bmlsp2018
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%83%AB%E3%82%BB%E3%83%87%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%84%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%8A)

熾烈な競争の業界で健闘

熾烈な競争となっている中国のビデオストリーミング業界は、高額なライセンス取引にも対応できるテンセントやバイドゥのような大手企業が支配しており、結果的に著作権で保護された製品の買い取り合戦になっている。

ライブストリーミングが本格化して、ユーザー提供型の動画プラットフォーム市場の競争も激化する中、bilibiliの取り組み方は独特で、幾つもの競争の波を巧みに切り抜けてきている。その結果多くの支持者を獲得し、現在全世界で1億5000万人ほどのユーザーがいる。bilibiliは今や、アメリカのPinterestに匹敵するプラットフォームとなっているのだ。bilibiliが成長した理由のひとつには、ファンの文化を巧みに利用した事が挙げられる。
(出典:https://www.omnicoreagency.com/pinterest-statistics/)

bilibiliのイベントには主流ブランドも注目

bilibiliの年次イベントではKFC、ナイキ(Nike)、メイベリン(Maybelline)といった主流ブランドが目立ったブースを開設する。これらのプロモーションも、イベントに集まる若年層の中国人がターゲットとなっているのだ。

中国政府による規制

2017年6月に中国政府が「サイバースペースの健全化」を目的とした、ある規制を発布し、動画のライブストリーミングを主とするユーザー生成コンテンツが、新たに取り締まりの対象とされた。

規制命令は「インターネット視聴番組サービス管理規定」(SARFT※、情報産業省令第56号)で、これにより新浪微博 (Sina Weibo)、鳳凰 (Ifeng)、AcFunなどで配信される動画に規制がかけられた。bilibiliは名指しではないものの、AcFunは略称「A站」と呼ばれており、「B站」と略されるbilibiliも例外ではない。
※ SARFT:国家広播電影電視総局(略称;広電総局、中国のラジオ・映画・テレビなどのメディアを監督する国家機関)
(出典:http://www.360doc.com/content/18/0115/10/36365633_722048734.shtml)

国家によるインターネットコンテンツの取締は年々厳しさを増しており、2018年においてもbilibiliの立場は楽観視できない。特に、動画を風刺的に編集する行為に対しての警戒が強まっており、2018年3月22日に公開されたSARFTの通知にはその旨がはっきりと記載されている。
(出典:http://wemedia.ifeng.com/53452339/wemedia.shtml)

規制の厳しい中国市場に依存するのが危険と考えたのかは分からないが、bilibiliが2018年にNASDAQに上場したのはある意味では、必然的な選択なのかもしれない。bilibiliは当初、主にゲーム動画と日本のアニメが中心だった。しかし、現在では他のカテゴリも増えており、これはbilibiliが新たにユーザー層を拡大している結果と言えるだろう。

中国版ニコニコ動画として快進撃を続けるbilibili。日本の文化と上手く融合することによって多くの支持者を獲得している。こういった馬跳び型のプラットフォームがこれからどれくらいの期間存続するのかは分からない。しかし少なくともbilibiliは、IT世代の若者層をわしづかみにした動画サイトとして、今後も成長を続けそうだ。

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