中国 -中国SNS

微信(Wechat)が海外で静かなブーム

ユーザー数が1億人になるまでに14ヶ月、1億人から2億人までにはたった半年、2億人から3億人までは僅か4ヶ月で、そして今では間も無く4億人を突破する勢いです。これが微信(Wechat)です。中国の巨大ネット企業テンセントはスマホ向けに無料でSNSによるインスタントメッセンジャーを発表しました。どのようなチャネルや方法を使っていようといまいと関係なく、微信は中国国内で微信ブームを巻き起こし、第6のグローバルなインターネットプラットフォームになろうとしています。

それと同時に、海外でもテンセントは相当な規模で以下の宣伝を進めています。
『2011年4月,微信はWechatという英字名で、正式に国際市場へ参入し、同年10月より繁体字のインターフェースをサポートし、香港、マカオ、台湾、アメリカ、日本の5つの地域のユーザーの携帯電話番号とバインディング(紐付け)し、英語のインターフェースを追加しました。12月には世界100カ国でのショートメールアカウントの登録を実現しました。東南アジア地域では香港、台湾、シンガポール、マレーシア、タイ、ベトナム、インドネシア及びインドのアップルのAppStoreとGoogle Playのダウンロードランキングでそれぞれトップ20入りし、台湾では2つのランキングで同時に総合ランキング1位となりました。』

    報道によると、テンセントは以前に100万ドルで “wechat.com”のドメイン名を購入しました。これはつまり、微信が国際化への新しい一歩を踏み出したことを意味しています。インドは中国国外で最も微信が使用される第二の市場となっています。これは、インドのHead of Gaming and Communication for ibibo.comのRahul Razdan,氏の情報ですが、彼は詳細なデータは明らかにしていません。しかし、欧米市場は非常に苦戦が予想されます。それは、以前の国内のクリエイティブな制作物全てが所謂「バッタもの」であったためであり、現在、その創始者たる欧米市場へ挑戦するのは、明らかに困難であると思われます。しかし、信頼できるある情報によれば、微信は北米でチームを立ち上げたそうです。これはつまり北米市場の現地での運営が始まったこと、或いは微信の全面的な国際化がまさに今始まったことを暗示しているのかもしれません。

    非公式な情報によると、現在の微信の海外ユーザー数は1,000万人レベルに達しているとのことです。同様に中国で制作されたCamera360の2,000万人と言う海外ユーザーに比べると、微信の海外ユーザー数はそれほど驚くべき数字ではありません。しかし、微信は海外市場を国内市場というメインディッシュ後のデザートのように考えてはいません。それどころか彼らは海外事情を国内より豪華なメインディッシュと考えているのです。微信の国際化の展開を考えるときに、テンセントの取締役会のPony Ma(马化腾)主席は「成功するかしないか、そのチャンスは1度しかないのです」と述べています。Pony Ma氏がテンセントの国際化を微信に運命を託していることが明らかです。

    微信の国際化マップ

    筆者が日本の東京で仕事をしていた時、日本には既に約70万人の中国人がいました。当時から国際通信費用は高く、微信はすでに日本在住中国人と大陸との基本且つ重要な連絡ツールとなっていました。日本政府観光局によると、毎年来日する中国人は約100万人で、多くの日本の店舗には中国語のメニューがあり、中国語のお得な情報提供サービスなどもあります。日本企業も最近になって微信に注目し始め、微信の公式アカウントを利用し、各種サービスや集客に生かそうとする動きが出始めています。

    中国国内最大の微信のグループ「V5推推」は、頻繁に微信のセミナーを開き、企業や個人等と共にどのように微信を利用し、営業、自社メディア、サービス向上に生かすかを研究しています。3月22日、東京でも初めてと言える微信のセミナーが開かれました。このセミナーでは微信の発展の歴史、特徴、営業、運営プラン及び微信の未来の発展予測などが話題となり、中国市場へ関心を持つ企業に対して説明が行われました。

    東京での微信のセミナー

    参加した日本企業は広告代理店、投資企業、旅行会社、オンラインショッピングを業務とする企業や個人であり、いずれも中国市場業務の中心とする団体でした。その他、地方自治体の関係者もいました。日本の地方の観光担当部門は、微信を利用して日本に観光で訪れた中国人に対し、現地の観光名所や、名物、ショッピングなどの娯楽・消費情報をより便利に伝えたいと考えています。また、微信に通話サービスセンターを設置し、観光ガイドブックをより削減していきたいと考えています。このサービスを利用すると、例えば飛行機のフライト前や着陸後に微信で付近の免税店などを調べるサービスが利用できます。観光方面のアプリケーションにより観光客のエクスペリエンスが大幅に改善されます。

    微信は既に多言語で海外版をサポートしており、微信の公式アカウントにも海外版があります。その内容は中国版と少し異なります。例を挙げると、中国版には「カスタムメニュー」の機能がありますが、英語版の管理インターフェイスにはありません。中国版では、身分証の認証により使用が可能ですが、英語版の管理インターフェイスには必要ありません。

    海外版微信の公式プラットフォーム登録ページのスクリーンショット

    まさに今国際化を進めている微信にとって、海外市場は、国際化政策、各地域の慣習、競合他社など多くの問題とチャレンジに直面するでしょう。しかし楽観的に見れば、微信は確かに中国SNSの国際化の希望の星となりえます。微信が本当の国際化をなし得ることを信じていきたいと思います。

    [原文]

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