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中国の生鮮食品EC市場の成長と競争激化の現状
中国の生鮮(生鮮食品)EC市場は急速に拡大しています。iiMedia Research(*)のデータによると、2022年の市場規模は3,637.5億元(約77,500億円)に達し、2021年比で16.7%の増加を見せました。この成長の背景には、パンデミック時に消費者のオンラインでの生鮮食品購入の需要が急増し、同時に生鮮ECへの信頼度も高まったことがあります。消費者のロイヤリティも非常に高く、89.7%の消費者が週に1~4回購入を行い、81.7%の消費者が1回あたり50~200元(約1,060~4,260円)を費やしています。さらに、2026年には市場規模が6,302.0億元(約134,300億円)に達すると予測されています。このように、企業数は2017年の約3倍となり、業界競争が激化している中、ビジネスモデルの革新が進んでいます。その中に、中国の消費者が好む生鮮(生鮮食品)ECプラットフォームの上位3つは、小象买菜(シャオシャン マイツァイ)【原名:美团买菜(美団買菜・メイトゥアン マイツァイ)】、多多买菜(多多買菜・ドゥオドゥオ マイツァイ):、盒马鲜生(盒馬鮮生・フーマ シェンシェン)です。
地域密着型の生鮮食品EC市場:オンライン生鮮食品販売と地域型生鮮供給プラットフォームの違いと特徴
オンライン生鮮食品販売と地域型生鮮供給プラットフォームとは
最近、食材をオンラインで購入するサービスが急速に広がっています。オンラインで新鮮な食材を注文して自宅まで届けてもらう「オンライン生鮮食品販売(生鲜电商)」は、特に都市部で人気を集めています。これらのサービスでは、大規模な物流ネットワークを活用し、消費者は多様な食品をオンラインで注文することができます。代表的なプラットフォームには、例えば「盒马鲜生(盒馬鮮生・フーマ シェンシェン)」や「小象买菜(シャオシャン マイツァイ)」があります。
一方で、「地域型生鮮供給プラットフォーム(社区生鲜供应平台)」は、地域に特化した生鮮食品の供給サービスです。このタイプのプラットフォームは、地元の農家や小売業者が中心となり、新鮮な食材を消費者に直接提供します。地域社会のニーズに応じて、ローカルな食材やサービスを提供することを重視しています。
両者は、オンラインで新鮮な食材を供給する点では共通していますが、提供するサービスの範囲や運営の仕方に大きな違いがあります。オンライン生鮮食品販売は全国規模で展開しており、幅広い選択肢を提供しますが、地域型生鮮供給プラットフォームは、よりローカルに焦点を当て、地域密着型のサービスを提供しています。
両者の関係性は?
オンライン生鮮食品販売と地域型生鮮供給プラットフォームは、一見すると似たようなサービスに見えますが、そのアプローチやターゲットには大きな違いがあります。
オンライン生鮮食品販売は、広域的にサービスを提供することを目指しています。都市部を中心に、新鮮な食材を注文して自宅まで配送してもらうことができ、選べる商品も非常に多く、全国規模での配送が可能です。例えば、「盒马鲜生(盒馬鮮生・フーマ シェンシェン)」や「小象买菜(シャオシャン マイツァイ)」といったプラットフォームは、大都市に住む消費者にとって便利で手軽な選択肢です。
一方で、地域型生鮮供給プラットフォームは、特定の地域内で新鮮な食材を提供することに特化しています。こちらは、地元の農家や漁師、その他の生産者と密接に連携し、その地域で採れた新鮮な食材を消費者に直接届ける仕組みです。このモデルでは、地域ごとの特色に合わせた商品が提供され、消費者との信頼関係が築かれやすいというメリットがあります。
地域型生鮮供給プラットフォームの主なタイプ
地域型生鮮供給プラットフォームには、いくつかの異なるモデルがあります。それぞれがどのようなアプローチでサービスを提供しているのかを見てみましょう。
地元農家直販型
地元の農家や生産者と直接提携し、新鮮な農産物や地域特産品を提供するタイプです。消費者は新鮮な地元産品を手に入れることができ、農家側も安定した販路を得られます。このタイプでは、特に地域の特色を反映した商品ラインナップが特徴となります。
即日配送型(リアルタイム配送型)
注文後、数時間以内に新鮮な食材を届けることに特化したプラットフォームです。都市部でよく見られるモデルで、消費者は「今すぐに必要な食材」を手軽に手に入れることができます。これにより、急な買い物にも対応できる便利さが魅力です。
共同購入型
地元の住民がまとめて生鮮食品を購入し、配達費用を割り勘する仕組みです。これにより、消費者はお得に新鮮な食材を手に入れることができ、地域コミュニティとしての絆も深まります。
これらのプラットフォームは、地域密着型でありながらも、それぞれ異なる戦略や特徴を持っています。消費者にとっては、便利さや新鮮さを感じるだけでなく、地域経済の活性化にも貢献することができるのが魅力です。これから紹介する各プラットフォームは、どのように地域社会に新鮮な食材を提供し、迅速なサービスを実現しているのか、それぞれの特徴を見ていきましょう。
小象买菜(シャオシャン マイツァイ):前置倉庫モデル
モデル概要:
小象买菜(シャオシャン マイツァイ)は、ユーザーに最も近い場所に倉庫、仕分け、配送を一体化した拠点を設置し、配送チェーンを短縮することで、Eコマースの配送コストを削減するモデルです。このアプローチにより、消費者は非常に迅速に新鮮な食材を手に入れることができます。
展開都市:
一部および二部線都市が中心となっています。
カバー範囲:
配送エリアは1~3キロ圏内。
配送時間:
30分~1時間以内の即時配送が可能です。
その他の代表例:
同じモデルを採用しているサービスには、叮咚買菜(Dingdong Maicai)や每日優鮮(Meiri Youshen)などがあります。

多多买菜(多多買菜・ドゥオドゥオ マイツァイ):コミュニティグループ購入モデル
モデル概要:
多多买菜(多多買菜・ドゥオドゥオ マイツァイ)は、グループ購入プラットフォームを活用したモデルです。ここでは、製品供給チェーン、物流、アフターサポートを提供するだけでなく、グループリーダーがコミュニティ運営を担当します。ユーザーは、地域内のコミュニティで商品を受け取ることができ、グループ購入を通じて割引を享受できます。
展開都市:
主に二部、三部、四部、五部線都市で展開されています。
カバー範囲:
配送範囲は500メートル~1キロ圏内です。
配送時間:
1~2日ほどの配送時間がかかります。

盒马鲜生(盒馬鮮生・フーマ シェンシェン):店舗+宅配モデル(店内倉庫一体化)
モデル概要:
盒马鲜生(盒馬鮮生・フーマ シェンシェン)は、オンラインショッピングと店内での消費を組み合わせたモデルです。消費者は店舗内で商品を選びながら、オンラインで注文して即時配送を受けることができ、オンラインとオフラインの消費体験が一体化しています。店舗内に倉庫を併設し、効率的に商品の供給を行うことが特徴です。
展開都市:
一部および二部線都市で展開されています。
カバー範囲:
配送範囲は1~3キロ圏内です。
配送時間:
30分~1時間以内に配送されます。

京东到家(JD Daojia)、美团闪购(Meituan Flash Buy):O2Oプラットフォームモデル
モデル概要:
京东到家(JD Daojia)や美团闪购(Meituan Flash Buy)は、オフラインのスーパーマーケット、小売店、コンビニエンスストアなどと提携し、消費者に宅配サービスを提供するO2O(Online to Offline)プラットフォームモデルです。このモデルでは、消費者がオンラインで注文し、オフライン店舗から配送される仕組みです。
展開都市:
一部、二部、三部線都市を中心に展開されています。
カバー範囲:
配送範囲は1~3キロ圏内です。
配送時間:
1~2時間以内に配送されることが一般的です。
生鮮食品EC市場の展望
中国の生鮮食品EC市場は今後も成長を続けると予測されています。iiMedia Researchのデータによると、2026年には市場規模が6,302.0億元(約134,300億円)に達する見込みであり、この成長を支える要因として、消費者のオンライン購入への依存度の増加と、物流や配送技術の進化が挙げられます。また、ECプラットフォームは、より迅速な配送を実現し、地域密着型のサービスを強化することで、競争力を高めています。
さらに、予製菜(または予製菜肴)市場も注目されています。予製菜は、食品の工業化によって加工された半製品であり、消費者や飲食業者が簡単に加熱・調理できる形で提供されます。この分野は、特に都市部で人気が高まっており、主に一部および二部線都市を中心に需要が拡大しています。予製菜は、生鮮食品ECの一環として、さらに進化した製品ラインを提供し、消費者の利便性を向上させるための重要な要素となるでしょう。


