-中国進出

LABUBUが世界でバズるワケ|中国のPOP MARTが仕掛けた“新時代キャラビジネス”とは

「最近、このキャラクターよく見かけるけど、何者?」——
そんな疑問を持ったことはありませんか?ちょっと不思議で、ふわふわした毛並みに大きな耳、つぶらな瞳。まるで絵本から飛び出してきたような存在感を放つキャラクターの名前はLABUBU(ラブブ)

実はこのLABUBU、香港出身のアーティスト Kenny Wong(ケニー・ウォン)がデザインしたキャラクターで、彼が手がける「THE MONSTERS」シリーズの一員です。このシリーズを商品化・大衆展開したのが、中国発のトイブランドPOP MART(ポップマート)
つまり、**“香港のデザイン × 中国のマーケティング”**という組み合わせで、LABUBUは爆発的な人気を得ることになったのです。

近年、中国のZ世代を中心に熱狂的なファンを集めており、その人気は日本にもじわじわと広がりつつあります。さらには、アメリカやヨーロッパ、東南アジアでもコレクターズアイテムとして注目され、SNSを通じてグローバルに浸透し始めています。

なぜ今、LABUBUが世界中の若者の心をとらえているのでしょうか?
この記事では、LABUBUの正体やその魅力、流行の背景、そして時代を映すキャラクターとしての側面を、中国・日本・欧米それぞれの視点から丁寧に解説していきます。

LABUBUってどんなキャラ?

**LABUBU(ラブブ)**は、ちょっと奇妙でかわいらしい、独特なビジュアルが特徴のキャラクターです。ふわふわした体毛に長い耳、丸い瞳と大きな歯がトレードマーク。見方によってはモンスターのようでもあり、どこか愛嬌も感じさせるその姿は、一度見たら忘れられない存在感を放っています。

    このLABUBUは、香港の著名なアーティストKenny Wong(ケニー・ウォン)が手がける「THE MONSTERS」シリーズに登場するキャラクターの1つです。Kenny Wongは、アートトイやデザイナーズトイの世界で知られる存在で、「可愛いけどちょっと不気味」「子どもっぽいけどどこか哲学的」といった、“あいまいな感情”を呼び起こすキャラクター作りを得意としています。

    LABUBUはそうした彼の代表作のひとつであり、単体でもシリーズとしても展開され、特に中国本土で爆発的な人気を獲得しました。その商品化・量産・グローバル展開を担ったのが、**中国のトイブランド「POP MART(ポップマート)」**です。

    POP MARTとは?

    POP MARTは2000年代後半に中国・北京で設立された企業で、ブラインドボックス(中身が見えない福袋形式のフィギュア)のパイオニア的存在。LABUBUのような個性的なデザイナーズトイを数多く商品化し、**「芸術×商業」**を融合させる形で、若者文化の新しい潮流を作り上げてきました。

    LABUBUの魅力:言葉を超えるビジュアル

    LABUBUにはセリフもアニメもありません。ただそこに“存在”しているだけなのに、多くの人の心をとらえるのは、その表情やポーズ、背景ににじむストーリー性があるから。
    ときに笑っているように見え、ときに悲しんでいるようにも見える。その曖昧さが、見る人の感情や状況に自然に重なり、“自分だけの意味”を与えたくなる存在になっているのです。

    中国Z世代が夢中になる理由

    中国では近年、Z世代(1995年以降生まれ)の若者を中心に「かわいいけどクセがある」デザイナーズトイが大きなブームとなっています。その中心的存在が、まさにLABUBU(ラブブ)です。ではなぜ、LABUBUがここまで中国の若者に刺さったのでしょうか?そこには、感性・文化・社会の変化が複雑に絡み合っています。

    まず注目すべきは、「カワイイ」の再定義です。従来の「可愛い」は、ふんわり・無垢・安心感といったポジティブなイメージが中心でしたが、中国のZ世代はその枠を壊しつつあります。LABUBUの持つ、ちょっと不気味で奇妙なかわいさは、「甘すぎない」「人とは違う」を求める若者たちにピッタリとハマりました。

    とくに都市部では、「ちょっと闇を感じるキャラ」「完璧じゃないもの」にこそ個性を感じるという価値観が浸透しています。LABUBUはその象徴ともいえる存在です。

    また、POP MARTは「中身の見えない福袋形式=ブラインドボックス」を広めた立役者でもあります。どのLABUBUが出るか分からないワクワク感や、レアモデルが手に入るかもしれない期待感が、“開封のドキドキ”を演出し、SNSとの相性も抜群です。

    「今日は何が出た?」「これが欲しかったのに!」「友達と交換しよう」
    このような体験が日常的に小紅書やBilibiliなどのSNSでシェアされ、共感と競争、そして自己表現の場としても機能しています。

    さらに、LABUBUの新作は基本的に数量限定・期間限定・再販なしという販売戦略がとられています。「手に入れられなかったら二度と買えないかも」という希少性が、若者たちの“今しかない”という焦燥感と所有欲をかき立てます。コラボモデルやイベント限定版なども多く、ファン同士の情報戦や“争奪戦”が激化しています。

    こうしてブランドではなく、キャラクター単体に熱狂する構造が出来上がっているのです。

    最後に特筆すべきは、LABUBUにはセリフも性格設定もないという点です。無言で佇むその姿に、見る人は自分の感情を投影します。「今の自分の気持ちを代弁してくれているように見える」──そんな感覚が、日々多くの刺激を受けるZ世代の心に、癒しや安心感、そして自己確認のきっかけとして響いているのです。

    LABUBUは、ただのキャラクターではありません。感情とアイデンティティを映す鏡として、Z世代にとって特別な存在になっているのです。

    日本でもファン急増中

    中国で大ブームを巻き起こしたLABUBU(ラブブ)は、今や日本でもじわじわと存在感を高めています。もともとは中国発のキャラクターであるにもかかわらず、日本の若者やコレクターの間でも「かわいい」「クセになる」と話題を集め、都市部を中心にファンを急増させています。

    特に注目すべきは、東京・渋谷や原宿などにオープンしたPOP MARTの直営店舗。店内にはLABUBUをはじめとするPOP MARTキャラクターがずらりと並び、若者たちが列をなしてブラインドボックスを購入する姿が日常となっています。なかには「推しLABUBU」をSNSに投稿する人も多く、InstagramやTikTokでは「#ラブブ」「#POP MART開封」などのタグで多数の投稿が見られます。

    日本でLABUBUが受け入れられている理由は、そのデザインが**“今の日本のカワイイ感覚”にぴったり合っているから**です。日本では近年、キラキラ・甘々な「王道かわいい」だけでなく、「ちょっと闇を抱えたような、ひねりのある可愛さ」への支持が高まっています。例えばサンリオキャラの中でも、クロミやバッドばつ丸のような“ちょい毒”系が人気を集めているのと似た傾向です。

    また、LABUBUは男女問わず支持されている点も特徴的です。ぬいぐるみやフィギュアとして飾るだけでなく、「持ち歩きたい」「日常に溶け込ませたい」と思わせる不思議な存在感があり、アパレルや雑貨としても注目されています。

    さらに面白いのは、日本のファンの中にはLABUBUが中国キャラであることを知らない人も多いという点です。むしろ「ヨーロッパ発のデザイナーズトイかな?」と思っていたという声もあるほど、ビジュアル的に“グローバルな可愛さ”を備えているため、国籍への先入観がほとんどありません。

    LABUBUは、日本市場においても「中国キャラだから」というフィルターを超え、純粋にビジュアルと世界観でファンを増やし続けています。これこそが、グローバルに通用するIP(知的財産)の真価と言えるのかもしれません。

    アメリカ・ヨーロッパ・東南アジアでの人気拡大

    LABUBU(ラブブ)の人気は、中国や日本にとどまりません。近年では、アメリカ、フランス、タイ、マレーシアなど、アジアから欧米まで幅広い国と地域でファンを増やし、まさに“グローバルキャラクター”としての地位を築きつつあります。

    その背景にあるのが、POP MARTによる積極的な海外展開戦略です。同社は2020年代に入り、海外市場への進出を加速。現在ではアメリカ・ニューヨークやフランス・パリ、タイ・バンコクなどに直営店やポップアップを展開し、各国のデザイナーズトイファンに強烈なインパクトを与えています。

    特にアメリカでは、ブラインドボックス文化に対する抵抗が少なく、LABUBUのような“アートトイ寄り”のキャラクターがコレクター層に受け入れられやすい土壌があります。LABUBUは単なるおもちゃではなく、「デザインアート」「ライフスタイルグッズ」として捉えられており、セレクトショップや現代アートの文脈でも扱われることがあります。

    また、YouTubeやTikTokでは、英語圏・フランス語圏のインフルエンサーがLABUBUの開封動画やレビュー動画をアップしており、再生数が数十万回を超える例も珍しくありません。英語のコメント欄には、「こんなに不思議でかわいいキャラは初めて見た」「どこで買えるの?」といった声が多く、国境を超えて共感が広がっている様子がうかがえます。

    東南アジアでも、POP MARTの実店舗が次々とオープンし、マレーシアやシンガポールの若者を中心に人気が上昇中です。特にタイでは、LABUBUをテーマにした限定カフェが登場するなど、ファンカルチャーとの融合が進んでいます。

    このように、LABUBUは言語や文化の壁を越えて受け入れられる、“感覚的な可愛さ”と“コレクション性”を備えたキャラクターとして、世界中で愛され始めています。日本のキャラクター文化が長年築いてきた「グローバルIP」の地位に、中国発キャラクターが肉薄し始めている──その象徴とも言える現象かもしれません。

    POP MARTの快進撃──ラブブを生んだ会社の驚異的成長

    LABUBU(ラブブ)の人気は、ただの「キャラが可愛いから」だけでは説明しきれません。
    その背景には、このキャラクターを世界的ブームへと押し上げた中国発のアートトイブランド、**POP MART(ポップマート)**の存在があります。

    POP MARTは、2008年に北京で創業された企業で、ブラインドボックス形式のデザイナーズトイを主力商品とする新世代のトイブランドです。
    最初は雑貨店のような形でスタートしましたが、2016年頃から自社キャラクターIP(知的財産)に力を入れ、「Molly」「SKULLPANDA」「LABUBU」などが爆発的なヒットを記録。中国のZ世代を中心に一大カルチャーを築きました。

    最大の特徴は、中身が見えない“ブラインドボックス”方式
    この「何が出るかわからないワクワク感」と「コレクション欲を刺激する設計」が、SNS世代の若者たちに強烈に刺さり、開封動画や交換文化が瞬く間に拡大しました。

    この戦略は見事に功を奏し、POP MARTの業績は急成長。2023年には年間売上が約58億人民元(約1,200億円)に達し、そのうち自社IPによる製品が全体の50%以上を占めています。
    さらに、実店舗やポップアップショップに加えて、**自販機型の「ロボショップ」**を各地に数百台展開するなど、販売チャネルの多様化でも先行しています。

    そして今、世界中に広がるこのアートトイブームをビジネスとしてけん引しているのが、POP MARTの創業者でCEOの王寧(Wang Ning)氏です。
    38歳という若さで、中国でもっとも成功した若手起業家の1人とされています。

    米フォーブス誌の「リアルタイム長者番付」によると、2024年6月9日時点で王CEOの**個人資産は208億ドル(約3兆円)**に達し、中国国内で第10位、世界で101位の富豪となっています。
    2024年に入ってからのPOP MART株価の急騰が背景にあり、LABUBUをはじめとするキャラクタービジネスの成功が、まさに世界的な富を生み出していることがわかります。

    LABUBUは、“ちょっと変わっててかわいい”という新しい価値観を象徴する存在であると同時に、グローバルで通用するビジネスモデルとしても成功を収めたキャラクターなのです。

    終わりに

    LABUBU(ラブブ)は、ただの「かわいいキャラクター」ではありません。
    香港出身のアーティストが生み出した独特の世界観と、中国発のトイブランドPOP MARTによる巧みなマーケティング戦略が組み合わさることで、Z世代の心をつかみ、グローバルに愛される存在へと成長しました。

    中国本土では“共感”と“所有欲”を刺激するデザインと販売手法がZ世代を熱狂させ、日本では「ちょっと変わったかわいさ」が新鮮に受け入れられています。そして今、アメリカやヨーロッパ、東南アジアなどでもアートトイとして注目され、POP MART自体が世界市場で存在感を高めつつあります。

    その証拠に、POP MARTの創業者である王寧CEOは、38歳にして個人資産3兆円超を築き、中国トップ10の富豪にまで上り詰めました。
    キャラクターの魅力がここまで巨大な経済価値を生み出す時代――LABUBUは、そんな“新しいグローバルIP”の象徴と言えるでしょう。

    今後、LABUBUは単なる流行では終わらず、時代の感性を映すミラーとして、世界中で新しいファンを生み出し続けていくはずです。
    「かわいさの多様性」や「個性への共感」が求められるこれからの時代、LABUBUのようなキャラクターはますます輝きを増していくことでしょう。

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