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TikTok禁止と復活の背景:中国SNSの未来とREDの台頭

2025年1月、アメリカ政府は国家安全保障上の懸念から、中国発の動画共有アプリ「TikTok」を実質的に禁止しました。突然の利用停止は、アメリカ国内の1億7,000万人以上のユーザーに混乱をもたらしましたが、トランプ次期大統領の介入により、TikTokは復活への道を歩み始めます。本記事では、TikTok禁止と復活の背景、さらに注目を集める中国SNS「RED(小紅書)」の可能性について詳しく解説します。

TikTokがアメリカで禁止された背景

国家安全保障とデータ保護の懸念

2025年1月18日、アメリカ政府は中国発の動画共有アプリ「TikTok」を事実上禁止する法律を施行しました。この背景には、TikTokを運営する中国のByteDanceが収集する膨大なデータが中国政府に渡る可能性があるとの懸念があります。中国の「国家情報法」は、企業に対し情報提供を義務付ける可能性があり、アメリカはこれを国家安全保障の脅威と見なしました。特に、アメリカ国内でのTikTokの利用者が約1億7,000万人と多いことから、データ流出のリスクが問題視されています。このような状況を受けて、アメリカ政府は強硬な姿勢を取ることになりました。

アメリカ国内での混乱と規制強化

この法律により、TikTokはアメリカ国内での運営を停止せざるを得なくなり、アプリを開くと「TikTokは現在利用できません」というメッセージが表示される事態となりました。また、アップルやグーグルのアプリストアからTikTokのアプリが削除され、新規ダウンロードも不可能に。多くのユーザーは突然の利用停止に戸惑い、特にTikTokを仕事や収益手段として活用していたインフルエンサーや企業は深刻な影響を受けました。この混乱は、アメリカ国内でのSNS利用における自由と規制の境界を問う新たな議論を引き起こしました。

米中対立の象徴としてのTikTok問題

TikTok禁止は単なるSNS規制ではなく、米中間の技術競争と地政学的対立の象徴です。2020年代初頭から続く米中関係の悪化の中で、アメリカはHuaweiやZTEなどの中国企業に対する制裁を強化してきました。TikTok問題はその延長線上にあり、中国の技術力拡大を抑制する試みの一環です。この事態は、SNS市場におけるアメリカと中国の競争がいかに激化しているかを示しており、国際社会におけるテクノロジー分野の主導権争いの縮図とも言えます。

TikTok復活とトランプ大統領の介入

トランプ大統領の大統領令と復活の道筋

画像引用元:NHK NEWS TikTok 米でアプリ一時停止も復旧 多くは利用可能に

2025年1月19日、トランプ次期大統領が大統領令を発令し、TikTok禁止法の執行を90日間猶予することを決定しました。この動きは、禁止措置に対するアメリカ国内の反発を受けたもので、企業や利用者に一時的な安心感を与えることとなりました。これを受けて、TikTokは迅速にアプリの復旧作業を進め、1月19日午後から多くのユーザーが再び利用可能になりました。アプリを開くと「おかえりなさい。トランプ次期大統領の尽力により、TikTokがアメリカで復活しました」とのメッセージが表示され、利用者の間に安堵が広がっています。

合弁事業とアメリカ資本の役割

トランプ大統領は、TikTokがアメリカ市場に留まるためには新たな合弁事業を設立し、アメリカ資本が50%以上の株式を保有する形が望ましいと提案しました。これに対し、TikTokは声明を発表し、「アメリカ国内での長期的な解決策を模索するため、トランプ次期大統領と協力する」との意思を表明しました。この提案が実現すれば、アメリカ市場での規制をクリアしつつ、中国企業の影響力を抑える形となり、アメリカ政府の懸念を和らげる可能性があります。

利用者の反応と歓迎の声

TikTok復活に対して、アメリカ国内の利用者からは歓迎の声が相次ぎました。ロサンゼルス在住の夫婦は、「アプリが突然使えなくなり驚きましたが、復旧は素晴らしいニュースです。特に、ビジネスで利用している人々にとっては大きな意味を持ちます」と話しています。また、毎日8時間ほどTikTokを利用しているという女性は、「再び利用できるようになり、人生を取り戻した気分です」と述べ、TikTokが日常生活の一部として重要な役割を果たしていることを強調しました。

アメリカでのTikTok人気の理由

若者に支持される理由:アルゴリズムの魅力

TikTokの人気の理由の一つは、優れたアルゴリズムにあります。このアルゴリズムはユーザーの閲覧履歴や「いいね」の傾向を詳細に分析し、興味に合致する動画を次々と表示する仕組みです。特に「For You」ページは、利用者ごとにカスタマイズされており、ユーザーが常に新鮮で興味深いコンテンツに触れられる点が支持されています。また、短い動画形式は手軽に楽しめるため、若者のライフスタイルにぴったり合致しています。

多様なコンテンツとインフルエンサーの影響力

TikTokはエンターテインメント性の高いコンテンツが豊富で、多様なジャンルを楽しめる点が大きな魅力です。ダンスやコメディだけでなく、料理、メイクアップ、教育的な動画など、多岐にわたるジャンルが存在します。また、TikTokはインフルエンサーが急速に成長できるプラットフォームとしても機能しており、これが若年層ユーザーの間でのトレンド形成を後押ししています。短期間でフォロワーを獲得し、影響力を持つ人々が次々と登場しています。

他のSNSと比較した差別化ポイント

TikTokは他のSNSと比較して、視覚的な刺激が強い短編動画をメインにしている点でユニークです。また、ユーザーの投稿がフォロワー数に関係なくバズる可能性がある点も特徴です。InstagramやYouTubeでは大規模なフォロワー基盤が必要とされる場合が多いのに対し、TikTokではコンテンツの質やタイミング次第で広く拡散されるチャンスがあります。この公平性が多くのユーザーを惹きつけています。

RED(小紅書)への注目と可能性

REDとは?中国国内での成功モデル

TikTok禁止をめぐる議論の中で、新たに注目されているのが中国発のSNS「RED(小紅書)」です。REDは美容やファッション、旅行などの分野に特化したソーシャルコマースプラットフォームで、特に20〜30代の女性に支持されています。信頼性の高いレビューや具体的な商品情報が豊富で、ユーザーはアプリを通じて商品購入を直接行える点が特徴です。この成功モデルは中国国内で高く評価されており、アメリカ市場でもその可能性が注目されています。

TikTok禁止後のアメリカ市場での可能性

REDは、アメリカ市場でもその可能性を広げつつあります。TikTokがエンターテインメント性を重視するのに対し、REDはソーシャルコマースと実用情報の融合を強みとしています。特に、信頼できるレビューや具体的な商品情報を求めるアメリカの消費者にとって、REDのサービスは魅力的です。TikTokの禁止により市場に空いた穴を埋める形で、REDが新たな存在感を示す可能性があります。

TikTokとREDの違いと競争力

TikTokが短編動画を中心としたエンターテインメントプラットフォームであるのに対し、REDは購買行動を促進するソーシャルコマースプラットフォームです。この違いにより、両者は異なるユーザー層をターゲットにしており、競争力を発揮しています。アメリカ市場では、TikTokが若者を中心にエンタメ分野で強い支持を受ける一方、REDは信頼性の高い情報提供を通じて購買層を取り込む可能性が高いです。

▼RED(小紅書)についてもっと知りたい人はこちらの記事がおすすめです。

まとめ

TikTok禁止と復活をめぐる動きは、米中間の技術競争と規制の中で、SNS市場がどのように進化するかを象徴するものとなりました。トランプ次期大統領の介入により一時的に解決を見たものの、TikTokがアメリカ市場での安定的な運営を実現するためには、今後も多くの課題が残されています。

一方で、REDなど他の中国SNSも新たな注目を集めています。これらのプラットフォームは、それぞれの強みを生かしてグローバル市場に挑戦しています。SNS市場の競争が激化する中で、TikTokやREDがどのように進化し、新たな地位を築いていくのか、引き続き注目されるでしょう。

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