-インバウンド集客 -中国進出

中国人旅行者が使うOTA・予約アプリとは?主要サイトの特徴と効果的な使い方を徹底解説

1. 中国人が使う旅行サイト・OTAとは?

中国では旅行予約の多くがオンラインで完結しており、特にスマートフォンを活用した「OTA(Online Travel Agent)」が主流となっています。これらのOTAは宿泊、航空券、観光体験の予約だけでなく、口コミやSNS的な機能を兼ね備えることで、旅行者の意思決定に大きな影響を与えています。日本の旅行会社にとって、これらの中国OTAは中国人観光客を効果的に集客するための重要なチャネルとなります。まずはOTAの基本とその背景を理解しましょう。

1-1. OTAとは何か?中国市場における定義

OTAとは「Online Travel Agent(オンライン旅行代理店)」の略で、宿泊施設や航空券、ツアー商品などをインターネット上で予約できるサービスを指します。中国市場ではモバイル端末の普及率が極めて高いため、PCではなくアプリ経由での予約が主流です。また、日本の楽天トラベルやじゃらんのような「情報・予約」中心の機能に加え、SNS型コンテンツやライブ配信、口コミ機能を強化した「エコシステム型OTA」が進化している点も特徴です。

1-2. 中国人旅行者がOTAを使う理由と行動特性

中国人旅行者がOTAを活用する最大の理由は「利便性」「信頼性」です。多くのOTAはモバイル決済に完全対応しており、WeChat PayやAlipayといった決済手段がスムーズに使える環境が整っています。また、口コミ・レビュー文化が強いため、他ユーザーの体験談を見て商品を選ぶ傾向があり、OTA上での評価・ランキングが旅行商品の購入に大きな影響を与えます。さらに、旅行前の情報収集も同じアプリで完結するため、日常的に利用されているのです。

1-3. 中国のOTAが持つ集客力と影響力

中国のOTAは、単なる予約サイトを超えて、消費者の旅行体験全体に影響を及ぼす巨大なプラットフォームとなっています。例えば、Trip.comやFliggyでは、ホテルや観光地のプロモーションキャンペーンを実施することで予約を促進し、短期間で大量の集客を実現することも可能です。さらに、インフルエンサーとの連携や動画配信、レビュー誘導などの機能も充実しており、日本国内の旅行会社にとってはマーケティングの観点からも極めて有力な販路といえるでしょう。

2. 人気の中国OTA一覧と強み・使い分け戦略

中国のOTA市場は競争が激しく、各プラットフォームが異なるターゲット層や強みに応じた差別化を図っています。日本の旅行関連企業が効果的に中国人旅行者を集客するためには、各OTAの特性を理解し、ターゲットに合わせた使い分けが重要です。ここでは、特に影響力が大きく、日本向け商品の展開に適している5つの主要OTAについて、運営会社や機能面での特徴、どのような商材や顧客層に向いているのかを解説します。

    2-1. Trip.com(携程):国際展開に強く、日本旅行との親和性が高い

    Trip.comは、中国最大級のOTA「携程旅行網(Ctrip)」のグローバルブランドであり、日本を含む海外旅行市場にも強い影響力を持ちます。日本語にも対応したUI設計、そしてホテル・航空券・鉄道・ツアー商品の総合的な取り扱いが強みです。ビジネス・個人旅行問わず多様な層に利用されており、日本の宿泊施設や観光アクティビティ提供者にとって、最も導入しやすく販路拡大が見込めるプラットフォームです。中国語対応のカスタマーサービス体制も整っているため、現地ユーザーからの信頼性も非常に高いです。

    2-2. Fliggy(飛猪):アリババ経済圏×若年層を狙った訴求が強力

    Fliggy(飛猪)はアリババグループが運営するOTAで、特に20〜30代のモバイルユーザーを中心に高い支持を得ています。Alipayとの連携により支払いの利便性が抜群で、旅行商品だけでなく航空券・ホテル・ビザ・交通予約など幅広く対応しています。また、Fliggyはライブ配信やインフルエンサーとのコラボ施策も積極的で、プロモーション効果を高めやすい点が特徴です。ブランド訴求力の高い施設や「映える」観光体験のプロモーションに適しており、日本企業にとっては若年層向けの戦略的チャネルといえます。

    2-3. 馬蜂窩(Mafengwo):旅行SNSとしての影響力と口コミ力

    馬蜂窩(Mafengwo)は、口コミ・レビュー型の旅行SNSとしてスタートし、現在ではOTA機能も持つハイブリッド型プラットフォームです。利用者は主に「旅行前の情報収集」を目的にアクセスし、実体験に基づいたレビューや旅行記、写真を通じて旅行の計画を立てます。このため、自然な形で日本の観光地が紹介されると大きな効果が見込めます。商品そのものの掲載よりも、話題化やブランディングに強く、インバウンド向けのストーリーテリングやUGC戦略において重宝されます

    2-4. Qunar(去哪儿):価格比較に特化したコスパ重視のユーザー向け

    Qunar(去哪儿)は、価格比較機能に特化したOTAで、航空券や宿泊施設を安価に探したいユーザーに人気があります。利用者の多くは費用対効果を重視しており、他サイトとの料金比較を簡単に行えることが選ばれる理由です。プロモーションよりも価格戦略が成否を分けるため、料金に競争力がある宿泊施設や、オフシーズンの割引キャンペーンを行う事業者には特に有効です。集客力はあるものの、価格以外の付加価値を訴求するには他のOTAとの併用が推奨されます。

    2-5. Tuniu(途牛):団体旅行・パッケージ商品に強みを持つ老舗OTA

    Tuniu(途牛)は、中国国内の団体旅行・パッケージツアー市場で長年の実績を持つOTAで、特に地方都市の家族連れや中高年層のユーザーに強い影響力を持っています。オンライン上での予約だけでなく、コールセンターや店舗販売との連携にも対応しており、従来型の旅行商品販売モデルに近い特性を持っています。日本の観光地で団体ツアーや大型観光施設を展開している企業にとっては、Tuniuを通じた販売が効果的です。地域密着型の商品提案とセット販売が成功のカギとなります。

    2-6. OTA別 機能とターゲットの比較表

    OTA名主なターゲット層強み対応決済SNS・口コミ要素日本旅行との親和性
    Trip.com(携程)個人旅行・ビジネス層総合的な商品ラインナップAlipay、WeChat Pay中(レビュー重視)非常に高い
    Fliggy(飛猪)20〜30代の都市部若年層アリババ連携・ライブ配信Alipay(アリペイ)高(SNS・ライブ配信)高い
    馬蜂窩(Mafengwo)旅行好きのSNSユーザー口コミ・体験ベースの情報発信Alipay、WeChat Pay非常に高い
    Qunar(去哪儿)コスト重視層価格比較と最安検索Alipay、WeChat Payやや低い
    Tuniu(途牛)家族・団体旅行層パッケージ型・地方発着Alipay、WeChat Pay低〜中中程度

    主要中国OTAの市場シェア比較(2024年時点)

    OTA名推定シェア率運営会社特徴
    Trip.com(携程)約32%Trip.com Group海外対応に強く、宿泊・航空券・鉄道など幅広い
    Fliggy(飛猪)約18%アリババグループEC・決済連携とライブ配信型販売が強み
    Qunar(去哪儿)約16%Trip.com傘下価格比較に特化。サブブランドとして活用される
    馬蜂窩(Mafengwo)約8%テンセント出資口コミ・SNS型の旅行計画に強い影響力
    Tuniu(途牛)約6%Tuniu Corporation団体旅行やパッケージ型販売に強み
    その他約20%地方OTA、小紅書、SNS経由の間接予約など

    出典:Trustdata「中国オンライン旅行市場レポート2024」、各社IR資料、QuestMobileなどをもとに編集部作成

    3. 日本の旅行会社が中国OTAを活用する方法

    中国OTAを活用して自社の旅行商品を販売したい日本の企業にとって、ただ掲載するだけでは成果は上がりません。中国人旅行者の消費行動やプラットフォームごとの特徴を理解し、それに合わせた戦略的な運用が必要です。ターゲット層の明確化、商品内容の最適化、言語・決済への対応、そしてSNSとの連動など、効果を最大化するための実践的なポイントを紹介します。

    3-1. OTA別の最適な商品掲載戦略とターゲット層

    各OTAは利用者層や目的が異なるため、同じ商品でも掲載先によって売れ方が変わります。例えば、Trip.comではビジネス旅行やFIT(個人旅行)向けの宿泊・交通が中心となる一方、Fliggyではライブコマースと連携した観光体験が人気を集めます。馬蜂窩では旅行前の情報収集ユーザーが多いため、ツアーよりも観光地そのものの魅力を打ち出したコンテンツが効果的です。OTA選定の前に、自社商品がどの層に響くのかを見極めることが不可欠です。

    3-2. 掲載時の注意点:中国語対応・決済・レビュー対策

    中国OTAで商品を掲載する際にまず注意すべきなのは「言語と決済対応」です。商品の説明や画像はすべて簡体字中国語で表記し、かつ文化的なニュアンスに配慮した内容であることが求められます。また、AlipayやWeChat Payなど中国人が使い慣れている決済手段の導入も信頼性を高める要素です。さらに重要なのがレビュー対策です。中国のユーザーは口コミを重視する傾向が強いため、良質なレビューを得られるよう接客や体験設計にも工夫が必要です。

    3-3. 成功事例に学ぶ:インバウンド誘致のベストプラクティス

    実際に中国OTAを活用して成功している日本の旅行会社や自治体の事例を見てみると、共通して「ターゲットに刺さるストーリー設計」と「OTA外との連動」が見られます。たとえば、ある温泉旅館ではFliggyで若年層向けの限定プランを打ち出し、ライブ配信での販売イベントを実施したことで予約が数倍に増加しました。また、Trip.comで予約を促しつつ、小紅書での口コミ拡散を狙うなど、複数チャネルを活用したクロスプロモーションも効果的です。デジタルとリアルの接点を意識することが成功の鍵です。

    3-4. よくある失敗事例と成功の分かれ目

    中国OTAへの掲載を試みたものの「予約が全く入らない」「レビューがつかない」といった悩みを抱える事業者も少なくありません。失敗の多くは、①商品内容が中国市場のニーズと合っていない②価格帯が競合と比較して割高③写真・説明文がローカライズされていない④予約・決済までの導線が不親切、という基本的な要素に起因しています。逆に、成功している事業者は、現地SNSやKOLとの連携、限定プランの提供、Fliggyのライブ販売やTrip.comの特集ページ活用など、OTAを単なる予約ツールではなくマーケティングプラットフォームとして活用しています。自社の強みを「翻訳」するだけでなく、「現地向けに最適化」することが成果の鍵です。

    4. 今後注目の新興プラットフォームとOTAの進化

    中国の旅行市場は今も進化を続けており、従来型OTAに加え、SNSや動画プラットフォームを活用した「情報→認知→購入」へとつながる動線が新たに注目を集めています。ここでは、旅行商品の認知・集客に大きな影響を持ちつつある新興プラットフォームを紹介し、それらとOTAの連携活用の可能性について解説します。

    4-1. 小紅書(RED):Z世代を中心に影響力を持つ“体験共有型SNS”

    小紅書(RED)は、20〜30代の中国人女性を中心に人気のSNSで、旅行・美容・グルメ・ファッションなどの情報が日々投稿されています。旅行ジャンルでは「〇〇に行ってよかった」「映えスポットまとめ」など実体験ベースの投稿が多く、口コミ力は抜群です。直接予約はできませんが、REDで話題になった観光地や宿泊施設はOTA上での検索数・予約数が一気に伸びる傾向にあります。旅行商品の事前プロモーションやUGC戦略において、REDは極めて重要なチャネルです。

    4-2. Douyin(抖音):ライブ×動画×購入が融合する“次世代EC型プロモーション”

    Douyin(抖音)は、中国版TikTokとして知られ、エンタメだけでなく「旅行先の発見・予約導線」にも活用されています。動画で宿泊体験やグルメ紹介を行い、その場でリンクをクリックしてOTAへ遷移・購入できる仕組みも整いつつあります。FliggyやMeituanとの連携も進み、インフルエンサーが紹介する観光地や宿泊施設の予約率が高まっています。動画制作・ライブ配信を通じて視覚的に体験価値を伝えたい企業にとっては、有力な新興メディアといえるでしょう。

    4-3. 今後の展望:OTAとSNSの境界が曖昧に

    今後の中国旅行市場では、「SNSで情報収集→OTAで予約→SNSで共有」のサイクルが一層高速化・連動化していくと見られています。FliggyやTrip.comでもSNS機能やライブ機能の強化が進んでおり、OTA自体が“メディア化”しています。旅行業者や観光施設は、単にOTAに掲載するだけでなく、SNSとの連携を前提にしたコンテンツ設計・レビュー誘導・UGC活用まで含めたマーケティング視点が求められます

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    5. まとめ:中国OTAを活用した戦略的集客のススメ

    中国人観光客をターゲットにするうえで、中国国内のOTAは非常に強力な集客チャネルとなります。Trip.comやFliggyなどの大手プラットフォームを使い分け、商品特性に応じた戦略を講じることで、訪日インバウンドの獲得効果は飛躍的に高まります。本記事で紹介した5大OTAの特性と、掲載時の注意点を押さえることで、より精度の高いプロモーションが可能になります。日本企業は今後さらに競争が激化する中で、OTAの活用を単なる予約手段にとどめず、ブランディングやリピーター育成の基盤として活かすべきでしょう。

    5-1. 中国OTAの強みを生かしたプロモーション設計

    中国OTAは単なる予約プラットフォームではなく、マーケティングツールとしても非常に優れています。Fliggyのライブ配信やTrip.comの特集記事機能を活用することで、ターゲットに刺さるダイレクトな訴求が可能です。また、小紅書(RED)やWeChatなどのSNSとの連携を意識することで、OTA内の導線だけでなく、事前の情報収集や口コミ拡散にもつなげられます。OTAを単体で使うのではなく、複数のチャネルと統合した戦略的プロモーション設計が成果を左右します。

    5-2. 変化する中国市場に合わせた柔軟な運用が鍵

    中国の旅行市場は消費者の嗜好や購買行動の変化が早く、OTAにおいても新機能やトレンドが頻繁に登場します。2025年現在では、生成AIによる旅行提案機能や、パーソナライズされた旅程プラン、ライブコマース型の旅行販売が注目を集めています。日本の事業者も固定的な運用ではなく、常に市場変化をキャッチアップしながら、商品内容やプロモーション方法を柔軟にアップデートしていく必要があります。現地のパートナーとの連携も大きな武器になります。

    5-3. 今後に向けて準備すべき体制とマーケティング視点

    中国OTAを通じた集客を本格的に行うためには、組織的な準備も必要です。具体的には、中国語での対応ができる人材やパートナーの確保、OTA運用に必要な販促素材やレビュー戦略の設計、SNSとの連携体制の構築などが求められます。また、短期的な予約数ではなく、中長期的にブランドの認知・信頼を築く視点が重要です。訪日インバウンドの主戦場がオンラインに移行する今、中国OTAを「情報発信+販売チャネル」として最大限活用していくことが、持続的な成功につながります。

    参考:民泊で利用できるサイト10選をご紹介!選び方や注意点は?| MINPAKU CHINTAI

    参考:中国人向けの民泊を運営するためには?集客のためのコツや注意点など解説!|日本総合政策ファンド