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中国のクリスマスってどんな日?日本との違いと街の様子、食べ物や過ごし方を解説

中国のクリスマスはどんな日?

中国にとってクリスマスとは、宗教的な意味合いよりも商業的・文化的な側面が強いイベントとして定着しています。中国では、クリスマスが「祝日」として法律で定められているわけではないため、特にキリスト教徒が多い地域以外では、宗教的な意味合いよりも西洋文化の一部として受け入れられています。

中国でクリスマスが流行し始めたのは、1980年代後半から1990年代初頭のことです。この頃、中国は経済改革と開放政策を進めており、西洋文化が急速に浸透し始めました。特に都市部では、外国企業の進出や貿易の拡大により、クリスマスといった西洋の祝祭が商業活動の一環として受け入れられるようになりました。

最初は、外資系企業がクリスマス商戦に合わせて特別なセールを行ったり、外国人向けのイベントが開かれることが多かったですが、次第に現地の若者層にも広まりました。特に1990年代中盤から後半にかけて、上海や北京などの大都市では、商業施設やホテルで華やかなクリスマスデコレーションが施され、ショッピングモールなどでクリスマスキャンペーンが開催されるようになりました。これがきっかけとなり、クリスマスを祝う文化が都市部の中産階級や若者の間で徐々に浸透していきました。

クリスマスは祝日ではない?中国の実情

これだけの商業価値があるものの、クリスマスは中国では祝日として扱われていません。中国では、クリスマスはあくまで商業的なイベントとしての側面が強く、国民の休暇日としては設定されていないのです。

中国の祝日には深い歴史的・文化的な背景がある

中国の祝日は、長い歴史を持つ伝統的な行事が多く、そのほとんどが中国固有の文化や宗教的な意義に基づいています。例えば、春節(旧正月)は農業社会の重要な節目を祝う日であり、家族や祖先を敬う儀式が行われるなど、深い文化的な背景があります。また、中秋節や清明節も、中国の伝統的な季節や祖先崇拝に基づく行事です。これらの祝日には、何千年にわたる歴史や文化的価値が込められており、その日を祝うことは、国民のアイデンティティや文化の伝承にもつながります。

対して、クリスマスは西洋発祥の行事であり、キリスト教に基づく宗教的な祝日です。中国の主要な宗教である仏教や道教とは異なり、キリスト教は中国において少数派の宗教であり、広範な国民にとって深い文化的意味合いがあるとは言い難いのです。クリスマスは、宗教的な儀式としては大きな意味を持たないため、伝統的な中国の祝日と同じレベルで正式な祝日として定めることは難しいと考えられます

クリスマスに仕事や学校は通常通り

中国において、クリスマスは商業的なイベントとして盛り上がりを見せていますが、12月25日は公的な祝日ではなく、仕事や学校は通常通り行われます。特に政府機関や一般企業では、クリスマスを祝うために特別に休暇が設定されることはなく、通常の業務が続きます。クリスマス休暇が取れるのは、主に外資系企業などに限られ、一般的には仕事や学業に影響を与えることは少ないのが実情です。中国では、クリスマスが「休暇」としての特別な意味を持つわけではなく、あくまで商業的なイベントとして楽しむ日となっています。

中国のクリスマスの過ごし方:日本との違い

中国のクリスマスは、日本とは異なる文化的背景と習慣を反映したものです。どちらも西洋文化の影響を受けていますが、クリスマスの過ごし方やその意味合いには大きな違いがあります。

中国のクリスマスは、主に商業的なイベントとして祝われることが多いです。クリスマスを家族や親しい人たちと過ごす日本とは違い、中国では友人やカップルでショッピングや外食を楽しむことが主流です

日本では、教会に行くことや宗教的な儀式を行う人も少なくありません。一方、中国ではクリスマスが宗教的な行事としての意味合いを持たないため、教会に行くことは一般的ではなく、商業活動として楽しむ人が大半です。

また、日本では、クリスマスイブ(12月24日)をはじめとして、クリスマスシーズンが特別な意味を持っています。多くの企業が休暇を設定したり、学校でもクリスマスのイベントが行われることがあります。

恋人とのデートが中心の中国のクリスマス

中国におけるクリスマスイベントの中でも特に注目すべきなのは、恋人同士のデートに焦点を当てた過ごし方です。日本でも「クリスマスはカップルのための特別な日」というイメージがありますが、中国でもその傾向は強く、クリスマスを恋人とのロマンチックな時間を過ごす日として楽しむカップルが多く見られます。

中国のクリスマスは、恋人同士にとって「絆を深める日」として、重要な意味を持っています。クリスマスは、親しい関係の人と一緒に過ごすことが多い日本と異なり、特に恋人と一緒に過ごすことが主流です。そのため、クリスマスは恋人同士が互いに対する感謝の気持ちを表し合い、愛情を再確認する特別な機会として位置付けられています。

また、都市部の若者にとっては、クリスマスが年末の締めくくりとして、また新しい年を迎える前に恋愛関係をさらに深めるための大切なイベントとなっています。カップルが一緒に過ごすことで、さらに親密になり、次の年に向けて新たなスタートを切るという意味合いも込められています​

プレゼント交換と注意すべきギフト

クリスマスは、恋人同士にとってプレゼント交換をする絶好の機会でもあります。中国では、日本のようにクリスマスイブにプレゼントを交換する習慣が広まっており、多くのカップルが互いに贈り物を用意して、愛情を表現します。プレゼントとしては、アクセサリーや香水、ファッションアイテム、またはカジュアルで可愛らしい小物などが人気です。特に、お互いの好みを反映した個性的なプレゼントが重視されます。

プレゼント交換は、恋人同士の絆を深める重要な儀式として楽しまれ、贈り物がない場合でも、カードやメッセージを交換して感謝の気持ちを伝えることが一般的です。また、一部のカップルは、互いにサプライズギフトを準備して、より特別感を演出することもあります​。

しかし、語呂合わせや文化的背景を考慮せずに選んだギフトは、逆効果を生むこともあります。例えば、
靴(鞋、xié):靴は発音が「邪(xié)」に似ているため、不運やトラブルを招くとされ、恋人へのプレゼントには不適切とされます。
時計(钟,zhōng):時計も避けるべきアイテムの一つです。なぜなら、「時計を贈る(送钟)」は中国語で「終(zhōng)」と同じ発音を持ち、「死(sǐ)」を連想させるため、不吉な意味合いを持つとされています。
傘(伞,sǎn):傘の言葉の響きが「散(sàn)」に似ているため、別れを意味することもあるため、恋人や親しい友人に贈るのは避けたほうがよいでしょう。
などの「縁起が悪い」とされるアイテムを避け、相手の好みやニーズに合わせたギフトを選ぶことが重要です。また、過度に高価なプレゼントや文化的に不適切なものを避け、手書きのカードなどで気持ちを伝えることが、より一層価値のあるプレゼント交換に繋がります。

クリスマスと春節(旧正月)の関係

最近では、商業的な観点から、クリスマスと春節の間にあるギャップを狙ったキャンペーンやプロモーションが増えてきています。特に都市部では、クリスマスが過ぎるとすぐに春節の準備が始まるため、商業施設やオンラインショップでは両方のイベントに向けたセールが行われることが多くなりました。

例えば、ショッピングモールでは、クリスマスの後に春節のデコレーションが施され、正月用のギフトや食品、家電製品が販売されます。また、オンラインショッピングプラットフォーム(アリババ、JD.comなど)でも、クリスマスのセールに続き、春節に向けた特別キャンペーンが開催され、消費者は年末年始を通じて買い物を楽しむことができます。クリスマスのプレゼント交換の習慣が中国でも浸透してきた一方で、春節のギフト交換や贈答品も依然として重要な文化的慣習となっています。

街中のクリスマスイルミネーションとマーケット

中国では、クリスマスは宗教的な祝日よりも商業的なイベントとして浸透しており、特に都市部では、街中に華やかなイルミネーションやクリスマスマーケットが登場します。これらのイルミネーションやマーケットは、クリスマスの雰囲気を盛り上げる重要な要素であり、ショッピングや観光の一環として多くの人々に楽しまれています。

また、最近では、クリスマスイルミネーションだけでなく、クリスマスマーケットも中国の大都市で増えてきました。クリスマスマーケットは、ヨーロッパの伝統的なクリスマスマーケットを模した屋外のマーケットで、手作りの装飾品やグッズ、クリスマスの食べ物や飲み物を提供する屋台が並びます。

ヨーロッパ風のクリスマスマーケットが大きな人気を集めており、これらのイベントは商業的にも大きな影響を与えています。クリスマスマーケットでは、クリスマスにちなんだお菓子(シュトーレンやクッキーなど)や温かい飲み物(ホットワイン、ホットチョコレート)、さらにはオーナメントや手作りのギフトなどが販売されます。こうした商品は、クリスマスシーズンにぴったりの贈り物として、特に都市部の若者やカップルに人気です。

大都市で楽しむイルミネーションの光景

中国の大都市、特に北京、上海、広州、深圳などでは、クリスマスが近づくと街の中心部に豪華なイルミネーションが施されます。ショッピングモールや商業施設、ホテル、カフェ、さらには公共の広場など、至る所でイルミネーションを楽しむことができます。大都市では、特に高級ショッピングエリアや繁華街において、クリスマスをテーマにしたイルミネーションや飾りつけが施され、歩行者や観光客を魅了します。

クリスマスに食べるもの:西洋と中国の料理の違い

クリスマスの食事は、西洋と中国では大きく異なります。中国ではクリスマスの食事が伝統的なものではなく、商業的に発展したイベントとして、レストランやカフェで提供される特別メニューが主流です。

中国のクリスマス料理と西洋料理

中国のクリスマスでは、西洋の料理にアレンジを加えたものや、地元の食材を取り入れた新しい料理が登場します。例えば、ローストチキンやピザ、ハンバーガーなどが人気であり、さらに高級中華料理のセットメニューが登場することもあります。また、クリスマスケーキやスイーツも西洋風のものが多く見られますが、中国では、特に「ケーキ」を家族で祝う伝統があまりないため、ケーキを食べる習慣はまだ新しいものです。

このように、中国のクリスマスは、食文化が西洋の影響を受けつつも、地元の食材や味覚にアレンジを加えた形で楽しむ独自のスタイルを形成しています。

クリスマスイブのりんごや特別なデザート

中国のクリスマスイブでは、特別なデザートや食べ物が登場しますが、その中でも「りんご」が非常に重要な役割を果たします。西洋のクリスマスでは、ジンジャーブレッドやシュトーレンなどが定番のデザートとして親しまれていますが、中国では「りんご」が縁起物として重要な意味を持つ食材として、クリスマスイブに食べられることが多いです。

中国語で「りんご」は「苹果(ピンゴ)」と呼ばれますが、実はこの発音が「平安果(ピンアンギュア)」と非常に似ているため、りんごは縁起の良い果物として広く認識されています。「平安果」は「平安(健康や平穏無事)」と同じ発音で、特に家庭や友人、恋人同士の関係を祝う際に、平穏無事な一年を願って贈り物として使われます。このため、クリスマスイブにりんごを食べる習慣が広まり、幸福や平安を祈る意味を込めてりんごが食卓に並ぶことが多いのです。

また、都市部のデパートやショッピングモールでは、クリスマス前に「平安果」としてラッピングされたりんごが特別なギフトとして販売されることもあります。これにより、クリスマスが商業イベントとしての性格を持つ中国では、食文化が縁起を担いながら新しい習慣を形成していることがうかがえます。

まとめ:中国のクリスマスの魅力と独自の楽しみ方

中国のクリスマスは、伝統と現代がうまく融合したユニークな祝祭日であり、商業的な側面と文化的な価値観が交錯する中で、独自の魅力を発揮しています。日本や西洋のクリスマスとは異なる過ごし方があり、その楽しみ方は年々進化を遂げています。中国のクリスマスは、祝日ではないが、街の活気と共に多様な文化が交わる特別な時間を提供していると言えるでしょう。

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