越境EC

アリババが天猫国際の「Tmall Partner評価」を公表

“アリババ”が先日、天猫国際(Tmall Global)の運営代行会社「TP(Tmall Partner)」の評価を初めて公表しました。このTP評価と天猫国際(Tmall Global)への出店申請条件をご紹介いたします。

天猫国際TP(Tmall Partner)とは

天猫国際(Tmall Global)は“アリババ”が2013年9月に開始した中国最大の越境ECプラットフォームです。天猫国際の最大の特徴はこれまで中国国内で販売が難しかった商品でも日本からの郵送モデルのためほとんどの商品が販売できることです。天猫国際への出店には、店舗の運営をサポートする運営代行会社をつけることを義務付けており、その運営代行会社のことをTP(Tmall Partner)と呼んでいます。運営開始時にTPを決定しなければ出店自体ができない規定になっており、非認定のTPは天猫側とやり取りすらできません。TPの評価基準は「運営能力」「マーケティング能力」「BD(ビジネス・ディベロップメント)能力」「顧客満足度」「規定違反」などで、ルールを破るとスコアペナルティが課されます。中国向け越境ECを行う場合、日本の企業は物流業務や運用全般などさまざまな業務をTPにアウトソーシングしているのが実情で、今回発表された推奨TPは105社で、すべて天猫国際の運営代行を行っている中国企業や日系企業、その他海外資本の企業です。

TP(Tmall Partner)の概要

<TP認定の必要条件>
・物流も含めた越境ECの経験があること
・中国国外にオフィス及び倉庫機能を持っていること
・マルチリンガル(多言語対応)チームであること
・経営的な視点とITリテラシー(情報活用能力)があること
・海外企業に対してビジネスの遂行能力があること
<評価方式>
12点満点の点数方式で、同時にミシュランのような「5つ星」の評価もあります。「5つ星」評価は12点と11点が星5つ、10点と9点が星4つ、8点と7点は星3つといった具合です。

TPの評価項目と採点

TPの評価基準の主なものとして「運営力」「顧客対応力」「規定違反」について評価項目内容を紹介します。
<運営力(売上実績)>
・店舗数:3店舗以上が2点 1~2店舗が1点 実績1年以上の場合はさらに1点追加
・店舗の月平均売上:TPが運営する全店舗の上位
30%以内:3点 30%~50%:2点 50%~70%:1点
・キャンペーン売上:TPが運営する全店舗の上位
30%以内:3点 30%~50%:2点 50%~70%:1点
・一定期間で店舗の売上目標を達成できなかった場合:−1点
・キャンペーンにおけるTPの対応遅れや申請遅れ:−1点 ~ −6点
・TP側の問題で大きなキャンペーンに参加できなかった場合:−1点 ~ −6点
・店舗や天猫国際からのクレームがあった場合:−1点 ~ −6点
<顧客対応力>
「商品とページ記載内容の整合性」「店舗サービス」「物流サービス」の評価点数
3項目が平均以上:3点 2項目が平均以上:2点 返金率が上位10%:−1点
<規定違反>
・TPと店舗が契約期間内または期間終了後に店舗側が他のTPと契約し直した場合:−2点
・TPと店舗側の契約期間終了後、店舗側が天猫国際から撤退した場合:−2点
・TPと店舗が契約期間中、売上が芳しくなく、天猫国際の契約更新ができない場合
専売店の場合:−2点 旗艦店の場合:−6点
(※旗艦店:ブランドやチェーン店などの代表的な存在となる店)
・天猫国際の規定に対する違反により、店舗を閉店させてしまった場合:−12点
・他の越境ECサイトに出店している天猫国際の推薦ブランドの運営を、同じTPが行っている場合:−12点(ただしTPが自分で営業して獲得した店舗に関しては問題なし)
・TPの発言で天猫国際に悪影響を与えた場合:−12点
詳細は中国語表記ですがこちらからご確認いただけます。天猫国際TP評価基準

Tmall Global’s TP List

TPの評価は四半期毎に行われており、TPリストは3ヶ月毎に更新されます。今回公表されたのは第2四半期の評価結果(第3四半期の推奨TP)です。あいにく内容は英語表記のみで多言語対応になっておりません、英語が得意な方はこちらをご覧下さい。 Tmall Global’s TP List  ちなみに、今回の天猫国際TP評価において最高評価の12点満点(5つ星)を獲得した日本企業(運営代行会社)は1社(fcafe)のみでした。天猫国際への出店には優秀なTPの選択が第一関門といえますが、必ずしもこのTPリストに載っていなくても問題はありません、天猫国際側の評価よりも出店主に対して確実なサポートを提供してくれることを重視したTP選択が肝要ではないでしょうか。

Tmall Global出店申請条件

※以下は2015年時点の情報ですので参考としてご覧ください。
<申請の必須条件>
1. 中国国外に実際の会社があること
2. 次の三点のいずれかあること。
・ブランドの所有企業である
・ブランドを販売する権利がある
・ブランドの正規品(正規のルートで仕入れた)であることの証明がある
<申請の優先条件>
1. 中国国外の有名なマーケットあるいはBtoCサイト。
2. 中国国内にまだない有名ブランドの所有企業。
<申請書類>
1. 会社の成立証明書
2. 会社の納税証明書
3. Tmall Global申請の代表者の身分証明書
4. ブランドの正規品であることの証明又は正規のルートで仕入れたことの証明
5. その他Tmall Globalに要求される書類
<出店時の形態について>
1. ブランド旗艦店(1ブランドのみ)
条件:ブランドの所有企業、またはその子会社
2. 店舗タイプ旗艦店
条件:海外有名なマーケットあるいはBtoCサイト
3. 専売店(複数ブレンドの販売が可能)
条件:ブランド所有に関わりない企業、ただしブランド所有者からの仕入れ証明が必要
ブランドの正規品であることの証明が必要ですが、正規品であれば複数のブランドの商品の 販売が可能です。日本のブランドを複数集めひとつのアカウントで販売が可能。
次の商品を販売する専売店を優先採用します「ベビーグッズ、おもちゃ、ベビー服、調味料、スナック、インテリア、キッチン用品、家電製品、バッグ、靴、スポーツ用品」
<その他の条件>
1. Tmall Globalの本物保証プランに加入すること
2. 中国語のページと阿里旺旺(アリワンワン)チャット対応
3. 72時間以内に発送できることと追跡できる郵送方法を使うこと
4. 中国国内に返品先があること
<料金>
1. 保証金:25000ドル
2. 年会費:5000ドル/10000ドル
3. 技術サポート費用0.5%~5%

越境ECのモデルは「現地法人設立」「現地モール出店」「国内ECモール」などがあげられますが、なかでも主要な「BtoC」においては「現地モール出店」が、現地の消費者が慣れている決済方法や出荷システムを利用できるなど、現地ルールに沿った運営により売上拡大を目指しやすく、出店の難易度もさほど高くありません。今回「TP(Tmall Partner)」と出店申請条件について紹介させて頂きましたが、今後、天猫国際への出店を検討されている企業の方々の参考の一部になれば幸いです。

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