中国 中国事情

中国の書店に今何が起きているのか?詳しく解説

中国でも書店存続の危機が起きている?

書店は文化的インフラであり、都市のシンボルでもあるといわれていますが、近年、オンライン書店やネットメディアの広まり、さらにはスマホや電子書籍リーダーなどの普及で、紙媒体の出版物の販売が落ち込み、書店の閉店や倒産が相次いでいます。日本でも書店の実店舗の存続が危ぶまれていますが、中国でもここ数年で書店を取り巻く環境に大きな変化が生まれてきています。中国の書店に今何が起きているのか?を解説していきます。

世界最大の中国語オンライン書店 当当網(Dangdang.com/ダンダン.コム)

中国でオンライン書店というと、まず名前が挙げられるのが当当網(Dangdang.com/ダンダン.コム)です。世界最大の中国語のオンライン書店として知られ、書籍のほかにも映像、音楽などのメディアに加え、家電やファッション、インテリア、食品などを取り扱うショッピングサイトとして展開していて、「中国のアマゾン」とも呼ばれています。当当網(Dangdang.com/ダンダン.コム)は、1999年に李国慶・兪渝夫妻によって設立され、2010年には米ナスダック市場に上場しました。中国国内でのオンライン書店としてのシェアは約45%といわれ、2位の京東(JD.com):18%、3位のアマゾン:19%を大きく引き離しています。その後、2016年9月に非上場化を果たし、株主からの圧力や有価証券報告書のような外部への経営状況の開示から解放され、これまで以上にダイナミックな経営が出来る環境を作っています。

書店の危機は不動産バブルとともに

中国の書店の実店舗が閉鎖や倒産に追い込まれる現象は2008年ごろから顕著になりはじめました。当初は若者の活字離れと都市部での不動産の賃貸料の高騰が主な原因だったのですが、2010年ごろからはオンライン書店の台頭も影響しはじめました。最近では、北京の中国人民大学のキャンパス内にあった最後の書店が閉店に追い込まれるニュースが報道され、中国国内でも話題になりました。賃貸料や人件費の高騰に加え、オンライン書店が積極的に価格競争を仕掛け、その結果、従来型の書店は経営不振に陥り、閉店に追い込まれていったケースがほとんどのようです。経営不振に追い込まれているのは中小の書店だけでなく、国営の新華書店の中にも閉鎖に追い込まれるところが出てきています。

政府も危機感?書店をバックアップ

このような事態に対して、中国では2013年から実店舗の書店の経営を支援する政策が打ち出され、まず財政部が12都市の56の書店に対し9000万元の補助金を出したのを皮切りに、2015年にはその範囲がさらに拡充されました。また、2013年1月から2017年末までの期間、書籍の卸、小売に対する増値税の免税措置が行われ、また各省や市のレベルでも資金援助などの書店の実店舗に対する支援策が採られるようになっています。国家の政策としても十三五(第13次五カ年計画:2016-2020 年)に国民の教養と社会の文化水準の向上を目指すために、実店舗の書店の発展を国を挙げてバックアップすることが宣言されています。

出店当当網(Dangdang.com/ダンダン.コム)の戦略

オンライン書店の分野では、当当網(Dangdang.com/ダンダン.コム)のブランドは圧倒的な知名度を持ち、またオンライン書店のコアな利用者層である、80後(バーリンホウ)と呼ばれる1980年代 生まれの世代と90後(ジョウリンホウ)と呼ばれる1990年代生まれの若者のニーズが高い分野と言われる児童書や経営やマネージメント関係の書籍の品揃えで強みを持ち、中国国内でのオンライン書店としての不動の地位を築いています。当当網(Dangdang.com/ダンダン.コム)の勢力が伸びたことで、従来からある実店舗の書店を追い詰めていくことになり、その結果、政府の書店への支援を引き出したのですが、当当網(Dangdang.com/ダンダン.コム)ではそれを利用して新たな発展を図ろうとしているのです。2015年末に当当網(Dangdang.com/ダンダン.コム)は新たな経営目標として、今後3~5年以内に実店舗1000店を出店すると発表し、2016年9月には湖南省長沙市に一号店を開き、これまでに約150店もの出店を果たしたようです。当当網(Dangdang.com/ダンダン.コム)は実に巧みな手法で実店舗の出店を実現しています。当当網(Dangdang.com/ダンダン.コム)が実店舗の出店先に選んでいるのは、北京や上海、広州といった先進大都市ではありません。まだ文化的インフラの飽和度の高くない地域の大型ショッピングモールをターゲットにし、それらが出店先の約15%を占めているといわれています。ショッピングモールにとっては当当網(Dangdang.com/ダンダン.コム)というビッグネームが出店することはメリットなので、出店賃料を一定期間免除し、売り場のディスプレイや内装、イベントの企画・開催は当当網(Dangdang.com/ダンダン.コム)が負担するという条件で出店することが多いようです。残りの85%の出店先がオンライン書店がカバーできていない、物流体制がまだ整備されていない地方都市や農村部です。出店に際しては国の政策を追い風に、地方政府からの補助金を活用して、少ない初期投資で実店舗網を広げ、マーケティングではオンラインで蓄積されたビッグデータを活用していく戦略とみられます。

オンライン書店と新しいコンセプトの実店舗の出現

オンラインで蓄積されたビッグデータの活用と新たな顧客体験の提供を融合させる手法は、阿里巴巴(Alibaba)集団の馬雲氏が提唱する「新小売」時代への変革と通じるところがありそうです。北京や上海などの大都市では、通行量の多い繁華街や商業施設内に大手書店による新しい実店舗の開店が続いています。それらの多くはカフェや他の業態とコラボして、新しい快適な文化空間を消費者に提供しています。中国の書店の勢力図は、当当網(Dangdang.com/ダンダン.コム)が主導する形で塗り替えられ、従来型の書店は淘汰され、新たなコンセプトを持った実店舗とオンライン書店とに集約される時代が近づきつつあるようです。

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