日本メーカーの温水洗浄便座「ウォシュレット」が中国の人々に人気を集めています。近年急増している訪日中国人が日本の「ウォシュレット」に感動、中高所得者を中心に支持され、中国国内のほか、中国人が訪れる世界の高級ホテルにも導入が進んでいます。日本の大手ウォシュレットメーカーの中国での売上げは好調で、日本メーカーは今後も需要が見込まれることから中国仕様などの新商品を投入し、中国への販促を強化しているようです。今回は、中国で人気の日本のウォシュレット販売の状況や今後の展望を日本メーカーの取り組みなどを追いながらみていきたいと思います。
TOTOの中国販売、ウォシュレット36%増
まず中国でのウォシュレットの販売状況をみてみますと、沿岸部を中心に内陸部でも増え、中国全土でウォシュレットが普及していっているといって問題ないでしょう。水回りの住宅総合機器メーカーでトイレ商品を扱う日本企業、TOTOの2016年度決算によりますと、ウォシュレットの販売台数が伸長し中国のグローバル住設事業の売上高が37億7600万元(632億円)と元ベースで前年比11%増えました。中国の商品別の売上高伸長率は、ウォシュレットが36%増、水栓金具が9%増、衛生陶器が3%増。中国の売上高に占めるウォシュレットの割合は、25%と前年に比べ5ポイント増えています。地域別の売上高伸長率は沿岸部の華北、華東、華南で10%台と大きく、香港と内陸部(中西部)は1ケタ台となっています。TOTOは2017年度計画でも、ウォシュレットや差別化した新商品投入で中国の売上高14%増(元ベース)を見込んでおり、中国でますます日本のウォシュレットが広がりそうです。
清潔度、消費電力、抗菌などで日本製が支持
中国で日本のウォシュレットが支持される理由は、安全性、清潔度、消費電力量、セルフクリーン、抗菌率などです。北京市消費者協会が19社20製品を比較した試験結果によりますと、TOTOが前述した項目などの検査で1位を獲得しました。TOTOは新たに、汚れや雑菌の繁殖の抑制に繋がる洗浄技術を採用したり、陶器と便座の継ぎ目を大幅に無くすデザインにもこだわった新商品を発売したりするなど、中国で順次新商品を投入していく計画で、圧倒的な高い技術で海外メーカーなどの他社製品と差別化を図りたい考えです。
中国語ページで機能アピール パナソニック
総合電機メーカーのパナソニックでもホームページに中国語ページを設けて、中国向けのウォシュレットを紹介しています。人が近付いたのを検知して便ふたが自動的に開く機能や、光と人体を検知する自動照明、瞬間加熱技術など節電への取り組みをアピールするとともに、ノズル除菌クリーニングやノズルの水流調整、オート脱臭などの衛生面、使いやすさについても説明しており、中国で利用の多いネット通販への出品も増やすといいます。一方、TOTOも、北京、上海、広州、香港などの海外の直営ショールームで、ウォシュレット体験などを通じて技術力をアピールするため、ショールームの拡充・機能強化を進めており、今後中国の実店舗やネット上でウォシュレットを巡るシェア争いが一層加熱していきそうです。