インバウンド 中国決済

支付宝(Alipay/アリペイ)の日本参入は国際戦略の試金石

支付宝(Alipay/アリペイ)は中国人の生活の一部

2016年9月26日、支付宝(Alipay/アリペイ)を展開するネット通販最大手の阿里巴巴(Alibaba)集団は成田と関西両国際空港を含む世界の10空港でも支付宝(Alipay/アリペイ)による決済サービスを始めると発表しました。支付宝(Alipay/アリペイ)とはインターネットショッピングモールの淘宝網(taobao)を運営する阿里巴巴(Alibaba)集団傘下の螞蟻金服が提供する中国最大規模のオンライン第3者決済サービスです。中国では、これまでセキュリティの問題や習慣の違いからデビットカード「銀聨(Union Pay)」が広く使われていたのですが、ここ数年急速に利用者を拡大しているのが「支付宝(Alipay/アリペイ」です。支付宝(Alipay/アリペイ)はスマホアプリで、中国ではインターネット上での標準的な決済手段になっています。淘宝網(taobao)以外の多くのインターネット通販サイトでも利用ができ、実名利用登録者数は4.5億人にもなります。自分の銀行口座と紐付けして簡単にチャージができるので、自分の給与振込口座を登録しているユーザーが多数を占めています。コンビニや飲食店での支払いやショッピング、公共料金の納付やチケットの購入、タクシー料金などの支払い、さらには知人への送金まで手軽にスマホで出来るので、ネットショップでの決済以外でも中国人にとってはほぼ毎日お世話になる、生活の一部と化したお財布代わりのサービスなのです。ですから海外旅行に出かける中国人旅行者にとって旅先でもこの使い慣れた支付宝(Alipay/アリペイ)が利用できるというのは大きな魅力となります。

中国人旅行者をピンポイントで狙う

支付宝(Alipay/アリペイ)が日本に進出して1年が経過しました。2015年に日本リクルート社と提携し、ビックカメラ、大型百貨店のパルコ、沖縄那覇空港免税店のエアポートトレーディングなどに展開したのを皮切りに、大手百貨店やコンビニ、そして9月には成田や関空内の全ショップ、さらに11月には御殿場プレミアム・アウトレット、 りんくうプレミアム・アウトレットでも導入されています。今後はこれらの利用状況を睨みながら導入する範囲を拡大していくというコメントも出されています。支付宝(Alipay/アリペイ)の日本での進出拠点の選択はピンポイントで、極めて正確に中国人旅行者が行き交うスポットに狙いを定めています。家電量販店やドラッグストアなど既に中国人旅行者がお得意様になっている店舗では支付宝(Alipay/アリペイ)での決済の導入を積極的に始めています。さらに一部の店舗では支付宝(Alipay/アリペイ)決済のPRに向けた販促活動も行われています。螞蟻金服のデータによれば、ヤマダ電機で行った中国の顧客の消費行動調査では、支払い方法の比率が以前は現金とカードとで50%ずつだったのが、今では支付宝(Alipay/アリペイ)、カード、現金の比率が3:3:4になり、また、ドン・キホーテでは中国人旅行者の支付宝(Alipay/アリペイ)決済の伸びは30~40%に達し、販促活動期間中にはその伸びは60~70%にも達したという報告もあります。

日本はやはり特別?

われわれ一般の日本人は現金やクレジットカード、プリペイドカードといった決済方法に馴染んでいて、モバイル決済にまだ慣れていないという現状があります。ペイパルやアップルペイに対してもまだまだ浸透したとはいえません。日本でもおサイフケータイがありますが、実は日本で主流の方式であるFeliCa(フェリカ)は世界的にはガラパゴス技術なのです。日本の電子決済はAPPによる処理ではなく、ハードに組み込まれたICチップによって処理を行っています。一方、支付宝(Alipay/アリペイ)はスマホの画面上にQRコードを表示させるというAPPとインターネットに依存した方式なのでハードウエアに対する特別な要求はなく、ハードウエアの方式が参入の障壁となることはありません。日本がガラパゴスであるため競合する相手がないので、見方によってはかえって進出がしやすいという状況があります。

外堀を埋める戦略

螞蟻金服は日本市場を国際化戦略の試金石とみなしています。激増する中国人旅行者の消費行動を通して中国の習慣を日本にも浸透させ、「スマホによる中国式決済」に対する認知度を高めようとしています。日本人に中国人の行動を浸透させるなどと言うと、まさかと思われるかもしれませんが、狙いはそこにあるのです。現状では一般の日本人が支付宝(Alipay/アリペイ)を利用しようと思っても特殊なケースを除いてはできません。仮にアプリを自分のスマホにインストールしても日本国内の金融機関の口座には全く対応していないのです。日本国内で支付宝(Alipay/アリペイ)が利用できるところが増えているということについては、一般の日本人は何も知らされていません。当面は日本人の利用ということはまるで念頭に置いていない戦略なのです。日本人も知らない間に、まず日本国内に中国人旅行者に対応できるインフラを整備させて、同時に中国人がスマホのQRコードで決済する様子を日本人に見せることによってその便利さを少しずつ伝え、やがては日本の社会に浸透していくことが究極の狙いなのです。訪日中国人旅行者の統計では2016年1月~10月の累計で551万2、700人と2015年1~10月と比べると28.7%の伸びとなっています。関空には「刷不完的支付宝,买不完的心斋桥」(がんがん使おうアリペイ。じゃんじゃん買おう心斎橋)という中国語の宣伝コピーが現れました。でも、これだって普通の日本人にはどんな意味なのかまるでかわからないコピーですよね。

日本を制するものは世界を制する?

今回の成田・関空への進出は、螞蟻金服の「グローバルエアポート戦略」の一環で、このほど発表された10の国際空港以外にも、すでに欧米の大規模ハブ空港との提携が合意に達していて、今後世界の代表的な30の国際空港で支付宝(Alipay/アリペイ)が利用できるようにするという目標を持っています。これは単に決済方法をサポートするだけではなく、APPによって、フライト情報の提供や、購入履歴や閲覧履歴に基づくユーザーの嗜好に合わせた周辺情報表示などを実現するサービスを展開していく予定であると、螞蟻金服の幹部が話しています。これ以外にも、螞蟻金服は将来的には中国人の生活の一部ともなっているこのプラットホームを活用し、中国人旅行者のインバウンド促進分野でも、日本の地方自治体や各地観光協会などと提携していくということも視野に入れているようです。日本市場は螞蟻金服にとっては一番の難関であると同時になんとしても確保したい最重要拠点です。この「不思議の国ニッポン」を攻略できれば彼らの世界戦略もその前途が開けていくのではないでしょうか。

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