目次
1. 「7月5日日本大地震予言」とは?中国での発端と広まり
・最初に噂が出たのは誰?どこ?出所の考察
この噂は、2025年春ごろから中国の動画投稿サイトやSNSで突如現れたもので、明確な発信者や出所は確認されていません。しかし、背景には日本で話題となった漫画『私が見た未来 完全版』(たつき諒 著)の存在があると考えられます。作者が「2025年7月5日に大災害が起こる夢を見た」と記した内容が、中国のSNSで「日本の漫画家が地震を予言した」として取り上げられ、拡散のきっかけとなった可能性があります。ただし、作中で地震や災害の場所・確度が明確に示されているわけではなく、内容はあくまで個人的な予知夢の表現に過ぎません。
・なぜ中国SNSで一気に拡散されたのか
中国のSNS文化では、「予言」や「陰謀論」といった非科学的なテーマがトレンドになりやすく、特に災害や天変地異に関する話題は注目を集めやすい傾向があります。日本で実際に頻発している地震報道が噂の信ぴょう性を裏付けるように見え、心理的な不安を煽ったことで、Weiboや抖音などの主要SNSで急速に拡散しました。一部のインフルエンサーが「注意喚起」として取り上げたことで、内容に真実味が加わり、多くのユーザーが本気で警戒する流れができたことも背景にあります。
・過去の地震デマと比較される理由
中国では過去にも「南海トラフ地震」「東京直下型地震」など、日本での大地震の噂が周期的に拡散されてきました。2021年には「関東で大震災が起きる」との噂が広まり、当時も中国人旅行者の一部が渡航をキャンセルする動きがありました。こうした過去の経験から、今回の「7月5日予言」も同様のデマと見なされる一方、SNSの影響力が年々強まっているため、より大きな波及効果を生み出しています。
2. 中国SNS上の拡散状況とユーザーの反応
・Weibo・抖音などでトレンド化した背景
2025年6月初旬以降、「7月5日日本大地震」というワードはWeiboのホット検索ランキングにたびたび登場し、抖音では関連動画が多数投稿されています。KOL(インフルエンサー)による拡散、動画の“科学的な”解説風の演出が不安心理を加速させ、多くのユーザーが内容を事実のように受け止める状況が生まれました。
また、小紅書(RED)でも同様に地震予言に関する検索関心の高さが見られます。以下は、小紅書の検索バーに「日本」と入力した際の検索予測結果です。検索候補には地震関連のワードや予言者の名前が含まれており、中国国内で“災害や予言”と日本が強く結びつけられて検索されている様子がうかがえます。

画像:小紅書における「日本」の検索予測結果(予言関連ワード)
3. 日本への影響:中国人旅行者とインバウンド業界の現状
・中国人観光客の渡航キャンセルや航空便の動き
この噂が拡散された直後から、一部の中国系旅行会社や航空券予約サイトで、日本行きの予約キャンセルが増加していると報じられています。JALやANAなどの航空会社は公式に減便を発表していませんが、業界関係者によると、6月中旬以降、中国発便のキャンセル率が前月比で15〜20%増加しているとの話もあります。とくに上海・北京・広州から東京(成田・羽田)への路線では、繁忙期にしては異常な空席状況が続いており、これにより一部便で機材の小型化や臨時便の取り消しが発生している可能性も指摘されています。2024年の同時期と比べても、訪日中国人数ベースで約12〜18%の落ち込みが推測されており、SNS上で広がった地震予言の影響が、実際の渡航行動に影響を及ぼしていることが読み取れます。
・日本の空港・ホテル・観光地で見られる影響
成田・関空など主要国際空港では、中国人観光客の比率が例年よりやや低下しているとの現場の声もあります。観光地や宿泊施設では「7月上旬のキャンセルが例年より多い」という報告も出ており、特に個人旅行者(FIT層)を中心とした動きと考えられます。地方の温泉地や文化施設などでも同様の傾向が見られ、インバウンド需要の繊細さが改めて浮き彫りになっています。
・観光・マーケティング戦略における教訓
今回の一件は、誤情報への対応という観点で、日本の観光業界に大きな課題を投げかけました。特に中国市場では、非公式情報でも現実の行動に直結することが多く、早期かつ信頼性のある情報発信が求められます。例えばSNSでの現地語対応、Q&Aの整備、旅行代理店との協調体制などが有効です。単なるプロモーションに留まらず、心理的不安への共感と対話が鍵となります。
4. まとめ:中国人の情報心理とインバウンド戦略の見直し
・なぜ“予言”が信じられるのか?文化的背景と心理
中国では風水や占星術、予知夢といった思想が一般生活に根づいており、非科学的な情報であっても一定の信憑性を持つと捉えられる傾向があります。特に災害に関する情報には「信じて備える」という自己防衛心理が働きやすく、それがSNSでの共感と拡散に繋がっています。日本側から見ると根拠が曖昧でも、文化的背景を理解することが、リスクマネジメントの第一歩になります。
・不安拡散に企業はどう対応すべきか?リスク管理の重要性
今回のような不安拡散には、事前準備と危機対応の両立が求められます。特に中国市場では、現地語での正確かつ迅速な発信が、誤情報との分断線となります。現地スタッフやパートナーと連携し、FAQや対応マニュアルを整備することで、顧客・旅行者の不安を軽減できます。「否定する」のではなく、「共感しつつ正す」という姿勢が、ブランドへの信頼を築きます。
・今後のインバウンド集客で重視すべき「信頼構築」とは
今後の中国向けインバウンド戦略においては、単なる集客よりも「信頼構築」が極めて重要になります。不安や噂が簡単に拡散される時代において、旅行者に「この国・この企業は安心できる」と思わせるには、継続的な情報発信・透明性・文化理解が不可欠です。災害やデマが起きるたびに一喜一憂するのではなく、常に備える姿勢が、持続的な関係構築につながります。


