中国のインターネット通販市場において最大の商戦日である11月11日「独身の日(双11)」、今年は、EC最大手のアリババの天猫(Tmall)は、午前0時のセール開始から過去最速となる3分1秒で流通総額は100億元(約1700億円)を超え、またライバルで業界2位のJD.com(京東商城)も、開始から7秒で注文1億元(約17億円)を超えたと明らかにしました。売上合計はアリババが過去最高となる1,682億元を達成し、JD.comも1,271億元に達し、2社合計で2,953億元(5兆201億円、1元17円換算)に達しました。
アリババの「独身の日」
GLOBAL SHOPPING FESTIVAL 2017
アリババグループ天猫(Tmall)の2017年「独身の日(双11)」セールは取扱高(GMV)が過去最高となる1,682億元、日本円で2兆8,594億円(1元17円換算)を記録しました。 |
<開始28秒で10億元突破>
スタート後11秒で取扱高は1億元を突破し、11秒で17億円が流通した計算になります。ちなみに、2016年は1億元を突破したのはスタート後20秒です。10億元を超えたのは28秒後で、2016年の52秒よりはるかに上まる速さで、170億円の取扱高が発生しました。
<6分で200億元突破>
スタート後3分には100億元(日本円で約1,700億円)、そして6分後には200億元(日本円で約3,400億円)を突破しました。2016年は100億元を突破したのは6分58秒で今年は倍の速さでした。
<40分で500億元突破>
スタート後40分には500億元(日本円で約8,500億円) を突破しました。2016年は500億元を突破したのは2時間30分です。
<1時間で571億元突破>
スタートから1時間49秒で571億元(日本円で約9,470億円)を達成。2016年はスタートから6時間54分52秒でした。
<2時間15分で800億元突破>
スタート後2時間15分で800億元(日本円で約1兆3,600億円)を突破。2016年はスタートから12時間29分26秒後に824億元に達していました。
<9時間で1,000億元突破>
スタート後9時間4秒で、1,000億元(日本円で約1兆7,000億円)を突破。2016年はスタートから18時間55分36秒で1,000億元を超えました。
<13時間で1,207億元突破>
スタート後13時間9分49秒で、2016年の「独身の日」1日で記録した取扱高1,207億元(日本円で約2兆519億円)を突破しました。そして最終的に取扱高の総額が過去最高となる1,682億元(日本円で2兆8,594億円)となりました。
アリババの「独身の日」の取扱高推移
年 | 取扱高 (1元17円換算) | 成長率 |
2009年 | 0.5億元 (8.5億円) | ― |
2010年 | 9億元 (153億円) | 1,800% |
2011年 | 34億元 (578億円) | 377.8% |
2012年 | 191億元 (3,247億円) | 561.8% |
2013年 | 350億元 (5,950億円) | 183.2% |
2014年 | 571億元 (9,707億円) | 163.1% |
2015年 | 912億元 (1兆5,504億円) | 159.7% |
2016年 | 1,207億元 (2兆0,519億円) | 132.3% |
2017年 | 1,682億元 (2兆8,594億円) | 139.4% |
取扱高の推移は2016年、2017年ともに、最初の2時間で総取扱高のおよそ半分を達成しています。アリババの「独身の日」セールの仕組みは、11月11日の約1週間前から予約注文を開始し、「独身の日」当日に決済を行うことと、また、前日などに買い物カゴへ商品を入れておいたまま「独身の日」に決済するという消費者も多く、その結果、「独身の日」当日に決済が集中するため、スタート当初にアリババグループの取扱高は急拡大します。そして、取扱高総額は2.85兆円に達し、今年は昨年に比べ139%の成長率でした。
2016年と2017年の取扱高比較(出典元:fcafe.inc)
JD.comの「独身の日」
1,682億元の取扱高を記録したアリババグループでしたが、一方、JD.comは躍進が著しく、取扱高は1,271億元(日本円で2兆1,607億円)と前年401億元の3倍に拡大しました。JD.comの販売方法はアリババと異なり、11月1日~11日を「独身の日」キャンペーン期間と設定し、その期間内に決済された取扱高が1,271億元となりました。JD.comの基幹ビジネスは直販のネット通販のため、注文を受けた商品はすぐに発送することを重視しており、注文の85%は11月11日までに配送処理を終えたといいます。予約という注文方法をとるアリババに対して、JD.comは堅実に小売りビジネスを展開しており、取扱高の急拡大の背景には、「すぐに商品が欲しい」といった消費ニーズが増えているため自社開発の物流テクノロジーを駆使して対応していることがあげられるようです。
12月には「ダブル12(双12)」
11月11日「独身の日」セールが終了したばかりですが、中国EC業界の関心はすでにCtoCモール淘宝網(Taobao)で12月12日に開催されるイベント「ダブルトゥウェルヴ(双12)」へと向けられています。この「ダブルトゥウェルヴ(双12)」は2009年に開始した天猫(Tmall)の「双11セール」の成功を受け、2012年からは淘宝(Taobao)でも12月12日に「双12」というイベントを開催することになりました。これが間もなく開催されるCtoBイベント「ダブルトゥウェルヴ(双12)」というわけです。「ダブルトゥウェルヴ(双12)」は12月3日から11日の間にイベント参加申し込みをした全ての商品が平等に消費者へ展示されます。12月3日から11日の間、消費者は特別ページから自身のウィッシュリストを作成でき、リストに該当する全商品、価格、イベント時の価格変動などを見ることが出来ます。また、販売者に対し割引やサービスなどを要求でき、販売者も消費者の反応を見ながら販売時の割引幅を調整することができます。「ダブルトゥウェルヴ(双12)」のイベント結果についてアリババがどのようなデータを公表するか、また淘宝(Taobao)の出店店舗がどれぐらいの利益を得ることができたのか、終了後の中国メディアの報道が注目されます。
年が明けたら次は春節セール
中国最大のイベント春節(旧正月)、2018年は2月16日、春節の休みはまだ発表されていませんが、2月15日~2月21日の7日間と予想されます。春節は、日本の正月と同じように消費者の財布のひもが緩む時期でもあり、日本での年末年始と同様、中国では春節がセール期間になります。春節の2週間ほど前から大型スーパーやショッピングモールでは、売り場全体が幸運の色「赤」で染まり、大売出しが始まります。そして、アリババグループで東南アジア最大級のECサイトLazadaの「CHINESE NEW YEAR SALE」や中国ECモール出店各社でも中国春節セールが実施されます。
アリババの天猫(Tmall)では年間を通して数々の催事が行われており、別記事の「天猫の大セール“双十一”」で紹介しておりますので、そちらもご覧いただければ幸いです。