1日動画再生量が10億回を超えた抖音(Tik Tok)はどのように事業化の扉を開いたか?
抖音(Tik Tok)は中国の若者が求める製品の事業化を始めた。
既に、快手(Kuaishou)、美拍(メイパイ)、秒拍(Maiopai)、小咖秀といったよく知られているショート動画アプリがあるので、このビジネスに参入した抖音は後発だといえるでしょう。腾讯(Tencent)、阿里(Alibaba)、微博(Weibo)、美图(Meitu)などはショート動画のビジネスの基盤を作り上げました。この期間、腾讯(Tencent)はショート動画の最大手である快手に投資しました。これは、抖音にとって、大きな圧力になったといえるでしょう。
ただし、始まってこの1年あまりの間に、バーチカルミュージックのショート動画の業界で、ダークホース的な抖音は、非常に勢いをつけ、今では快手と共に話題にされるまでに急速に成長しつつあります。抖音の最新データによると、8月の1日平均VV(一日動画再生量)は、既に10億回を超えました。第3者側のモバイルインターネット専門の調査研究会社QuestMobileのデータによると、抖音のDAU(デイリーアクティブユーザー)は1000万人を超えたとしています。5月の初めには、抖音の1日平均VVは億を超え、DAUは、100万のレベルに達したとされました。
多くの人の印象にある低層の生活が明るみに出た快手とは異なり、抖音は独自の雰囲気を放ち、1線 及び2線 の都市に住む若者の間で人気となり、生活の一部になるまで浸透しています。
抖音のユーザーは、その85%以上が24歳以下とされています。
このデータから見ると、抖音のスタートは非常に良いといえます。今年の8月になって、今日頭条は、数億ドルを投資し、抖音のグローバル化を推進することを発表しました。最近では、抖音はAirbnb、哈啤(ハルビンビール)、シボレーと提携し、3つのブランドの動画広告をはじめて出し、正式にビジネスを立ち上げる予定です。事実上、ショート動画は、そのビジネスモデルが比較的単一で、主に、広告、Eコマース、ライブ、MCNなどに集中している上に、多くの問題が解決されないままとなっています。
抖音はなぜ今事業化を進めるのか?ブランドの動画広告で、どのようなイノベーションを行ったのか?将来はどのような事業を起こそうとしているのか?抖音に立ちはだかる大手に対しどのように勝ち抜こうとしているのか? 36Krの記者が独自に抖音の製品責任者の王晓蔚に、インタビューし、初めて抖音の商品化に対する考えについて聞きました。
なぜ今事業化を進めるかということについて話すと、王晓蔚は、これは非常に必然的で、突発的なことではないと考えています。今日頭条からのプレッシャーがあるかどうかは、王晓蔚は、当然ながら更なる収益を得るための努力が必要だとしましたが、社内では確固たる目標があるということでもないと言いました。
具体的には、彼は、抖音は一定の市場規模に達したと認識していて、優良なデータとコミュニティがあるといいます。また、ブランド広告も以前より多くの検証を行っていて、そのような優れた内容は広告マーケティングに非常に良い効果をもたらします。同時に、事業化に着手した後、人気者になることはユーザーにも非常に意義があります。
一番重要なのは、多くのブランドが抖音の成長を見てきたことで、彼らのニーズも徐々についてきたということです。ただ、このようなことは始まったばかりで、広告代理店からいかに更なる予算を得たとしても、やはり難題であるかもしれません。
また、今回Airbnb、哈啤(ハルビンビール)、シボレーと提携した広告で、革新的なのは、初めてインストリーム動画を行ったことにあり、また、広告主が始めてフルスクリーンでのオリジナルインストリーム動画を行ったことでもあります。王晓蔚は、「オリジナルのブランド広告は、まだ誰もやったことがない」とし、これも抖音の事業化のパワーとなっています。抖音を除いて、快手もショート動画のインストリーム動画を内部で行っているところだとしているものの、具体的には明らかにされていません。オリジナルのインストリーム動画の広告以外で、抖音はすでに、新たな独自のビジネスに挑戦しています。
将来の事業化の可能性では、王晓蔚は、上限を設定しませんが、商品に合うモデルを優先的に考慮するとも述べました。プラットフォーム以外での試みを除いて、王晓蔚は事業化されたら多くの人気ユーザーが稼ぐチャンスにもなるだろうと明かしました。
以下は抖音の責任者王晓蔚と36Kr記者とのインタビューの記録です:
36Kr:数日前、抖音とAirbnb、ハルビンビール、シボレーとの提携による3つのブランド広告を見ました。
広告の具体的な提携について教えていただけませんか?どうして抖音のビジネスは現在のこのような方式になったのか?どのようなイノベーションがありましたか?
王晓蔚:Airbnb、ハルビンビール、シボレーとの3つの広告は、抖音が最初に試みたインストリーム動画で、また初めて広告主がフルスクリーンでのオリジナルインストリーム動画を行ったことでもあります。抖音にとって、彼らは広告でありながら同時に、優れた15秒間のショート動画でもあります。このモデルは将来の抖音の事業化のパワーになるでしょう。
抖音の選択は、業界では確かに少し特異だといえます。ショートムービーの業界では、ショート動画のデータ通信量、ライブのチップ、アプリのコミッションが一般的なビジネスで、中にはショート動画のプラットフォームを通じてビジネスの提携を試みたところであります。しかし、オリジナルのブランド広告は、まだ誰もやったことがありません。
抖音にとってオリジナルブランド広告が事業化のスタートですが、これは商品の雰囲気にぴったり合うからです。抖音のユーザーは世代が非常に若く、製品に雰囲気があって、かっこよくおしゃれです。だから、このようなブランド広告を行うことにとても適しているし、できるのです。
前期発表されたオリジナルブランド広告:シボレー、ハルビンビール、airbnb
当然、これも広告主がわれわれの新しい試みに協力してくれたので広告が出せました。独自の消費者が使うものを開発しなければ、ユーザーはブランドに対して好感を持たないでしょう。
ただ、抖音のこの半年間、多くの方が我々を評価し、多くのブランドは提携したいと希望されています。多くの顧客が提携の意を示していて、社内で顧客の広告に対して比較を実施しました。3度の比較を経て、その結果Airbnb、シボレー、ハルビンビールが選ばれ、皆さんが見られた広告ができたのです。
これはただ、抖音のブランド広告の第一歩に過ぎず、この業界で先駆者になることを目指しています。我々はもっと面白いブランドを創り出すことができると信じています。
36Kr:ショート動画において、多くのコンテンツを開発してきました。しかし、それらは以前からあったものの、多くは事業化が進んでいないか、突破口が見つかっていません。設立1年の抖音が今事業化を推し進めるのはなぜでしょうか? どのような考えを持っていますか?
王晓蔚:抖音が今の時期に、事業化を始めるのは、いたって自然なことです。
まず、はじめにコンテンツが一定規模に達しました。8月の一日平均VVは既に10億回を超えました。と同時に、我々のユーザーは非常に若い世代で、85%を超えるユーザーが24歳以下です。
次に、ブランド広告は、以前より試験的な試みを行ってきているビジネスモデルです。抖音は、摩拜(Mobike)、京東、滴滴(Didi)、必胜客(ピザハット)などのブランドと提携を続けてきました。
たとえば、VAVAが摩拜(Mobike)に提供したショート動画はとてもすばらしく、ひとつの動画で25万を超える「いいね!」を獲得しています。第一に優れた内容であってこその広告です、提携先の反応も非常によく、縦型スクリーン広告は業界のトレンドになると思います。次に、抖音の若者世代に支持があり、とてもホットなコミュニティとなっていることです。
同時に、抖音の事業化で、ユーザーが人気者になることは非常に意義があると確信しています。
目下、ショート動画の業界でこのような人気のユーザーが稼ぐやり方は非常に単一化していて、We Chatか、ライブのチップのどちらかぐらいです。抖音は、オリジナルブランド広告に、彼らを投入しています。张欣尧、Boogie93、大喵哥は、Mobikeのショート動画に参加しました。反響は非常によく、张欣尧の動画アクセス数は20万を超えました。
多くのビジネスパートナーは我々よりもっと焦りがあると感じています。それは、なんといってもこんなに優れたデータとコミュニティがあるからです。頭条の同僚が、外部との提携を持ちかけて来たこともありました。
抖音が提携をオープンにする前に、いくつかのブランドは早々と自分のアカウントを創設し、コンテンツを発信していたということもありました。
36Kr:これらブランド広告の提携はどのようなものですか? 3つの広告の反響はどうでしょうか?抖音のユーザーのこれら広告に対する評価はどうでしょうか?
王晓蔚:今のところ、どれもブランドオーナーと我々の直接の対応となっていて、共同企画することでブランド広告のオリジナリティとクオリティをコントロールしています。広告は抖音の縦型スクリーンのショートスクリーンからなり、ユーザーのインフォメーション欄に流れます。広告はユーザーの興味を引く内容で、抖音と独自に融合させた広告になります。
この提携でもあったように、まず我々は顧客に対し、抖音の動画の風格や特徴を説明します。たとえば、映像、トランジション効果、リズム感といったものは抖音の代表的な動画の要素です。 広告の製作段階でも顧客との関係を維持し、撮影のアドバイスも行います。
これまでのところ、3つの動画の「いいね!」、評価、シェア等のSNSプラットフォームではどれもトップにいます。全体的にユーザーの反響は正しく反映され、シボレーのMARIBU XLの広告動画で、あるユーザーは「20回以上も聞いた」とコメントしています。
これは、事業化前の試験段階で得た結果と一致していて、内容自体がよく、オリジナリティーもあり、ユーザーにマイナスイメージも与えません。もちろん、これは広告主の開発能力に対しても一定の要求があります。
36Kr:ショート動画を流すやり方はまだ新鮮です、が、やろうと思う企業はあっても、予算は限られています。抖音はショート動画をどのようにユーザーに認知されるように市場に送り込んだのか?抖音の85%のユーザーは24歳以下で、95年以降や00年以降の世代です。抖音がブランド広告の提携を行うときどのような会社に魅力を感じますか?抖音のショートムービーの性質や中国全体のインターネットユーザーのギャップは、広告主に影響を及ぼしますか?
王晓蔚:私たちは顧客のリソースの問題を心配しているわけではありません。逆に、今年抖音がこの業界に参入して以来、とても多くのブランドが抖音と提携したがっています。
データ通信はますます高くなり、多すぎるコンテンツはユーザーの気をそらしています。
ブランドオーナーからすると、広告の内容の伴うものにし、より短い時間で顧客をひきつけようとします。
将来的に、ブランドマーケティングは、独創性や個性が求められるようになり、抖音はまさにこのトレンドと合致しています。
中国のインターネットは巨大市場です。広告業界も同じように巨大な市場です。抖音は最も得意な分野でシェアを拡大していくでしょう。抖音は、若く、プライドが高く、トレディで、1線 及び2線 の都市に住む若者に巨大な影響力があります。Airbnbやハルビンビール、シボレーは、抖音のユーザーと彼らが影響を及ぼすターゲット顧客を重視するからこそ我々と組んだのです。
36Kr:ショート動画で稼ぐ方法は、広告や、Eコマース、カスタマークオリティ、ライブ、MCNといったものに集中しています。将来、抖音はどんな事業化に力を入れていきますか? また、逆にどんなことはやらないでしょうか。
王晓蔚:オリジナルのインストリーム動画広告以外で、私たちが独自に立ち上げたビジネスはひとつの事業化のモデルです。以前、私たちはレノボをとの提携でこのようにやりました。キャンペーンの運営とユーザーが参加してできた作品は爆発的な人気となりました。
将来の事業化の可能性として、私たちは上限を設けることをしませんが、製品にあったビジネスのモデルを優先的に考慮します。
36Kr:抖音は今回事業家を進め、「2020年前に達成目標としている100億ドルの収益」にプレッシャーはありますか?
王晓蔚:当然ながら、大きな目指す方向はあります。ただ、確固たる目標はありません。抖音の事業化は確実にできると判断しているからするのであって、売上げのプレッシャーではありません。抖音は急速に成長していて、製品の成長が一番の任務です。
36Kr:今では、大手のショート動画が稼ごうと動いています。今後人気あるユーザーの争奪戦に入っていくかもしれません。抖音はどのようにこのような人材を引き止めようとしますか?美拍の「辺看辺买」や「Meipai M 企画」のようなショート動画を開発することはありますか?
王晓蔚:抖音は人気ユーザーと密接な関係にあります。それは、抖音の独特の雰囲気、データ通信量の多さ、そして、配信能力の3点から来ると思います。
抖音は、今のところ、若者向けのショート動画の分野でライバルがいません。と同時に、人気ユーザーが作り出すコンテンツは独自の拡散が実現できると踏んでいます。彼らの多くが微博をやっていますが、そこでアップされる内容は転送やコメントされることはまだ多くありません。また、抖音の達人とユーザーは同じアイデンティティーを持ち、抖音の若さやクールに共感しています。
私たちのビジネス戦略は必ず収益を考慮します。先に話した新しいビジネスとは人気ユーザーとの深い提携関係を構築することです。彼らは、ブランドのショート動画に起用されて抖音から稼ぐことができます。将来、彼らの多くがショート動画でお金を稼ぐチャンスとなります。
どのような形に落ち着くか、ネット上の「辺看辺买」なのか、それらは、テストの結果次第です。ショート動画の遊び方はたくさんあると信じています。
36Kr:抖音の事業化を実現する中でどこが有利ですか? また、困難なことは?
王晓蔚: 最大のアドバンテージは、私たちはこの業界の開拓者であることです。縦型オリジナルショート動画広告は、95年世代やミレニアムに向けて作られたものですが。開拓者のアドバンテージは古いものにとらわれることがないということです。
困難なこともここにあります。抖音が業界のリーダー的ポジションにいることです。成長途中のビジネスで、試行錯誤しながら、未開拓の分野に挑戦しなければなりません。
36Kr:快手もインストリーム動画広告をやりましたが、抖音はこの2社が打ち出した同様のサービスをどのように見ていますか?
王晓蔚:まだ快手のインストリーム動画広告を見ていませんので、コメントはできません。
36Kr:腾讯(Tencent)、阿里(Alibaba)、微博(Weibo)といった大手はショートムービーの基盤を作り上げました。腾讯(Tencent)はまず快手に投資、最近ではショート動画のシェアアプリ、QIMを始めました。また、微视も復活させるつもりです。腾讯(Tencent)はまだ微信でショート動画を増やす予定で、これはショート動画のクリエーターが名を売る絶好のチャンスになります。そして実現する潜在的能力も大きいです。抖音はこの競争にどのように向き合い、また、どこからのプレッシャーが大きいと感じていますか?
王晓蔚:大手の参入は、私たちのやっていることが想像力のあることを証明しているでしょう。道は険しいものになりますし、大手は大手のアドバンテージがあります。しかし、抖音は自信があります。私たちはしっかりやるだけです。
36Kr:この1年間で、抖音がすばらしい業績を残せた要因はどこにあるでしょうか?
王晓蔚: まず、チームがオープンだということがいえます。ボーダーラインを引かないことです。国内の人々が今のようにショートムービーを知らない時期でも、私たちは簡単にあきらめませんでした。より良くしていこうとチャレンジしたのが、後の抖音となり、私たちのアドバンテージだといえます。
当然、私たちの技術力は重要です。AI Labは抖音をサポートする専門のチームです。強力な技術と能力が絶えず新しいフィルタや効果を生み出し、ユーザーに新しい体験と遊び方を提供しています。
私たちが開発した“憨厚”は、全国で爆発的な売上を記録しました。今では、誰もが使うアプリの機能になりました。