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中国政府が大手IT企業の経営に直接関与

中国政府が国内の大手IT(情報技術)企業の株式を取得し、各社の経営に直接影響力を行使しようとしています。

中国政府が国内IT大手の株式を取得

中国のインターネット規制当局は、民間企業の影響力が強まっていることを懸念し、国内IT大手の株式を1%取得することについて各社と協議しており、インターネットサービス大手の「騰訊控股(テンセントホールディングス)」、同業の新浪(シナ)傘下の「微博(ウェイボ)」、EC最大手の阿里巴巴集団(アリババグループ)傘下の「優酷土豆(Youku Tudou)」の3社が対象といいます。中国政府はすでに規制を通じて各社に影響力を行使していますが、経営に関与するようになれば、国内に数億人の顧客を持つ革新的企業を直接管理することになります。事情に詳しい関係者によると、中国政府が「特別管理株」の取得を始めたのは、新興のネットメディア企業2社が最初で、規制当局と人民日報は、ニュースサイト「一点資訊」の株式と、愛国主義的なニュースサイトを運営する「北京鉄血科技」の株式を2%未満ずつ取得し、それと引き替えに同社の取締役会に政府関係者を送り込んで経営に影響力を行使できるようになったとのこと。また、中国政府による株式取得計画を主導し「一点資訊」の株主でもある「国家互聯網信息弁公室」は、質問は共産党中央宣伝部に対して行うように指示していますが、同宣伝部はコメント要請に応じず、他のネット規制当局も同様の対応で、「一点資訊」と「北京鉄血」はコメントを拒否しており、「テンセント」「ウェイボ」「アリババ」もコメント要請に応じなかったといいます。

規制当局の圧力

規制当局は9月に、テンセント、ウェイボ、 百度(バイドゥ) が出資する3つの大手ソーシャルメディアが、ポルノ画像や偽ニュースなどの禁止コンテンツを見逃していたとして制裁金を科しており、IT企業に対する風当たりが強まっています。共産党機関紙「人民日報」はテンセントの人気モバイルゲーム「オナー・オブ・キングス(王者栄耀)」について「若年層ユーザーが依存症になっている」と批判し、これを受けて同社の株価は1日で4%下落して140億ドルもの時価総額が吹き飛びました。このような事情から企業各社は当局に従わざるを得ません。共産党中央組織部の斉玉副部長は10月19日、記者団に対して「外資系企業は社内に党組織を設置するという規定を歓迎している」と述べており、外資系企業がこうした圧力に屈服すると見ているのでしょうか。

共産党の企業支配状況

中国共産党は3178社に対し「党組織を社内に設置し、経営判断は組織の見解を優先する」との項目を、年内に株主総会などの手続きを経て定款(会社の規則)に盛り込むよう要求しており、日本経済新聞社が7月末時点で上海証券取引所に上場する1,304社と深圳証券取引所に上場する2,010社の合計3,314社の中国本土市場に上場する全企業を対象に調べたところ、党が経営判断に深く関わることを容認するなどの項目を盛り込んだ企業が4月以降8月時点で約288社にのぼっていることがわかりました。中国の大企業は国有が中心ですが、大半は外国企業との合弁事業を手がけているほか、上海や深セン、香港の証券取引所に上場したり、社債を発行したりして海外の投資家との関係を深めており、また、国有企業だけでなく、地方政府が出資する企業、習指導部との関係強化を望む民間企業の間にも追随の動きがあり、中国経済を支える企業構造は一段と異質なものになりそうです。党の意向をくんだ経営が一段と強まれば、外資企業にとって合弁事業など中国投資のリスクが高まる可能性があるため、国際秩序と相いれず新たな摩擦を生む恐れもあります。

会社定款の書き換え

中国の憲法では党が国家を指導すると明記されており党主導の国とはいえ、株主に一般投資家も多い上場企業が、党が企業経営の意思決定にまで関与することを自ら容認し、定款まで書き換えるのは異例のことです。具体的には「企業内に党の中心的地位を認める」「社内に党組織(党委員会)を設立する」「重大な経営の決定事項の際は、事前に社内の党組織の意見を優先的に聞く」「会社の経営トップは社内の党組織トップを兼務する」などの内容が明記されました。業種も多岐にわたり、中国工商銀行など四大銀行や鉄鋼大手の宝山鋼鉄、通信大手の中国聯合網絡通信、トヨタやホンダと合弁事業を行う自動車大手の広州汽車集団などが含まれています。広州汽車は社内に党組織をつくり、そこに十分な人材を配置し、活動費も企業負担を保証するという内容まで定款にわざわざ盛り込んでおり、その背景には、習近平国家主席が党による指導を強化して体制の引き締めを図っていることがうかがえます。

習近平国家主席の権力基盤が固まったことにより、社会全般への党の影響力がさらに高まるのは必至です。中国企業への党支配がさらに広がり、外資企業にとっては合弁相手の中国企業が党の意向に振り回され、迅速な意思決定ができずに経営が滞るといったリスクを抱えることになります。中国投資については今まで以上に慎重な経営判断が求められそうです。

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