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爆買いにきてる中国人はどのような客層なのか

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爆買いにきてる中国人はどのような客層なのか

数年前まで訪日中国人の代名詞だった「爆買い」 は、テレビのニュースでもたびたび報道され、その爆発的な認知度から2015年には流行語大賞に輝き、この勢いはどこまで続くの!と思われていましたが、2016年あたりから急速に衰退してしまいました。今ではニュースからも消え、ついには日本銀行が「(爆買いは)終息に向かっている」と発表するに至りました。
爆買いはこのまま終焉に向かうのでしょうか! 爆買いの主役とも言える2種類の訪日中国人を追いながら、爆買いが減衰した要因を探ってみます。

2017年春節 訪日中国人の「爆買い」は相変わらずだった

爆買いのブームが去って1年、日本のメディアは「今年の訪日中国人は爆買いをしないで、文化体験などをしにやってくる」と報道していましたが、中国メディアは「春節の日本では、中国人観光客が「爆買い」している」という記事を掲載しました。さらに、銀座の三越デパートのブランド品売り場では中国語が話せる案内係を配置し、大勢の中国人がショッピングをしていたと紹介、秋葉原のラオックスでも店頭には中国人客で人だかりができていたと報道しました。特に、ブランドの腕時計、空気清浄機、美容用品、おもちゃ売り場に多くの客がいたと伝えました。
訪日中国人は体験型観光に移行していると言いますが、確かに買い物以外のことに楽しみを求める人も増えていて、以前のような異様にも映った「爆買い風景」は見られなくなっていますが、中国の大型連休には、日本の免税店やデパートに中国人観光客が群がる光景は、これからも続くことでしょう。

爆買いにきていた中国人はどのような客層なのか

爆買いがトレンドだったころ、その主役だった中国人の客層は2種類に大別されます。1つは「自分のための爆買い」をする富裕層で、中国では入手できない上質・安全な商品や、ネットで話題の品物など、納得できる物を日本に来て購入します。彼らのこだわりは「日本人のために作られた日本製の商品」です。
友人や知人が先に買って評価されている家電・化粧品・健康食品などを大量買いして、自分で使ったり友人知人に配ったりする他に付け届け用にもします。

    2つ目の客層は、日本でまとめて買った商品を中国に帰って転売する代購業者です。日本に出発する前にネットで注文を受け付け、日本で買って中国に帰ってから注文者に郵送します。通常の輸入は関税がかかりますが、代購は関税がかからないため、注文した人は割安に購入できます。中国で人気のECサイト「淘宝 タオバオ」には代購の店が多数あり、欲しい商品を注文できます。
    訪日中国人で、爆買いをしていた主役は富裕層と代購業者でした。

    それでも中国人の爆買いは急速に衰退している

    2016年に入って、訪日中国人爆買いの主役だった富裕層や代理購入業者たちが、まとめ買いをする姿を見られなくなりました。
    爆買いが減った理由は、初来日する訪日中国人が減り、リピーターと中間所得層が増えて買い物が日用品などに移ったことがあります。もう一つは、2016年4月に中国政府が、国内消費喚起のため外国製品を国内に持ち帰るときにかかる関税を強化しました。この結果、高級腕時計は60%、酒・化粧品は60%になり、転売を目的にしていた代購業者が姿を消しました。

    さらに、インターネットの普及でEC(Electronic Commerce電子商取引)を利用する中国人が増加し、それは海外のECサイト(越境EC)へと発展していきました。中国でスマホを使って日本のECサイトで買い物をすれば、わざわざ訪日して爆買いする必要性がなくなってきました。

    中国人は何処に向かうのか

    爆買いの必要が亡くなった中国人ですが、だからといって訪日中国人が減っているわけではありません。爆買いしていた富裕層はリピーターとして訪日しています。訪日中国人の数は2013年以降増加し続けていて2016年には637万人と過去最高で、2017年(1~4月)に入っても前年より10%近く増えています。
    訪日中国人の一人当たり買い物代は減っていますが、訪日した人の数は増えているため全体の買い物代はアップしています。
    旅行者の消費行動は変化し、ショッピングからレジャーや食事など体験型の日本を楽しむ中国人が増加しています。「温泉でのんびりしたい」「農業体験をしたい」「日本の精神性を学びたい」「日本の普通の暮らしを体験したい」「お祭りに参加したい」「雪の中で生活してみたい」などの中国人の声があります。このような体験をするために、自由な時間がある個人旅行へ移行しています。
    また、新しいキーワードとして『洗肺(シ―フェイ)』がブームになりそうです。中国の大気汚染は深刻な状況で中国人はきれいな空気を求めて訪日し、北海道・長野・福井・佐賀などに向かうようです。これは中国の旅行代理店のアイデアだそうで、日本の地方観光を手軽な洗肺(シ―フェイ)スポットとして売り出しています。

    まとめ

    訪日中国人が家電やブランド品に群がる姿が毎年のように報道された「爆買い」ですが、2016年になって潮が引くように消えてしまいました。日本のバブル期のように儚く消えた「爆買い」でしたが、訪日中国人の消費総額は減っていません。彼らの日本の楽しみ方が「買い物」から「体験型」に移行していると言われています。リピーターとして訪日している中国人富裕層を含め、訪日旅行者のニーズの変化を素早くキャッチし、それに柔軟に対応した「おもてなし」が大切だと考えられます。

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