2016年の訪日外国人数は2,400万人(このうち、訪日中国人は637万人でトップ)を突破し今年も増加傾向にあります。政府は2020年の訪日外国人数の目標を「4,000万人」に設定し、さらなる誘客活動を展開します。その一つとして訪日外国人を地方空港に誘客するための方策を打ち出しました。2020年の目標4,000万人を達成するためには、現在、訪日外国人の入港率が5%しかない地方空港を整備し、受け入れ体制を強化して訪日外国人を誘客する必要があります。
目次
地方空港の訪日外国人受け入れ状況と今後への期待!
ここで言う地方空港とは、主要7空港:成田、関空、羽田、福岡、那覇、中部、新千歳 以外の空港のことで全国に約100の地方空港がありますが、国際便の発着がある地方空港は22の空港(2014年12月26日現在)です。この中で中国便がある地方空港は13空港になります。
2016年の訪日外国人受け入れ割合は、主要7空港が全体の95%を占め、地方空港を全部合わせても5%にしか至ってない状況です。それでも地方空港の訪日国人受け入れ数は増えており、2012年の46万人に比べると2016年は109万人と2倍以上に増加しています。
訪日外国人数を2020年に4,000万人にするためには、大都市圏への誘客増大と共に、地方への受入拡大が大変重要です。このため国交省は、地方空港がLCCなどの国際線就航の取り組みを推進できるよう「訪日誘客支援空港」に認定し、新規就航や増便にかかる補助、航空旅客の受入施設を高度化する支援など、総合的に援助することを決定し、「訪日誘客支援空港の認定等に関する懇談会」を設置して進めることにしました。
「訪日誘客支援空港」認定までの経緯!
【訪日誘客支援空港認定までの経緯】
2017年2月27日 訪日誘客支援空港の認定に関する第1回懇談会開催 (認定基準の作成)
2017年3月15日~4月21日 訪日誘客支援空港 希望空港の募集
32空港が申請
2017年6月6日 第2回懇談会開催 応募空港内容ヒアリング
2017年6月8日 第3回懇談会開催 応募空港内容ヒアリング
2017年6月30日 第4回懇談会開催 有識者委員が申請内容を審査
2017年7月4日 訪日誘客支援空港を認定
国交省が「訪日誘客支援空港」に32の地方空港を認定!
2017年2月に認定基準を作成、3月に募集を開始してから4ヶ月後の7月4日に32の空港が「訪日誘客支援空港」に認定されました。認定された空港の実情に合わせ、より効果的な支援をするため3種類の型に分類され、支援内容が決まりました。
拡大支援型(24空港)
訪日誘客に一定の実績があり、さらに拡大に向けた計画・体制を有している空港
・稚内、釧路、函館、女満別、帯広、旭川、青森、仙台、茨城、新潟、静岡、小松(石川県)、南紀白浜(和歌山県)、岡山、広島、山口宇部、米子(鳥取県)、高松、徳島、松山、北九州、佐賀、熊本、鹿児島
【国による支援内容】
「地方空港受入環境整備事業費補助金」及び「CIQ施設整備補助」による支援
※CIQとは出入国手続きの総称で、税関・出入国管理・検疫のことです。
継続支援型(6空港)
訪日誘客に一定の実績があり、着実な計画と体制を有している空港
・花巻(岩手県)、福島、長崎、大分、宮崎、那覇
【国による支援内容】
現行インバウンド割引制度、「地方空港受入環境整備事業費補助金」の一部による支援
育成支援型(2空港)
訪日誘客に高い意欲を持ち、国の支援で訪日客の増加が期待される空港
・松本(長野県)、下地島(沖縄県)
【国による支援内容】
継続支援型と同様の支援+航空局・観光庁・JNTO等による訪日誘客実現に向けた戦略・計画策定等の伴走支援
まとめ
政府は、2020年に中国人をはじめとする訪日外国人数を4,000万人にする目標を設定しましたが、そのための課題の一つである地方空港への支援策を紹介しました。多くの訪日外国人を受け入れる空港、宿泊施設の環境整備が予定通り進み、当面のターゲットである2020年に目標を達成することを期待します。
さらに2030年には、訪日外国人数6,000万人の新目標も打ち出されています。官民が力を合わせて目標達成に向けて新たな取り組みが始まることでしょう。