中国 中国事情

環境汚染に悩む中国

北京から東へ160キロほどの河北省唐山市は1976年に地震によって壊滅的な打撃を受けましたが、その後町は再建されて今は中国のパワーの源にもなっています。現在の唐山市は重工業で石炭の使用が非常に盛んであり立ち並ぶ煙突からモクモクと煙を吐き続けております、工場や発電所が排出する石炭の煙は北京の方へ流れいき大気汚染の一因になっているのですが、中国では毎年110万人もの人が大気汚染によって亡くなっていると推測されております、この中国の環境汚染問題を追ってみました。

大気汚染の赤色警報

中国では2016年12月に大気汚染によるスモッグが深刻になり北東部24都市に「赤色警報」が発令されました、学校は休校になり交通規制も敷かれて市民は外出しないように勧告されたといいます。中国にとって大気汚染は今最も深刻であり4億6000万人に影響を及ぼしているとのこと、北京国際空港では航空便の欠航が相次ぐほどで、市民はネットで「スモッグは人災で環境機関は責任を全うしていない」と非難の声を上げているそうです、北京市では車のナンバープレートの数字が奇数か偶数かで曜日を分けて規制して走行車両の数を半減させるなどの措置もとっているとのことです。

パリ協定を貫く中国

アメリカのトランプ大統領が地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」からの離脱を宣言しましたが、中国は離脱しない態度を表明したことに多くの人が喜び、地球温暖化との戦いを指揮するリーダーは中国だとささやかれています。中国は世界最大のCO2排出国ですが近年はそれを削減する努力をしているのです、主な戦略として揚げるのが鋼鉄生産量と火力発電所の削減で、石炭に変わるエネルギーを確保するために風力・太陽光発電に世界最大規模の投資をしていると言います、その他にも政府の取り組みは多岐にわたっており一例では車に使われるガソリンやディ-ゼル油の質を向上して車の排気ガスの排出基準を欧米と同等のものにしようとしています。

大気汚染の他にもある環境汚染

中国の大気汚染と水質汚染は政府も公表しており世界中に知れ渡っています、しかしそれ以外にも深刻な問題が存在しているのです。中国の土壌汚染に関する情報は機密扱いになっていたためにあまり知られておりませんでした、この土壌汚染に関する情報の多くはまだ非公開ですが中国の農地の5分の1が許容限度を超える汚染物質が含まれていると言われ、農作物の安全性を脅かされているところも有るというのです。工場から漏れ出した重金属のカドミウム汚染水が水田に入り込むことがあり、その結果「カドミウム米」が食卓にあがることになります、カドミウムが体内に摂取されると腎臓障害、肺疾患、骨の異常などを引き起こす恐れがあるためとても深刻な問題です。土壌に蓄積された汚染物質は土壌を洗浄しない限り何世紀にもわたって留まり続けるのです決して自然消滅するものではありません。世界人口の18%を占めながらも農業に使える土地面積は世界の7%しかない中国にとってこれは大問題ですが簡単に解決できるものではなさそうです、土壌汚染の洗浄はとても難しく更にはとてつもない費用が掛かるのです。

環境汚染の問題については過去に日本政府が中国に対して汚染改善の技術支援を申し出て、東京都も北京に技術協力を提案してきました、環境汚染は直接的にそして間接的にも人命を脅かす問題であり、世界規模で協力し合うことが望まれる中でアメリカのパリ協定離脱は残念でなりません。

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