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世界消費者権利デー「3・15晩会」のフルグラ騒動の現状と未来を徹底解説

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カルビーが天猫国際(Tmall Global)でフルグラを先行販売

2017年5月25日、カルビー株式会社は「2017年8月より「天猫国際(Tmall Global)」で「フルグラ」先行販売 海外で初の本格発売、中国でも“朝食革命”を!」というタイトルのニュースリリース発表しました。このニュースは中国でも大きく伝えられ、ネット上でも中有木を集めホットな話題になっているようです。2017年3月15日に放送された、中国中央電視台(CCTV)の特集番組「3・15晩会」が越境EC業界に与えたインパクトの大きさはまだ多くの人の記憶に残っていることと思います。この放送の影響で、市場やネットショップからカルビーの「フルグラ」などが一斉に姿を消したとか、これは「日本叩き」であったと受け止められている面もあるようですが、果たしてそれが正しかったのか、また今後の展開はどうなるのかといったことをカルビーの発表したニュースリリースを分析しながら検証していこうと思います。

消えたのは一瞬だった?

「3・15晩会」が越境EC業界や中国の消費者に与えた影響が大きかったのは事実です。天猫国際(国際T-mall)、京東(JD.com)、網易考拉(Kaola.com/ワンイーコアラ)といった大手越境ECプラットホームや中国国内のスーパーなどの店頭からフルグラが一斉に姿を消しました。しかし、消えたのは一瞬だけであって、すぐに販売されるようになったとも言われています。需要があればなんとか知恵を絞って売ろうとするのが中国流、越境ECプラットホームが自主的に実施した規制に引っかからないよう、もともとのカルビーの中国語表記である「卡乐比」の部分を「卡乐Bee」、「卡乐币」、「卡乐B」などに置き換えて販売を再開するという現象も見られたようです。同時に、中国国内で生産された「ニセモノ」も数多く出回ったと見られています。中国のネット上には本物とニセモノとを見分ける方法が紹介されたりもしています。

CCTV(中国中央電視台)の誤算?

今回の「3・15晩会」で取り上げられたテーマは「ネットショッピングの安全性や信頼性」だったはずですが、カルビーのフルグラなどを取り上げたことによって、「食品の安全性」の問題にすり替わってしまったことはCCTV(中国中央電視台)の誤算だったかもしれません。本来市場にあってはならないものが市場にあることを広く番組で消費者に知らせることは、取締が不十分だという内情を知らせることになるので本来ならば避けたいことでしょう。本来ならば貿易と変わらないのに検疫や輸入許可を免れてしまう郵送やハンドキャリーによる代理購入、さらには過渡期にあって検査体制が十分でない保税倉庫方式など、目が十分に届かない現状をなんとかしなければならないという危機感のほうが面子を守ることよりも上回った結果であったのかもしれません。

ビッグデータ活用で朝食革命を狙うカルビー

今回のニュースリリースの中でまず注目すべき点は、カルビーが天猫国際(国際T-mall)で2017年8月からフルグラを先行販売するとしている点です。ニュースリリースによりますと、阿里巴巴(Alibaba)集団とソフトバンクグループ株式会社との合弁によって設立されたアリババ株式会社(日本法人)が運営する「Japan MD center」と提携して、天猫国際(国際T-mall)での販売を行っていくと発表しています。「Japan MD Center」は 2016年2月に提供が開始されたサービスで、天猫国際(国際T-mall)などでの販売を希望する日本企業に対して、ビッグデータを活用した中国消費者のニーズに合わせた商品選定、販売チャネルの設定、中国市場に対するマーケティング支援を⾏うサービスです。カルビーは今後、阿里巴巴(Alibaba/アリババ)の持つビッグデータを活用してマーケティングや商品開発を行なっていくことになるのですが、外国製造業であるカルビーと中国の流通プラットホームとビッグデータを融合させた今回の取り組みは、グローバルに世界を繋げる世界電子商取引プラットフォームの構築につながるものと捉えてもいいのではないでしょうか。

2018年度には150億円を中国へ

次に、ニュースリリースの中で、カルビーは、今年8月から北海道工場(千歳市)でのフルグラ生産が始まり中国での販売が可能となるということを発表しています。また、京都府綾部市ある京都工場内にも新たにフルグラの生産拠点を新たに増設し、2018年8月から稼働開始の予定であることが発表されています。2016年のフルグラの日本国内での売上は約290億円だったのですが、そのうち約60億円分が中国国内で消費されたというデータがあります。カルビーの発表では、北海道工場では40億円、京都工場では150億円の生産を目指すとしているのですが、北海道工場が生産を開始する2017年8月から京都工場が生産を開始する2018年夏までの期間、どうやって中国国内の消費量をまかうのか?という疑問が起きてきます。同時にこれまで宇都宮工場で生産され正規の貿易の方式ではなく中国国内で消費されていた60億円分はどこに行くのか?ということも問題になってきます。カルビーの松本晃会長は「2018年度の販売目標500億円のうち、150億円程度を中国への輸出としたい」というコメントを出していて、カルビーでは将来的にはフルグラを中国で200〜300億円販売するという見通しを立てているようです。

北海道や京都にリスクはないのか?

フルグラの原材料はそのほとんどが日本産ではなく、そこに含まれるドライフルーツやひまわりの種は中国産であることは、あまり中国の消費者には知られていない事実です。中国の原料を日本に運んで加工し、またそれを中国に運んで消費するというのは効率的ではないし、わざわざ放射能リスクのあるエリアに運んで生産すること自体を見直すべきだという考え方がないはずはありません。新たに生産が始まる北海道にも原子力発電所はありますし、京都工場のある綾部市は福井の高浜原子力発電所から30キロ圏内というUPZ圏内に含まれています。一方、今回のニュースレターほど大きな報道はされていませんが、2017年5月17日に上海で開催された中国国際食品飲料展覧会に中国国内産のフルグラが出品され関係者から注目を集めたことが報道されています。

今から予想される供給不足

2017年8月から天猫国際(国際T-mall)で販売されるフルグラは、中国の消費者に向けて安心・安全をアピールするために開発した「北海道製造ロゴ」を採用し、「北海道ブランド」効果による安心感の定着を図る計画であるとしています。アリババのビッグデータを活用すると言われているマーケティングで果たしてどのような手法が用いられるのかは注目すべきでしょう。「北海道製造ロゴ」の採用は日本国内向けに販売されるフルグラと天猫国際(国際T-mall)で販売されるフルグラとがひと目で区別できるようにする狙いもあるのではないでしょうか。京都工場が稼働する2018年夏まで期間、供給の空白を埋めるために中国の消費者は中国国内産のフルグラを選ぶのか、それとも宇都宮工場製造の”非正規ルート”によるフルグラを選ぶのか、あるいは他のメーカーの商品を選ぶのかは、中国の消費者の意識や価値観を知る上でもひとつの手がかりになりそうです。天猫国際(国際T-mall)で販売される正規ルートのフルグラが一部の業者などに買い占められて、それが高値で転売されたりすることが起きるかもしれません。

これからのキーワードは「時短」と「健康」か?

「北海道ブランド」や「京都ブランド」は中国以外の国にも一定の効果があると思われます。カルビーがこれまで製品を輸出してこなかったのは、スナック菓子は低単価で積載効率の悪いという物流効率の問題があったからだと言われています。フルグラはスナック菓子と比較すれば積載効率は悪くはありませんが、それが今回フルグラに限って輸出をスタートした決定的な理由ではなく、やはり中国市場でのシリアル類の消費の伸びを考えた結果ではないでしょうか。物流効率ということを考えた場合、カルビーとしては中国向けの主力は中国国内生産で対応し、「北海道ブランド」や「京都ブランド」はプレミアムをつけて販売するという選択肢もあるかもしれません。今回カルビーがフルグラのプロモーションで打ち出した「時短」・「健康」というキーワードが中国の消費者にどのように受け取られるのか?この点も非常に興味深いところです。

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