天猫(Tモール)は中国最大のインターネット・ショッピングモールで、中国IT企業のアリババグループが運営元だ。天猫・淘宝の年間アクティブユーザーは4.54億人、月間アクティブユーザーは5.07億人と言われている。まさにとてつもない規模を誇る中国最大のeコマースなのだ。
(出典:https://baijiahao.baidu.com/s?id=1567801512084088&wfr=spider&for=pc)
天猫はもともと個人対個人の取引(CtoC)で利用されていた淘宝網(タオバオ)の一部であった。この淘宝商城から名称を変更し、天猫として独立したのだ。当初の淘宝網は開店するのも決済するのも無料で、活発な流通が行われていた。しかし、コピー製品(偽物)や並行輸入品、粗悪品が出回り問題となったのだ。
そこで、模倣品や非正規ルート商品等を減らし、消費者に安心感と信頼感を与えて商取引ができるECモールが必要となった。それが天猫というわけだ。天猫の出店基準は高く、営業許可証や取扱商品の商標登録証等を提出し審査を受ける必要がある。
出店後も保証金や年会費、販売に応じた手数料を支払うシステムになっている。より高品質の品物はもとより、高いカスタマーサティスファクション(顧客満足度)が求められるようになったわけだ。
淘宝網のCtoC取引に対し、天猫は企業対個人の取引(BtoC)に属する。日本でいえば淘宝網はヤフーオークションに似ており、天猫は楽天市場のECサイトといったイメージだ。
天猫から天猫国際(Tモールグローバル)へ
中国のECモールは今後も国内物流の発展に伴い、ますます発展する事が予想される。このような大規模中国EC市場は越境ECを試みている日本企業にとって非常に魅力的だ。しかし、日本企業がこの天猫に参入するには現地法人が必要になる。
天猫国際ができる前までは、現地企業と組んで合弁会社を設立するか、または現地の中国企業に一切を任せて輸出作業に徹するか、どちらかを選ぶしかない状況だったのだ。日本だけでなく世界中のメーカーも同じような問題を抱えていた。
こういった問題点を克服すべく、新たに立ち上がったのが越境ECに対応した天猫国際だ。海外企業向けのTモールグローバルが利用できるようになったのだ。
天猫国際は世界中の有名メーカー、または独占販売権を得た業者しか出店できない。そのため、消費者は並行輸入品やニセモノを掴まされる心配がないのだ。一方で、出店する企業側は母国にいながらにして中国人に商品を売ることができる。現在では日本のドラッグストア、コスメ系の企業もこぞって出店している。まさにECサイトによる越境ビジネスが可能となったわけだ。
天猫国際のメリット・デメリット
メリット
■日本法人でも出店が可能(現地法人不要)
■サイトの信用度が高い
■決済は日本の銀行口座に入金される(現地銀行口座不要)
■企業の商標で販売可能・海外個配で直送
■物によっては消費税がかからない
デメリット
■送料負担が中国国内と比較すると高い
■事業運営費が発生する
■売り上げに応じたコミッションを支払う必要がある
■保証金を支払わなければならない
天猫国際を利用した越境ECは販路拡大や商品戦略への大切な架け橋となる。デメリットもあるが、それを補って余りある収穫があるだろう。中国EC市場に参入することは、中国でのビジネスチャンスを広げるまたとないチャンスなのだ。