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フェイスブックは中国に学べるか

フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOは、中国でのアクセス解禁を目指して中国指導部に働きかけるなどあらゆることを試みています。しかし、フェイスブックに暴力的な動画が投稿されるという難題に直面しており、このままでは「中国でのサイト運営は難しい」と少しは感じ取っているかもしれません。フェイスブックの検閲の問題に迫ってみます。

フェイスブックの動画検閲問題

2017年4月16日に米オハイオ州クリーブランドで殺人行為を撮影した動画がフェイスブックに投稿されてコンテンツ監視を強化するよう同社への圧力が強まっていましたが、その直後の4月24日にはタイに住む男が生後11カ月の娘を殺害している様子を撮影したライブ動画が24時間フェイスブック上に放置された後に削除されました。フェイスブックは「これは恐ろしい犯罪であり、われわれはこのような内容がフェイスブック上に投稿されることを認めていない」と声明文で発表し、さらに「フェイスブックが安全な場であり続けるよう努力しており、身の安全への直接的な脅威となる緊急事態では警察に連絡している」としており、その後フェイスブックはコンテンツの監視員を3000人増やして計7500人にすると発表しました。しかしそれで解決できるのでしょうか、フェイスブックが過激な動画や暴力行為が撮影された動画を適切に処理できているのかについて疑問視されています。フェイスブックの社員によれば、サイトのコンテンツを管理するチームは頭部切断やポルノ映像などの不快なライブ配信を削除するようトレーニングを受けているといい、今年に入りライブ配信のコンテンツは“少人数の契約社員”が8時間ごとのシフトを組み、サンフランシスコを拠点に24時間体制で監視をしていたとのことですが、ならばなぜ「殺害のライブ動画」が24時間もフェイスブック上に放置されたのでしょう、単純に人数の問題ではなく検閲に対する姿勢に不備はないのでしょうか。

中国の反響とフェイスブックの姿勢

中国のソーシャルメディアではこのニュースに対する反応が相次ぎ、「フェイスブックが中国の検閲経験から学ぶものは多い」と指摘するコメントが少なくありません、ミニブログサイト「微博(ウェイボー)」には「われわれのところに学びに来い」という投稿もあったといいます。偽ニュースや暴力的な動画を排除する試みと政府が課す厳しい検閲との間には極めて大きな違いがあります。中国で禁止されているコンテンツは暴力やポルノにとどまらず、政治的に容認できないものも含まれ、洗練された検閲システムではフィルタリング技術や実在の警察集団が活用されています。そして民間企業には自主検閲の義務が課されおり、従わない企業は事業認可をはく奪されるのです。もしザッカーバーグ氏が中国でのアクセス解禁を本気で望んでいるのなら、中国の同業他社から助言を受けたほうがいいかもしれません。中国のように制限された環境で生き延びるのには何が必要かを教えてもらうべきですが、フェイスブックの広報担当者は「中国に対するわが社のアプローチについては、まだ何の決断も下していない」と口を濁しています。

動画監視だけでも2万人必要

中国在住企業幹部によると、インターネット上の効率的な監視に必要なことは3つあり、それは「多くの人員」「多重の監視」そして「AIの支援」だといいます。フェイスブックが今回発表した7500人というコンテンツ監視員の数は大量の資源投入に聞こえるかもしれませんが、中国政府の基準を満たすには程遠いと指摘しています。中国の動画配信アプリの「映客(Inke)」にはライブ動画を監視するフルタイムの従業員が1000人で、コンサートなどの大規模イベントから、女性が独りで麺を食べている様子に至るまで、あらゆる動画をチェックしているといいます。「映客」の創業者でCEOの奉佑生氏は「フェイスブックが中国にあれば、動画の監視員だけで少なくとも2万人を雇う必要があるだろう、また中国のソーシャルメディアのように写真や文章も監視しなければならないとしたらその何倍もの人員が必要になる」といい、さらに奉氏は語っています「中国企業には豊富な経験があるため、フェイスブックは監視作業の国外移転を検討すべきだ、フェイスブックは監視チームを中国に置けば良い。われわれは手助けできる。彼らの監視作業はわれわれの作業よりずっと簡単だ」と。はたしてザッカーバーグ氏は聞く耳を持っているでしょうか。

中国企業の取り組み姿勢

AIは人間による監視を補完します。「斗魚」の陳氏によると、同社が最初に行うのは画像認識技術でポルノ画像やその他の問題画像を選別しており、疑わしい動画を認識するのに2分以上かかる場合もあるが動画配信を中止する決断は全て人間の監視員が下すといいます。また「斗魚」に投資しているソーシャルメディア・ゲーム大手の「テンセント」は同社傘下のメッセージサービスであるQQやWeChatに投稿される動画向けに技術を開発しているといいます。この技術はまだ初期の段階にあり米カリフォルニア州サンディエゴの新興企業「Kneron」と連携して感情や行動を検知できるソフトウエアを開発中なのです。「Kneron」の創業者である劉峻誠氏はクアルコムやサムスンで働いた経験を持つAI科学者で、「テンセント」が設定した課題で最も難しかったものの一つは、誰かが抗議の旗を掲げたときに検知するプログラムの精度を95%から98%に上げることで劉氏は「ほぼ2カ月かかった」と語っています。AIを活かした検閲の精度向上が期待されます。

検閲の法的手段はあるか

恐ろしい殺人の動画がフェイスブックに掲載されるのを止めるための法的選択肢はあるでしょうか、暴力の可能性があると思われるあらゆる動画の投稿全てを法的に取り締るとすれば、警察による残虐行為や戦争反対運動の画像なども失われる可能性がありますし、車中で黒人男性が警察に銃に撃たれた様子をその恋人がフェイスブックで中継した動画など、目撃者や被害者による動画を刑事罰の対象としてしまうリスクもあるのです。法的手段を適用するには世界中の国が連携する必要があり、個別の国が単独でできることではありません。また、現状においては米国では「通信品位法230条」で第三者提供情報コンテンツに関するサービスプロバイダの免責を広範囲に認定しており、フェイスブックの事例は「第三者提供情報コンテンツの包括免責」と捉えることも出来そうですがフェイスブックははたしてどう捉えているでしょうか。「免責」の二文字に甘えていてはフェイスブックの未来はありません。

この問題を解決するにはAIの更なる進歩に委ねるしかないのでしょうか。日本は画像認識技術が飛躍的に優れており、AIと画像認識技術を組み合わせたソリューションも展開されています。日本の技術がこの問題の解決に貢献できればよいのですが、いや、すでに研究されているかも知れません。

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