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中国の低価格雑貨ブランドMINISOとは?成功の秘訣と世界展開の真実

低価格で高品質な雑貨を展開する中国発のブランド「MINISO(名創優品)」は、短期間で急成長を遂げ、世界中で注目を集めています。そのスタイリッシュな店舗デザインやシンプルで実用的な商品は、日本のダイソーや無印良品を彷彿とさせ、「中国版無印良品」「中国のダイソー」と呼ばれることもあります。

本記事では、MINISOの歴史や特徴、世界規模の展開、そして成功の秘訣を詳しく解説します。日本市場での活動や現在の展望にも触れながら、このブランドがどのようにして世界中で認知される存在になったのかを紐解いていきます。MINISOの成長から、現代のグローバル市場で成功するためのヒントを見つけてみましょう。

MINISOの歴史と特徴

MINISOの創業背景と成長の軌跡

MINISO(名創優品)は、2013年に中国広州市で設立されました。その創業者である葉国富(Ye Guofu)氏は、中国の消費者が好むシンプルでスタイリッシュなデザインに注目し、これを低価格で提供するブランドを構想しました。当初、日本のデザイナーである三宅順也氏がクリエイティブディレクターとして関与していたとされ、店舗デザインやブランドの方向性に日本的な要素が取り入れられました。この協力関係が、MINISOの「日本ブランド風」イメージを強めるきっかけとなりました。2023年6月30日時点で、中国本土に3,604店舗を展開しています。 

日本風ブランドイメージの採用と転換

MINISOは、創業当初から日本風のブランドイメージを前面に押し出していました。店舗ロゴや商品デザインには、日本らしさを意識したシンプルで洗練された要素が取り入れられ、「日本発」のブランドイメージを戦略的に活用していました。しかし、実際には中国資本のブランドであることが判明し、一部で批判を受けることもありました。これを受けて、近年では「中国発のグローバルブランド」としてのアイデンティティを再定義し、日本風イメージから脱却する方向へと舵を切りました。

競合との差別化ポイント

MINISOは、競合ブランドと比較して「高品質×低価格」のバランスを強みに持っています。100円ショップの価格帯に近い商品が多い一方で、製品の品質やデザインには、無印良品やユニクロを意識したスタイリッシュさと機能性が備わっています。また、定期的に新商品を投入することで、常に新鮮さを提供し、リピーターを増やしています。この戦略は、競争の激しい小売市場において、MINISOが独自のポジションを確立する鍵となっています。

日本および海外市場での展開

日本市場での活動:高田馬場の事例

MINISOは、一時的に日本市場への進出を果たし、高田馬場を含む複数の店舗を展開していました。しかし、日本市場では競争が激しく、また日本風ブランドイメージの採用が逆効果となる場合もあり、収益を十分に上げることができませんでした。2024年には日本法人の清算を完了し、日本市場からの撤退を選択しました。短期間の活動ではありましたが、日本市場での経験はMINISOにとって、グローバル戦略を見直す貴重な教訓となりました。

グローバル展開:海外店舗の拡大戦略

現在、MINISOはアジアをはじめ、アメリカ、ヨーロッパ、中東、アフリカなど、112カ国に店舗を展開しています。各地域の消費者ニーズに応じた商品ラインアップを提供する柔軟な戦略が、成功の鍵となっています。また、国ごとにマーケティング戦略を調整し、現地の消費者にブランド価値を訴求することで、ブランド認知を高めています。このグローバル展開の成功により、MINISOは国際的な雑貨ブランドとしての地位を確立しています。

画像出典:MINISO公式ホームページ (https://www.miniso.com

世界各国での評価と課題

MINISOは、多くの国で「手頃な価格でおしゃれな雑貨が買える」と評価されています。特に若年層や都市部の消費者を中心に高い支持を集めています。しかし、一部では品質に対する懸念や、日本風ブランディングの名残が誤解を招くこともあり、課題として残っています。また、各国市場での文化的適応やローカライズの不足が指摘されることもあります。今後の成長には、これらの課題への対応が必要です。

成功の秘訣を読み解く

高コスパ戦略で勝ち取った消費者の支持

MINISOの最大の強みは、「コストパフォーマンスの高さ」にあります。多くの商品は手頃な価格でありながら、デザイン性や機能性が優れており、消費者にとって大きな価値を提供しています。この戦略は、特に価格に敏感な若年層や中間層をターゲットにしたものであり、競争の激しい雑貨市場での差別化要因となっています。この「手軽さ」と「満足感」が、多くの消費者を惹きつける理由となっています。

独自の新製品投入サイクルと商品開発力

MINISOは、新鮮な商品を継続的に消費者に届けるため、毎週100種類以上の新製品を投入しています。このスピード感ある商品開発力は、競合ブランドにはない強みです。また、トレンドを迅速に反映させた商品や、特定のテーマに基づいた期間限定商品を提供することで、消費者の関心を引き続けています。この独自の製品投入サイクルは、MINISOのブランドとしての競争力を高めています。

筆者撮影:店内の様子

効果的なマーケティングとブランディング戦略

MINISOの成功を支える重要な要素として、SNSの活用が挙げられます。海外ではInstagramやTikTok、国内ではREDやDouyin(抖音)などのビジュアル重視のプラットフォームでは、商品のデザイン性や実用性を訴求し、「映える」写真や動画で若年層を惹きつけています。また、インフルエンサーとのコラボレーションを通じて、口コミ効果を最大化し、ブランドの認知度を拡大しました。

映画やアニメキャラクターとのライセンス契約による限定商品も、SNS上での話題作りに貢献しています。人気のキャラクター商品は、ファンによる自主的なシェアを引き起こし、自然な形でブランド認知度を高めています。

筆者撮影:IPコラボ製品の様子

このようなタイムリーで多角的なSNS戦略が、MINISOのブランド価値をさらに高め、グローバル市場での成功を支えています。

まとめ

MINISO(名創優品)は、「高品質×低価格」のビジネスモデルを武器に、中国国内から世界へと急成長を遂げた雑貨ブランドです。創業当初、日本のデザインやブランドイメージを活用しながら、短期間で国内外に数千の店舗を展開しました。その成功の背後には、コストパフォーマンスに優れた商品提供、新製品を継続的に投入するスピード感ある開発体制、そして効果的なグローバルマーケティング戦略があります。

中国本土では3,600店舗以上、海外では112カ国以上で7,100店舗以上を運営し、多くの国で「便利でおしゃれな雑貨店」として支持されています。しかし、各国でのローカライズや品質管理、ブランドイメージのさらなる向上が今後の課題と言えるでしょう。

MINISOの成長は、単なる価格競争にとどまらず、現代の消費者のニーズを的確に捉えたビジネスの好例です。中国発のブランドが世界市場で成功するための一つのモデルケースとして、今後も注目を集め続けることでしょう。

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