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新型肺炎⑥生鮮電商大ブレイク、取引件数309%、中国小売業界の視界を大きく変える?

新型肺炎の防疫体制下、ネット通販、フードデリバリーと並ぶ、市民のライフラインとなったのが“生鮮電商”である。ここ数年で急速に発展し2019年の売上規模は3225億元(5兆500億円)、前年比49.4%増だった。しかし、大半の企業は採算ラインに達していないという。新型肺炎は、業界の神風となったのだろうか。

生鮮電商業界の概観

まず生鮮電商業界を概観してみよう。3234遊戯網というサイトの、生鮮電商アプリダウンロードランキング(2020年1月)である。順位と短評は以下の通り。

1 大潤発優鮮
アリババ傘下のスーパー「大潤発」のアプリ。大型スーパーの購買体験をオンラインで実現。指定区域1時間以内配送。

2 京東到家
京東傘下の“即時販売”プラットフォーム。700地区、10万店、数千万人をカバー。ウォルマート、イオン、ローソン等、大手と提携多数。

3 盒馬
アリババ直営スーパー盒馬鮮生(220店舗)のアプリ。「新霊售(ニューリテール)」の象徴的存在。生鮮電商とフードデリバリーの両要素を持つ。指定区域30分以内配送。

4 毎日優鮮
都市配送センター~コミュニティ倉庫~宅配の無店舗モデル。100都市、1万倉庫、1億戸のカバーを目標。テンセント系。

5 天天果園
2009年、上海で設立。従来型青果店から、オンライン生鮮サービス企業へ発展。

6 百果園
2001年、深圳で設立。中国最初の野菜果物“特許連鎖専売店”。80都市4000店を展開。オンライン、オフライン一体化目指す。

防疫体制下、売上3倍増

出自もビジネスモデルもさまざまだが、同じようにアプリによる生鮮の宅配サービスを行っている。それが防疫体制下、ライフラインとして機能し始めた。売上が激増しているのだ。

多くの生鮮電商が参加しているWechatミニプログラム(アプリのダウンロード不要)では、除夕(1月24日)から初七(1月31日)間における生鮮業態の取引件数は、前年の149%だった。社区(コミュニティ)電商に限れば322%だった。

毎日優鮮のミニプログラム経由の取引件数は309%、売上は465%になった。トップ5は、野菜・果物、肉・たまご、食用油、インスタント食品、マスクの順だった。

京東到家の売上は、前年同期比470%、野菜は510%、果物は300%、たまご770%、乳製品370%、餃子、ワンタン等の冷凍食品は790%だった。

武漢の盒馬

武漢の盒馬鮮生では1月23日の封鎖以降、他省出身の従業員は、帰省できなくなった。そのため、武漢にある18店舗は、正常運営を続けられている。

盒馬鮮生は武漢に前線本部を設置した。最初の決定は、商品の入荷ルートを死守することだ。市民のパニックを取り除くには、商品供給量を確保するしかない。最初の2日間、盒馬本部は、上海からマスク、消毒液等を大型トラック4台分、武漢へ送った。その後トラック手配はタイトになり、グループの菜鳥物流に協力を仰いだ。

もともと春節期の物流量は低調になるという判断で、物流スタッフは半減していた。そこへデリバリー依頼は通常の2倍となった。そのため変則配送が花盛りだ。配送車は手配できず、スタッフは自家用車を動員している。

特徴的なのは若者主体だったオンライン購入の主力層が、60年后、70年后の中年層へ移ったことだ。彼らの発注件数は4倍に跳ね上がっている。

まとめ

新型肺炎の防疫体制により生鮮電商業界は、思いがけない特需と危機管理のケーススタディに恵まれた。市場研究機構の「中商情報網」は、新型肺炎以前に、生鮮電商の展望として

1 市場規模の拡大
2 ユーザー購買習慣のオンライン誘導
3 無人コンビニ、自動販売機増加
4 倉庫管理モデルの高度化

を上げていた。防疫体制の終息後には、1、2、4は、大きく前進するに違いない。生鮮電商だけでなく、小売業界全体に新しい視界が開けそうである。「新霊售」は完成をみるかもしれない。

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