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中国×イノベーション第8回 フードデリバリーから無人配送へ 

フードデリバリーの発達は、中国の食生活だけでなく、生活パターンそのものを変えつつある。生鮮食品やコーヒーのデリバリーも急成長し、コンビニエンスストアまで宅配を始めた。セブンイレブン(北京)がフードデリバリー大手の美団外売と提携したとき、コンビニ世界王者、中国の怠惰な若者に完敗、と書きたてられた。もう都市部ではコンビニさえ行く必要がない。フードデリバリーは、2014年以降に起こったイノベーションの中でも、最も実質的影響力の強い業態かも知れない。その行き着く先を、探ってみたい。

フードデリバリー2強

現在のフードデリバリー業界は、「美団外売」と「餓了蘑」に2分されている。2019年第2四半期シェアは、それぞれ65.1%、32.8%と両者で97.9%を占める。したがってこの2社を分析すればよい。

(美団外売)
美団外売は2013年11月、美団グループのフードデリバリーアプリとしてスタートした。現在の美団グループは、共同購入出自の美団と、口コミサイト出自の大衆点評が2015年、合併して誕生した。口コミ、共同購入、フードデリバリー、ホテル、旅行、映画チケット、配車アプリ、シェアサイクルを展開する生活総合サービスである。アリババも出資していたが、合併後手を引き、現在はテンセント系だ。2017年、1300都市で展開、加盟レストラン200万軒、ユーザー数2億5000万人。

フードデリバリーはグループの看板事業である。2019年第一四半期決算では売上の56%を占める。テンセント系のため、WeChat Pay アプリでは絶好の場所に配置されている。これは中国では最強の販促手段である。ここへきて餓了蘑を引き離しにかかっている。

(餓了蘑)
餓了蘑は2009年、上海交通大学の大学院生だった張旭豪ら5人により設立された。2014年、北京大学大学院の戴威ら4人が創業したシェアサイクルのofoとともに、学生企業家成功例の代表各だった。

2013年から、本格的にする。同年有力投資機構から3000万ドルを調達。2014年は、大衆点評から8000万ドル、2015年には、テンセント、京東、滴滴出行、アリババ、などの出資競争となる。

2017年、全国2000都市で展開、加盟レストラン130万軒、ユーザー数2億6000万人。同年8月、同業の百度外売を買収し、美団外売との2強体制を形成した。

2018年4月、アリババグループは、95億ドルで餓了蘑を完全買収した。その後、同グループの生活総合サービス「口碑」と提携、美団グループと生活サービス部門で全面的に争っている。

ドライバー

フードデリバリーのバイク配送員は“外売小哥”“外売騎手”と呼ばれ、2018年には700万人と見積もられている。

美団外売のアプリを開くと、レストランはもちろん、ケンタッキー、マクドナルド、などファストフードから、毎日優鮮、美食天下などの生鮮OMO、セブンイレブンやコンビニ、コーヒーショップ、花屋など、地元の商店街がそのまま登場してくる。そして最低20元以上、配送料3元などの個店別条件が記載されている。またメンズショップ「海瀾之家」の商品も1時間以内に配達可能だ。都市生活の重心があちこちへ移動する中、外売小哥たちは、万能選手を求められている。

彼らは朝10時ころに出動し、最も忙しい11時~14時までに備える。14時~17時は小休止し、17時~22時まで、1日13~14時間勤務する。経験1年以内という人が多く、出入りは激しい。OMOを推進する各社とともに、外売小哥の争奪戦が続いている。しかし、限界はすでに目に見えている。次のステージを考えざるを得ない。

無人配送

それは無人配送である。中国は、幹線物流、港湾内、クローズドサーキット内など、さまざまな分野で無人物流の研究を進めている。無人配送のニュースは2017~18年は花盛りだった。しかし2019年は目に見えて減少している。

美団グループも2018年7月、無人配送のオープンプラットフォーム化を発表し、外部企業の参加を求めている。そして2019年には一部地域で、無人配送を実現させると表明していた。それが2019年8月の世界人工智能大会の席上では、今後2年以内に、と後退している。美団の研究テーマは、ドローン配送、と小型無人配送車、室内無人配送ロボットだ。

ドローンは、5年以内に、5キロ圏10分で運ぶ配送網を構築する計画だ。無人配送車は「小袋」という愛称で呼ばれ、大規模マンション内などクローズド環境での使用を想定している。自動で障害物を避け、最短距離で目的の棟まで運ぶ。

そして最後の100メートルは、室内配送ロボット、愛称「福袋」がエレベーターを上り各戸まで配達する。

しかし、この流れでは、無人ロボット「福袋」くんが、各棟でスタンバイしていなければならない。果たしてこれで採算に乗るのだろうか。

美団の科学研究主任は2~5年以内に実現、と幅を持たせている。確信は持てていないようだ。

フードデリバーの出現自体、大きなイノベーションだった。しかし、それは無人配送というより大きなイノベーションの呼び水だったのかも知れない。ここは後世の評価を待つしかない。

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