中国 中国イノベーション

中国×イノベーション第5回 スマートシティ建設

中国ネットメディアは、智慧城市(スマートシティ)や智慧社区(スマートコミュニティ)智慧小区(スマートマンション)などの文字があふれている。スマートシティ建設は、2012年以来500都市で、建設が進み、2018年の市場規模は7兆9000億元に達した。
アリババの「城市大脳」をはじめ、「テンセント」、金融大手の「中国平安」、話題の「ファーウエイ」などPATHと称される4社が中心となり、地方政府との提携合戦を行っている。中国スマートシティ建設の現状について、4社の取り組みを見てみよう。(*城市=都市)

アリババ「城市大脳」

アリババは2016年、城市大脳の概念を発表した。都市交通、医療、都市管理、環境、観光、規定、平安、民政の8大分野、地方行政のほとんどとを、デジタル化してカバーしようとする計画だ。2017年の国家AIプロジェクト入選を経て、今までに、雄安、西安、蘇州、杭州、重慶、衞州、福州、広州、澳門、海口、クアラルンプールの10都市と提携し事業を開始した。

都市交通分野をみてみよう。“3+4+6”構造と呼ばれ、まずデータ層、計算層、応用層の3層が基礎となる。その上に、阿里雲、千方科技、高徳地図と協力し、クラウドコンピューティング、交通、地図、ビッグデータの4つの能力を発揮する。

そして、1、交通指揮 2、交通信号応用 3、交通整理、規制、4、交通運行評価 5、通報予測 6、大衆への交通情報サービス、の6つをコントロールする。

例えば、蘇州市では、電信3大キャリアや国内ネット企業から、79種2600項目のデータを収集、3000億の過去データと融合させた。これで、10分~1時間後の交通状況を予測できるようになり、路線バスの乗車効率は10%上昇した。最終的に1000万市民の移動データを集約していく。

テンセント「WeCity未来城市」

テンセントは2019年7月、スマートシティ用クラウドの新ブランド“WeCity未来城市”を発表した。これはテンセントが長沙市で成功を収めた“城市超級大脳”の後継だ。

未来の都市では、交通、貿易、金融から建築物の構成に至るまでデジタル化し、サービス水準と意思決定効率を上げる。その基礎の上に、公共サービスの窓口プラットフォームとして、行政と市民の創意工夫を吸い上げ、発展させていく。

そのためWeCity未来城市は、“1+3+4”の構成をとる。1つの基礎クラウド、3つのプラットフォーム(応用、データ、人工知能)4つのサポート領域(デジタル政務、治安、政策決定、産業)である。

テンセントの城市超級大脳は、一部採用まで含めば、全国28省、300都市に広く採用されている。

中国平安「1+N」

中国平安(以下平安)は1998年、深圳で中国最初の株式制保険会社としてスタートした。発展を続け、銀行、不動産を含む、総合金融グループとなった。今、中国で最もアグレッシブな企業集団の1つでもある。董事長の馬明哲は、アリババの馬雲、テンセントの馬化騰と並び“三馬”と称される。三馬の出資で作った「衆安保険」や、「陸金所」「平安好医生」などのグループ会社も有名だ。

平安は2018年8月、“1+N”智慧城市システムを発表した。最新技術を駆使したスマートシティクラウドのプラットフォームで、政務、生活、財政、安全防犯、税関、教育、医療、不動産など、N個の分野で問題の解決を目指す。これらを統一したシステムということである。

この昨年8月の段階で全国200都市に採用され、2000項目のオンラインサービスを市民に提供している。

「ファーウエイ「城市智能体」

中国政府が後押ししていた通信機器メーカーは、国有企業のZTEで、深圳本社の民営、しかも非上場のファーウエイではなかった。創業者の任正非は、三馬のようなメディア露出を極力避け、その独特の経営哲学とともに、神秘のベールに包まれていた。

それが昨年12月、孟晩舟副会長の逮捕以来、様相は一変した。五星紅旗を背負い、米国に対抗する中国の代表になってしまった。

逮捕直前の2018年11月、ファーウエイは“城市智能体”の理念を発表した。これは都市全体を人体になぞらえ、智慧大脳だけではない、精密な智能体を指すという。それは都市の持つすべての要素をデジタル化し、都市の状態を常時可視化することだ。都市管理における意思決定を、協同化、智能化し、最終的に都市の管理とサービスをステージアップする。また、プラットフォーム+生態戦略で、30社の一流企業と提携している。すでに世界40カ国160都市とスマートシティ建設を支援している。

まとめ

中国の地方行政は、法治ではなく“人治”であり、非効率の最たるもの、とされてきた、それがスマートシティの取り組みによって、劇的に改善されつつある。デジタル化された成果で、人脈を駆使した交渉の余地も大きく減った。古い中国を知る者には、寂しいくらいである。日本の地方行政は旧態依然としているが、改革の方策は持っているのだろうか。もし持っていないのなら、中国のスマートシティ建設プラットフォームを参考にする日がやってくるだろう。

「いいね!」して
最新情報をチェック

中国Webマーケティングラボを

中国ビジネスラボの更新通知を受取る

更新情報や新着記事を1週間に1通お届けします。