中国 中国イノベーション

中国×イノベーション第3回 シェアエコノミー、ライドシェアとシェアサイクル

スマホとモバイル決済をインフラとして、さまざまな新業態が登場した。その典型は、ライドシェア(配車アプリ)、シェアサイクル、民泊、などのシェアエコノミーである。中国市場は巨大なだけに、その急成長や、つまずきなど、ひとつひとつの事象が実にダイナミックだった。ライドシェア(配車アプリ)とシェアサイクルを取り上げ、新業態の発展過程を検証してみよう。

配車アプリ、滴滴出行の快進撃

滴滴出行は、2012年7月北京で誕生し、同年10月、配車アプリをアップロードした。サクセスストーリーの幕開けだった。12月にはシリーズA融資で300万ドル、翌2013年4月には、テンセントからシリーズBで1500万ドル、翌2014年1月には、シリーズCで1億ドルと矢継ぎ早に調達した。

また同月にンセントと提携し、We chatpay払いに割引料金を導入。3月にはユーザー数1億を突破。12月にはシリーズDで7億ドルを調達。2015年になると、各地でタクシー業界とのあつれきが顕在化する。同年4月、初めて裁判所から行政処罰を受ける。ドライバー身分の法律的グレーゾーンを明確化すべき、との判決が出た。

5月、杭州市は滴滴本社に対し、許可未取得ドライバーの乗務禁止、罰金5000元の行政処分を下す。12月、北京市タクシー運転手たちが滴滴本社を攻囲、抗議の意思を示す。各地でタクシー運転手によるストライキが頻発する。

2016年8月、Uber中国の事業を買収、中国市場で圧倒的な地位を確立した。一方、同年11月「網絡予約汽車経営服務管理暫行辯法」が公布され、配車アプリ行政は新段階に至る。具体的な処罰規定は地方に任されたため、滴滴は地方政府、タクシー業界との調整に追われる。

2017年3月、天津市と成都市から「網絡予約汽車経営許可証」を取得、以後、各市政府と協定を結ぶ。

中国のタクシーは、乗車拒否、相乗りの強要など、横暴だったため、ライドシェアは市民に歓迎された。当局は多様化する交通需要を考慮しつつ、大衆に満足のゆく着地点を探ればよかった。

しかし今年8月、上海市交通委員会の発表によれば、滴滴の車両は82%が規定違反だった。美団は15%だった。同委は滴滴の上海子会社に10万元の罰金を科した。まだ業界は整備の途上にある。

シェアサイクル(共享単車)

シェアサイクル業界を概観するには、ofo(小黄車)とmobike(摩拜単車)の2トップを見るのが手っ取り早い。

(ofo)

ofoは2014年、北京大学の大学院修士課程にいた戴威ら4人の若者が創業した。学内の移動問題を解決するためだった。北京大学内の2000台からスタートする。

ブレークしたのは2016年である。5月に累計利用は200万回、1日当たり10万回を突破。翌6月には累計500万回、9月には1000万回、1日当たり40万回に達する。同月、シリーズB融資数千万ドルを調達。10月には、シリーズCで1億3000万ドルを調達、うち数千万ドルは滴滴出行が投資した。12月には、海外に進出。戴らは大学生起業家として時の人となる。

しかし、没落も早かった。2018年8月ごろから、顧客への保証金の未返還、自転車メーカーへの代金未払いなど、経営危機が公けになる。とくに保証金返還は社会問題になった。それから1年経過したが、ofoは青息吐息で何とか存続している。

(mobike)

mobikeは、毎日経済新聞の記者だった胡瑋煒(女性)が創業した。2016年4月、上海で事業をスタート、ブレイクはofoに1年遅れの2017年だった。

Mobikeは自転車そのものに力を入れた。2016年10月、コストを抑えた軽量自転車を、2017年4月には、最新鋭のスマート自転車「風軽楊」を投入し、差別化を図る。

5月、オープンプラットフォームを宣言、中国移動、中国聯通、エリクソン、招商銀行、銀聯カード、百度地図など有力大企業と提携。

6月、登録ユーザー数1億を突破。10月には9カ国180都市に展開、全世界のユーザーは2億を超えた。同月、華興資本から6億ドルの融資を得る。

しかしやはり栄華は長く続かず、2018年4月、生活総合サービスの美団点評に買収された。このとき10億ドルの債務が残っていた。

ofoのシンボルカラーは黄色、mobikeはオレンジである。2017年には、その他組が一斉に参入し、もう使える色がない、といわれたほどだ。それが1年後には大量の廃棄自転車を出し、中小の破産が相次いだ。まるで一夜の夢のようだった。

まとめ

配車アプリとシェアサイクルの急成長は4Gの展開、モバイル決済の普及とコラボしていた。

そして紆余曲折を経て、中国社会に定着した。いずれも短期間に巨額の資金が投入された。その結果、シェアサイクルは大量の廃棄自転車の山を作り、業界は焼野原となってしまった。今でもシェア確保を優先し、赤字のまま拡大路線を走るベンチャーは多い。シェアサイクルは、彼らと投資家たちに貴重な教訓をもたらした。

配車アプリは、行政と既存の業界との調整の歴史だった。しかし、社会実装を認め、不具合が出てから規制をする。このスタンスは、次を夢見る起業家たちの支えでもある。

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