中国 中国企業

第一回 Eコマース(淘宝)とアリペイ(支付宝)

中国のIT巨頭アリババと創業者、ジャック・マー会長の名を知っている人は多いと思います。現代中国最大のカリスマ経営者です。しかし、日本ではアマゾンとその創業者、ジェフ・ベゾスほど、関心を持って語られてはいないでしょう。株式時価総額(2019年1月末)は、世界1位のアマゾンが8404億ドルなのに対し、アリババは7位(中国1位)、4333億ドルと約半分です。しかし子会社、傘下企業を加えれば、アマゾンに匹敵する活動を行っているように思えます。また母国に与えた影響では、アリババはアマゾンを上回ります。発展途上国・中国を次々に革新していったからです。本稿ではアリババの事業に、ひとつずつ分析を加え、グループ全体を分かりやすく解明する予定です。第一回は、出発点であるEコマース事業と、それに不可分に結びついたアリペイ(支付宝)誕生についてです。

前期(1999~2009)淘宝とアリペイの登場

アリババは1999年9月、杭州電子工業学院の英語教師をしていたジャック・マー(馬雲)を中心に設立されました。まず設立から10年目までのポイントを見ましょう。

最初に立ち上げたのはB2Bの卸売サイトでした。これは中国の事業者に、全世界から仕入れを可能にするプラットフォームです。今も阿里1688網として健在です。

2000年1月、ソフトバンクから2000万ドルの出資を受けます。これはニューヨーク市場上場後に4000倍へと膨れ上がり、投資家・孫正義の評価を決定付けます。

2003年5月、C2C通販サイト「淘宝」を立ち上げ。
2003年10月、オンライン決済プラットフォーム「支付宝」の運用を開始。

この2つは、中国に進出した米国「eBay」に対抗するためのものでした。両者の熾烈な争いは2002~2006年まで続き、アリババの勝利に終わります。この間に「淘宝」と「支付宝」は、十分に磨き上げられました。そして後の大発展の基礎となります。

アリペイによりネット通販の決済手段を確立

中国における商売では、常に売掛金回収のリスクがついて回ります。手形による決済システムは存在せず、今でも約束の支払いを渋る企業は、ごく普通に存在しています。商売とは交渉だ、という風土は強固です。2000年代は、クレジットカードもありませんでした。銀聯カード(当初はデビッドカード)の普及が進んだくらいです。

こうした中、オンライン決済の登場は、まさに画期的でした。アリペイはeBay傘下(今は独立)のPayPalを参考にしたものです。ただしクレジットカードは実質存在しないため、いきなり銀行口座に紐付けすることになりました。

基本的には日本のメルカリと同じです。買い手の振り込んだ商品代金は、買い手の商品確認を経て、売り手に渡ります。中国の荒々しい商売風土の中で、取引の安全を保障するとともに、アリババにとっては資金プールを得ることになりました。後にこれを存分に利用します。

後期(2009年~)独身の日セール(双11)

中国の2009年は、リーマンショック後の4兆元経済対策の効果で、不動産バブルが発生する一方、個人消費主体の経済へとシフトチェンジする時期でした。

この年はアリババにとって重要な節目となります。9月にクラウドコンピューティング子会社、阿里雲を設立します。そして11月11日には、第一回の独身の日セールを仕掛けます。売上は50億元でした。

2012年1月には、B2C用に分離していた淘宝商城を「天猫」に改名、これはのちにアリババの代名詞となります。
2014年2月、越境Eコマースの天猫国際を開始します。
2014年9月、ニューヨーク証券取引所へ上場。
2014年10月、金融子会社、アント・フィナンシャルを設立。アリペイを移管します。

そして昨年の2018年11年11日、10周年を迎えた独身の日セールでは、2135億元を売り上げました。10年で何と4270倍に成長したのです。アリババは、個人消費の活況を象徴する存在となりました。

本業は好調に推移。

1月に発表された最新の四半期決算(2018年10月~12月)によると、アリババの営業収入は1172億7800万元でした。前年同期比41%の大幅増です。四半期決算で1000億元を超えたのは、ネット関連企業では初めてです。純利益は330億5200万元、前年同期比37%増でした。
営業収入のうちEコマースは1028億4300万元、全体の88%を占めています。つまり雑収入を計上したのではなく、本業でしっかり稼いでいるのです。

それを支えた、モバイル端末のアクティブユーザー数は6億9900万人、これは1年で3000万人増えました。

次回は、アリペイから派生したさまざまな金融サービスと、今、話題の信用スコア「芝麻信用」について検討します。

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