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アリババの信用スコアサービス「芝麻信用」

住宅ローンなど金融機関から融資を受ける際には、借り手とその保証人などの支払能力や担保価値などを測る信用調査がある。それを行う専門の会社もあるが、個人としては自分の信用についてあまり意識しておらず、自分の信用度について考えないのが普通だろう。

しかし、キャッシュレス化が進む中国においてはその個人の信用度は意識せざるを得ないといえる。それは、社会信用度を可視化して提供するサービス「芝麻信用(セサミ・クレジット)」があるからだ。

芝麻信用とは

芝麻信用は支付宝(アリペイ)の中に組み込まれているサービスのひとつで、アリペイのクレジットサービスを利用し、信頼を積み重ねることで得られるスコアだ。たいていの支付宝ユーザーは600から700程度の芝麻信用スコアを持っている。

このスコアが一定値あるかないかが重要だ。例えば芝麻信用スコアが少なすぎると、飛行機チケットの予約ができなかったり、シェア自転車が利用できなかったりする。逆にスコアが一定値あれば、多くの便利なサービスを利用できるのだ。

中国の新しい指標

あなたは社会生活の中で、自分の社会信用度がどれくらいなのか考えたことがあるだろうか。冒頭で述べたように、ローンを組んだりクレジットカードを申請したりする時くらいしか考える機会はないかもしれない。

しかし、キャッシュレス化が進んでオンライン決済が主流となっている中国では、常に自分の社会信用度がチェックされており、その個人信用情報をアピールすることも可能なのだ。そのひとつがこの芝麻信用で、この指標は中国人民銀行が認める個人・企業の社会信用度スコアであり、大きな影響力を持っている。

芝麻信用は2015年に支付宝の付帯的な機能として導入されたもので、個人に関しては「支付宝での支払い履歴」をはじめ「学歴・職歴」「資産保有状況」「交友関係」など様々な情報によって採点される。

本人自らが提供するデータに加えて、ユーザーが個人情報の収集や利用などを承諾した際に得られたデータなども採点に影響する。個人の消費データに基づいた信用度を数値化し、信用スコアを採点しているのだ。

支付宝のアカウントを申し込むと、自分の信用スコアを簡単にチェックすることができる。信用スコアは350点から950点で表され、そのスコアの公開機能もある。第三者に自分の信用度をアピールすることができ、それが達成感や優越感にさえ繋がるのだ。

ちなみに、芝麻信用の芝麻(ジーマー)とはゴマ(英語でセサミ)のことだが、どのような関係があるのだろうか。はっきりとしたことはいえないが、物語「アリババと40人の盗賊」で主人公のアリババが唱える「開けゴマ」に由来しているのかもしれない。

芝麻信用の位置づけ

クレジット大国のアメリカではクレジットスコアというサービスがあり、日本でも住宅ローン用のクレジットスコア「モゲスコア」というサービスがある。これらは主に返済能力を確認する目的を持っており、「返済能力=信用力」と捉えて表現されている。
(出典:https://www.mogescore.jp/)

しかし芝麻信用はクレジットカードだけではなく、「決済履歴」や「学歴・職歴」「資産保有状況」など様々な情報から判断されるもので、アメリカや日本のクレジットスコアとは性質が異なるのだ。返済能力ではなく「社会的な信用度」の評価ともいえるだろう。

現在アリババの芝麻信用の外にも、テンセントの「騰訊征信」など、信用スコアサービスを提供する会社は数社ある。国は個人や企業の信用を点数化することを奨励しており、こういったサービスを通して人々の経済基盤を正しく評価したいと考えているようだ。

その証拠として、中国国務院は2014年に「社会信用システム構築計画の概要に関する国務院通告(2014~2020年)」を発表している。この計画書の中では、社会信用システムの健全化を図るための信用スコアについて述べられている。
(http://www.gov.cn/zhengce/content/2014-06/27/content_8913.htm)

これは、中国では食品の安全に関わる事件や、偽物の製造販売などの悪行が後を絶たないためである。そのような不良事例の根源を断つためにも「社会信用体系の構築」は重要な対策なのだ。中国は2020年までに社会信用システムの構築を目指している。そのひとつが芝麻信用というわけだ。

中国人民銀行はアリババの「芝麻信用管理有限公司」、テンセントの「騰訊征信有限公司」など8社を信用評価機関に認定し、個人情報保護を前提として信用情報の共有を行っている。

芝麻信用の信用スコア採点とランク

この信用スコアは具体的にどのように算出されるのだろうか。芝麻信用は支付宝での決済や振り込みなど「アリババのシステムに関連する取引記録」と、学歴や公共料金支払い記録など「政府が保有するオープンデータベース」の情報をもとに算出される。

ただし、政府のオープンデータベースには、契約を履行しなかった不誠実者を公開する「失信被執行人リスト」も含まれており、そのリストに載ってしまった人は「やむをえない個人の事情」があってもランクが低くなってしまうようだ。

芝麻信用は350~950点の範囲で信用スコアを算出するわけだが、この算出には「個人特性」「支払い能力」「返済履歴」「人脈」「素行」といった5つの分野を総合的に数値化して算出する。この信用スコアのランクは「信用極好700~950」「信用優秀650~699」「信用良好600~649」「信用中等550~599」「信用較差350~549」と5段階に分類されている。また、総合スコアだけではなく、詳細ページでは信用に関する5つのジャンルでどのような評価を受けているのかも表示されるのだ。

またスコア偽装の可能性については、大量の情報をAIが処理しており、ユーザーがいくつかの偽装操作をしてもスコアを上げることはできないようになっている。不正行為をAIが感知すると、逆にスコアが下がる可能性もあるようだ。
(出典:http://tech.huanqiu.com/gundong/2016-03/8694587.html)

芝麻信用のメリット

では、ユーザーにとって芝麻信用はどのような利点が有るのだろうか。「ある意味では便利な機能でもある」と述べたが、ユーザーは信用スコアに応じて様々な特典を得られる。信用スコアのレベルが高いユーザーは生活上で様々なメリットがあるのだ。たとえばデポジットが不要になることだ。

中国ではデポジットが必要なサービスが多いため、これを払う手間が省けるメリットは大きいといえるだろう。また支付宝のアントフィナンシャルが提供する金融商品では金利優遇サービスを受けられる特典がある。

その他にも、シンガポールなど一部の国のビザ取得申請が簡略化されたり、空港で出国手続きの際に専用レーンを利用できるなど、芝麻信用の影響力は公的な機関にも及んでいる。道徳的でマナーを守れる誠実な人は得をする仕組みというわけだ。

お得なサービスが受けられるだけではない。この信用スコアは信頼を数値という形に可視化したものであるため、初対面の人にも信頼度をアピールすることができる。信頼の置ける人にはインセンティブを与えるシステムが将来出てくるかもしれない。

企業版の芝麻信用

芝麻信用には企業版もあり、「企業資質」「経営行為」「履約能力」「関連関係」「信用歴史」の5項目によって採点され、企業の信用スコアは常に公開されている。企業にとって信用は命運に関わるため、信用の可視化と公開は非常に重要なことである。芝麻信用により企業は自社の信用度を知ることができるため、スコアの低い企業は自ずと改善を余儀なくされる。優良企業が育つための起爆剤になる仕組みだ。
(出典:https://baijiahao.baidu.com/s?id=1576776750255556148&wfr=spider&for=pc)

信用スコアのための情報収集にあたっては法律を遵守し、ユーザーの同意を得て必要なデータのみを収集しているとのことだが、「プライバシー保護」や「情報の安全」にも関わることであり、リスクマネジメントの徹底も求められる。このような信用スコアのシステムが将来日本にも上陸するのか、動向が気になるところだ。
(出典:https://baike.baidu.com/item/%E8%8A%9D%E9%BA%BB%E4%BF%A1%E7%94%A8/15870746#8)

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