インバウンド

中国人インバウンド集客法⑤~LCCとクルーズ船の状況と今後~

若年女性LCC支持、ファミリー「高くても快適な旅」

日本への快適な旅がしたい!そんな訪日中国人の声に応えるかのように、頻繁に中国人が立ち寄る空港や商業・アミューズメント施設付近で中国人向けのホテルなどが相次いでサービスを開始しており、さらに中国で豪華客船クルーズ需要も増えるとの予測もあります。

ここで注目したいのが、LCC(格安航空会社)の外国から日本への就航便数増加や円安による訪日外国人の増加が近年話題になることが多いですが、訪日中国人はどのような移動手段で日本にやってきて、どのような消費行動をしているのか?ということではないでしょうか。

調べてみると、中国語圏の人々の旅行グループは主に、女性を中心とした20-30代の1人・少人数グループと家族・親族の大人数グループに分けられ、前者が消費に消極的でLCCを利用して関西国際空港経由で近畿を訪問、後者がLCC以外の航空会社を利用して少々高くても快適な旅を楽しみたい、といった傾向が強いようです。

今回は、訪日中国人の航空機による日本への就航状況や消費動向などについて考えるとともに、今後増加が見込まれるクルーズ船の状況についても触れていきたいと思います。

訪日中国人1人の旅行支出は約23万円

まずは2017年の訪日中国人の旅行者数や消費動向を確認していきましょう。
まず日本政府観光局まとめの「訪日外客数」によりますと、2017年の訪日外国人旅行者数約2869万人(前年比19.3%増)のうち、上位4ヵ国は中国が約736万人(前年比15.4%増)、韓国が約714万人(前年比40.3%増)、台湾が約456万人(前年比9.5%増)、香港が約223万人(前年比21.3%増)と中国語圏と韓国が伸びていることがわかります。

旅行者数を見る限りでは、中国と韓国で大差はありませんが、訪日外国人旅行者の1人当たり旅行支出では顕著な違いが見られます。1人当たり旅行支出は中国が約23万円(前年比0.5%安)に対し、韓国は約7万2000円(前年比2.2%高)と中国の3分の1以下です。続いて、台湾が約12万6000円(前年並み)、香港が約15万3000円(前年比4.5%安)で韓国の約2倍と、訪日外国人のうち中国語圏の旅行者の支出の多さが目立ちます。

買物代、宿泊費、交通費で突出 中国人旅行者

中国語圏の人々の1人当たり旅行支出が高い第1の理由は買物代の額が大きいことです。1人当たり旅行支出の買物代を見てみますと、韓国が約2万円に対し、中国が約11万9000円、香港が約5万5000円、台湾が約4万8000円といずれも中国語圏が韓国の2倍以上です。

次に目立つのは宿泊費で、中国が約4万8000円、香港が約4万3000円、台湾が約3万3000円、韓国が約2万2000円で、宿泊費でも中国が訪日外国人旅行者数ベスト4の中でトップとなっています。
交通費も、中国、香港が約1万8000円、台湾が約1万4000円、韓国が約7000円と、中国語圏の人々が空港のある主要都市を経由して地方へも足を運んでいることが伺えます。

中国語圏のLCC利用率は約2割!?

ここで中国語圏のお金を使う旅行者(富裕層)の動きをみる前に、LCC(格安航空会社)を利用する中国語圏などの旅行者がどのような人々なのかを確認しておきたいと思います。観光庁の訪日外国人消費動向調査によりますと、2017年1-9月期のLCC利用率は、訪日観光客全体で24.7%を占めていたことが明らかになりました。

その主な利用者の内訳はというと、国籍・地域別の利用率では中国は公表されていませんが、韓国が60.6%、台湾が23%、香港が20.5%と、その大半を韓国が占めていることが伺えます。韓国、台湾、香港のLCC利用者の共通の特徴としては、女性を中心とした20-30代、1人旅・友人同士の旅行、個人手配が7-8割で手配時期はLCC以外の航空会社より早め、近畿の訪問が約4割、日本滞在中の1人当たり旅行支出はLCC以外の航空会社利用者より少ない、といった傾向がみられます。
中国のデータは公表されていませんが、韓国、台湾、香港のデータなどを考慮すると、中国でもほぼ同じ傾向があることが推測されるのではないでしょうか。

中国語圏のLCCの利用者、すなわち女性を中心とした20-30代で1人旅・友人同士の旅行の旅行者が消費に消極的だとすると、お金を使う中国語圏の人々は、LCCを使わない旅行者ということになります。このような旅行者がどのような人々なのかというと、観光庁の訪日外国人消費動向調査にも表れている通り、家族や親戚のファミリーでの旅行者です。家族・親族でのLCCの利用率は、台湾が35.6%、香港が38.8%で、LCC以外の航空会社の利用率は、台湾が54.8%、香港が51.8%といずれもLCC以外の航空会社の利用率が高くなっています。

関空周辺の開発加速、近畿への移動拠点として注目

中国語圏からの20-30代で1人旅・友人同士の旅行者、家族・親族での旅行者という2つの異なったタイプの旅行者に照準定め、地方自治体や旅行会社などは次々と新たな施策に取り組んでいます。関西国際空港の対岸に位置する大阪府泉佐野市は、夜間・早朝のLCCの便数増加による旅行者増を見据え、2016年に「おもてなし条例」を施行しました。

同条例は、ホテル不足解消のためのもので、宿泊施設を新設する事業者に土地や建物の取得額の5~10%(最大1億円)を援助するそうです。泉佐野市の誘致もあり、市のりんくうタウン駅周辺にホテルの進出が相次いでおり、日本経済新聞によりますと、旅行会社のホワイト・ベアー・ファミリーが2020年に市内で最大のホテルを開業する計画もあるといいます。

泉佐野市のりんくうタウンが近畿などへ移動するための拠点になりつつあるとの見方もあり、付近のホテルやレンタカー業者などが中国語対応の予約サイトを設けたり、ホテルが宿泊だけでなく滞在も楽しめるように屋上に夜景を眺められるバーの設置を検討したり、しているといいます。

また、りんくうタウン以外でも大和ハウス工業は、ファミリーなどのグループ旅行の増加を見据え、大阪市のユニバーサル・スタジオ・ジャパン付近などに3人以上の大人数でも一室に宿泊できるホテルの展開を進めており、今後、都市部を中心に拡大していく計画だそうです。

近年は訪日外国人の旅行スタイルに応じた地域開発やサービス展開が相次いでおり、訪日中国人の消費を取り込むためには、地方自治体や企業のこういった取り組みを一層注意深くみていく必要がありそうです。

中国クルーズ客、2020年までに450~500万人に!?

最後に訪日中国人の利用率は、航空会社に比べまだまだ低いですが、最近にわかに注目され始めた中国のクルーズ船の現状に少し触れたいと思います。国土交通省によりますと、2017年にクルーズ船で入国した外国人旅客数は前年比27.2%増の253.3万人で過去最高となったそうです。

中国発着ツアーが多いとみられ、博多、長崎、那覇などの地理的に近い西日本への寄港が大半を占めているようですが、各地で大型船の受け入れ体制整備や活発な誘致活動が広がっています。特に中国のクルーズ客は増加傾向にあるとみられ、中国政府やクルーズ運行会社などの予測によると、2020年までに中国のクルーズ船利用者は450~500万人に達するとの見込みもあります。

中国国内でクルーズ船の需要が増えているとの見方のもと、中国政府も客船製造を進めており、中国向けビジネスを展開する事業者にとってはクルーズ船に搭乗しているとみられる中国人富裕層の快適な旅をしたいニーズをいかに応えるか、ということも見過ごせない課題なのではないでしょうか。

いずれにせよ、日本での中国向けビジネスの今後は、LCCとクルーズ船での訪日観光客の動向に少なからず影響を受けそうです。

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