中国 中国事情

中国の「二人っ子政策」は功を奏するのか

2017年の中国の出生数は前年より63万人少ない1,723万人でした。すべての夫婦に2人目の子どもを認める「二人っ子政策」が始まった2016年は出生数が大幅に増えましたが、早くも政策効果が消えつつあります。

2017年は出生数減少

中国では2015年の秋に、30年余り続けてきた「一人っ子政策」の撤廃を決めて、2016年から全夫婦に2人目の子供の出産を認めました。それを受けてか、国家統計局によると2016年の出生数は前年より131万人多い1,786万人で1999年以来の高水準でした。

人口問題を担う国家衛生計画生育委員会は、「二人っ子政策」の効果が本格的に表れるのは2018年以降で「2018年も出生数は安定的に増える」と説明していたのですが、しかし、それが政策開始から2年目にして減少に転じてしまいました。

それは、そもそも1人目の出生数が2016年より249万人も減ったためで、2人目出生数の162万人が増えたものの1人目の減少を補えなかったのです。計画委は2015年の一人っ子政策撤廃時には「二人っ子政策で出生数は2千万人を超す」と予測していましたが、どうやらその実現は難しいものとなりそうです。

 「二人っ子政策」の足かせは何か

この30年間に国民を取り巻く環境は大きく変わり、その価値観も大きく変わりました。中国では今や「子だくさん」は必ずしも喜ばれることではなく、「経済的に2人目を育てるのは難しい」との声も少なくありません。その原因の一つは教育費の高さです。塾や習い事の費用が嵩むため、都市部では2人目の出産に慎重な家庭が多いのです。

ちなみに、中国で最も経済的に潤う大都市部で、子育て費用が200万元(約3,450万円)を超える都市は3都市で、北京市276万元(約4,700万円)、上海市247万元(約4,250万円)、広東省深セン市216万元(約3,700万円)です。(この子育て費用には教育費と生活費の両方が含まれます)

そしてもうひとつは、中国では大部分の家庭が夫婦共働きですが、手ごろな価格で安心して子どもを預けられる幼稚園も足りません。過去には豊富にあった安価に子どもを預けられる国営託児所は、ここ数十年でもともとの機能を失いました。民間保育園の1年間の保育料は、中国の大学1年間の授業料より高いそうです。また、20歳代の女性の数も減り、都市部で進む晩婚化や非婚化も影響しているといわれます。

加速する高齢化

一方で、高齢化が加速しています。統計局によると60歳以上の高齢者は2017年には、前年より約1千万人多い2億4,090万人で、全人口に占める比率は前年より0.6ポイント高い17.3%に上昇しました。高齢者を支える16~59歳の働き手は9億199万人と、2012年から6年連続で減少しています。

政府系シンクタンクの中国社会科学院は2017~2022年に18~44歳の人口は計3千万人減るとみており、少子高齢化で年金や医療保険をはじめとする社会保障財政は悪化します。例えば、サラリーマンらが加入する都市従業員基本年金の場合、2016年は総収入の16%にあたる4,630億元(約8兆円)を財政から補填しました。

中国全体でみると1人の年金受給者を約2.8人の加入者で支えている計算ですが、少子高齢化が進んだ東北部の黒竜江省では1人の受給者を1.3人の加入者で支える状況になっています。年金の支え手が少なくなれば、それだけ財政補填は増えるため国家予算を圧迫しそうです。

問われる社会保障制度

中国では、少子高齢化の進展に伴う社会保障制度の整備が進む中で、医療や年金などの社会保障関係費が増加しています。少子高齢化の流れが変わらないことがハッキリしたことで、今後は社会保障支出の抑制策をどう打ち出していくかが焦点になります。年金受給開始年齢の引き上げや年金受給額の削減などが検討課題になっていますが、高齢者らの反発を恐れてか、なかなか実現していないのが実情です。

中国では、中央と地方財政が明確な役割分担をしており、国防費は中央財政が、社会保障については地方財政がその多くを担っています。中国の財政支出については、国防費が何かと注目されますが、社会保障関係費の支出規模はその3倍にもあたり、地方財政の支出が増加しているため中央からの財政移転で負担せざるを得ません。

中国政府は2016年6月に、介護保険制度のパイロット地区として15都市を発表し、2020年を目途に全国導入を目指すとしていますが、制度運営に必要な財源の確保については課題もあり、国民にも給付に応じた負担を求めていく必要がありそうです。

介護保険制度について、中国は、日本などの先行例から、どのような制度を導入した場合、どれほど財政支出が膨らむのかを参考に、国庫の負担やその責任を最小限に抑える構えのようですが、必要以上に給付の範囲を限定すれば、制度そのものが空洞化する可能性もあり、難しい選択を迫られそうです。

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