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中国のエコカー新規制、外資メーカーは対応できるのか

中国の自動車市場に2019年から世界で最も厳しい環境規制「NEV規制」の導入が決まり、外資メーカーが対策に苦慮しています。中国政府は外資に2019年から順次、大量のEV(電気自動車)を造らせ、中国を世界一のエコカー大国にする狙いですが、果たして中国政府の思い通りに事は進むのでしょうか。

NEV(New Energy Vehicle) 規制とは

中国政府は2019年から各社の年間生産台数に応じ、EVまたはPHV (プラグインハイブリッド車)の生産を義務付けました。導入当初にまず3~4%のエコカー生産を義務付け、順次引き上げるといい、独フォルクスワーゲン(VW)など外資は規制に対応した計画を公表したものの、大きな負担を強いる規制には今も反発しています。

NEV規制ではEVとPHVを「新エネルギー車(NEV)」としてひとくくりにし、中国で年間400万台弱を生産する独フォルクスワーゲンなら2019年は約12万台の生産が必要になり、130万台のホンダやニッサンなら4万台ほどです。目安として2019年は年間生産台数の3~4%を新エネ車に切り替える対応が必要となるのです。

このNEV規制は、中国でシェアの大きい外資ほどハードルは高くなります。独フォルクスワーゲンは2025年にEVを150万台、米フォード・モーターは中国販売の7割を新エネ車にする計画を公表しており、ほかにも中国に進出する多くの外資は新エネ車の生産計画を打ち出しています。

中国政府の譲歩

昨年の9月28日に中国政府がNEV規制の導入を正式に発表すると、ある欧米メーカーの幹部は 「今回は、さすがの中国政府も譲歩した」と漏らしました。「中国政府の譲歩」とはNEV規制の導入時期のことなのです。

施行は2018年4月1日からなのですが、自動車の販売台数に占める新エネルギー車の比率要求は2019年からとなり、実質的に1年間の先送りとなったのです。当初案では同規制の導入は2018年だったのですが「早すぎて対応できるはずがない」と多くの外資メーカーが反発したため、中国政府はやむなく導入を1年延期したものです。

外資メーカーの反発

それでも外資には厳しい内容であり、ある外資メーカーは「中国政府は外資に厳しいハードルを課し、中国企業に優位になるよう規制を作り上げた。同規制を詳細に見れば明らかだ」と反発しています。

外資には今後、莫大な投資が必要となる新工場の建設が求められます。2019年までに新工場を軌道に乗せるのはあまりに急で現実的に難しいうえに、さらに外資は中国企業との合弁が義務化されているため、先端のEV技術などが合弁相手の中国メーカーに流出することを恐れ、反発しているのです。

救済措置の「クレジット制度」

中国政府は19年に生産準備が間に合わない外資などに対して救済制度を用意しました。規制をクリアできないならEVやPHVの生産量が多いメーカーから「クレジット」と呼ばれる権利を購入すれば済む制度です。ですが、これもまた中国メーカーに有利な制度なのです。

これまで中国政府は外資を排除し、ほぼ中国メーカーにのみ新エネ車販売を支援する補助金を出してきました。過去4年間で補助金は計1兆円にのぼります。クレジット制度で大もうけするのは、補助金でEV販売を伸ばしてきた中国メーカーなのです。

例えば、エコカー首位の比亜迪(BYD)なら19年以降の3年間で、クレジットの売却で約2,400億円の利益を上げると試算されており、ある独メーカー関係者から「こんな規制は悪法以外の何ものでもない」との声もあがっています。

今のところ、中国政府は規制に違反した場合の罰則の内容については明らかにしていませんが、先進国とはほど遠い法運用を考えると、外資が一方的に厳罰を受けるリスクも否定できません。 ある日系幹部は「こんなむちゃな規制が本当に運用できるのか、見極められない。だから当社の今後の具体的な計画も煮詰まらない」とこぼしていますが、とはいえ、世界最大の自動車市場を前に外資側は譲歩を迫られます。

中国政府はEV時代の到来を盛んにあおり、環境を盾に世論を形成して、NEV規制を正当化しようと懸命ですが、果たして中国がもくろむ政府主導のEVシフトはこのまま進むのでしょうか。今後、2019年の規制導入までに更なる修正が行われるか否かが注目されます。

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