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中国ではスマホが身分証明書に変身?

日本では身分証明をするものとして、昔から戸籍謄本の代わりに個人単位の証明としてはパスポート、運転免許証や健康保険証などが代用されてきました。そして2015年10月からマイナンバー制度が導入されて身分証明や様々なサービスに利用できる「個人番号カード」を発行してもらえるようになりました。中国では、日本とはまた違った動きがあるようです。

中国の身分証制度

中国では家族全員の生年月日、出生場所、民族、国籍等が登記記載された居民戸口簿が各家庭に発給され、これを俗に「戸口本(hukouben)」と呼び、従来、中国国民の身分を証明する手段としては、戸口本が第一義的に使われてきました。

しかしながら戸口本は世帯単位で編成され、しかも一部ずつしか配布されないため携帯に不便であったことから、個人単位の証明証としては「工作証」や「学生証」がありましたが、しかしこれらは、統一化・法制化されておらず、失業者など所属機関からの身分証明を受けられない人々も存在しました。

そして、1978年から改革開放政策が開始されたことにより物と人の移動が活発になり、各分野の交流が拡大して身分証明が要求される対象や頻度も拡大したことから、法的効力をもつ個人単位の身分証明証を国が統一して発給することとなり、全ての中国公民は終生不変の個人番号を有することになったのです。

2003年には、居民身分証条例が改正されて「居民身分証法」が成立し、偽造防止のために非接触式のICカード技術を用いた新しい「第二世代身分証」が公布されるようなり2005~8年にかけて全国実施されました。すなわち、身分証明における個人番号制度は日本より中国が先行していたのです。

「WeChat」を利用した身分証明書の試験運用

中国のモバイル決済の急速な普及に一役買った「WeChat」は登録ユーザ数が9億8000万人で、中国人のスマホ利用者の94%が利用していると言われています。この「WeChat」に新たな機能が追加されました。それは「身分証明証」です。

中国広州市公安局、中国建設銀行など約10機関が2017年12月25日に、インターネットと警察業務を組み合わせた「微警雲(クラウド)連盟」を広州市南沙に設立して、これに合わせて中国では初となる「WeChat身分証明書」の第1号を発行しました。この身分証の所持者は、広州の行政サービス、ホテルのチェックイン、銀行サービス、運送サービスなど、身分証明書の提示が必要な様々な場所で利用出来るのです。

このオンライン身分証は、中国公安部第一研究所が国家プロジェクトとして進めていたもので、今までの身分証カードを電子版としてオンライン化したものです。広州公安局によると、中国の住民全てが持つ「中国居民身分証法」にある身分証の情報をもとに、政府の「インターネット+身分証明書プラットフォーム」を通じて、実際の身分証と対応する唯一の身分証チップから電子データを発行するという仕組みで、インターネット上でも証明書として応用でき、実名の登録が必要とされるさまざまなケースで応用されるといいます。

2018年1月から全土に展開

そして「WeChat身分証明書」が2018年1月から中国全土への展開となり、利便性の向上を歓迎する声があるなか、一方では個人情報の監視がさらに強まるのではないかと懸念する声もあがっています。

二種類の身分証明書

「WeChat身分証明カード」には、「軽量版」と「アップグレード版」の二種類が提供されており、「軽量版」はインターネットカフェ等での身分提示といった日常生活での身分証明に使用されるもので、「アップグレード版」は法人登記等、ビジネスシーンなどでのより厳格な身分証明が必要とされる時に使用するものです。

「軽量版」の場合には、利用者はまずスマホで「個人情報」と「自分の顔のスキャンデータ」をアップロードしますが、「アップグレード版」を利用するには、認証用のアプリを別途インストールする必要があります。

AIによる顔認識技術で判断

「WeChat身分証明カード」では本人かどうかの判断をAIによる顔認識技術を利用します。広州市南沙区公安局によれば、人物の確認を人間が行った場合には15%の確率でミスをする可能性があるといい、一方、AIによる人物確認の場合には誤認率は1%になり人物確認の信頼性が格段に向上するといいます。

また、身分証明書の電子化は紙の身分証明書と比較して偽造が困難になる点や、他者にWeChatIDを乗っ取られた場合には身分証カードのデータを全て削除する機能等も実装しているため、セキュリティが向上するとし、携帯電話から身分証の真正性や有効期限などを検証し、検証過程で個人情報がネット上で転送・保存されることはないといい、携帯用身分証の紛失時に備え、自動削除機能が設けられているといいます。

監視強化の懸念とプライバシー保護

非常に便利に思えるサービスですが、中国のネット上のコメントでは、監視体制が強化されるのではないかと心配するコメントが散見されているとのことです。そういった懸念が有るのと同時に、SNSアプリ上で身分証明書が扱われることになるわけであり、セキュリティは保たれるといえども、プライバシー保護基準の整備も課題になるのではないかと思われます。

スマホによるモバイル決済の浸透に次いで、身分証明書のデジタル化も進むとなれば、中国社会のデジタル化がまた一歩前進するわけですが、そういった「スマホによる社会のデジタル化」も中国固有のスマホ文化なのでしょうか。

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