インバウンド

「インバウンドと税金」訪日観光客への影響は?

近頃、政府観光庁より訪日客に絡む税金関連の話が浮上しています。「免税手続き」や「出国税?」についてのものですが、その実情を調べてみました。

訪日客の免税手続き簡素化

観光庁は、訪日外国人の消費税の免税手続きの簡素化を2018年度税制改正要望に盛り込むとのことです。現在は、化粧品や食品などの「消耗品」と家電製品や宝飾品など「一般物品」を分けて申請する必要がありますが、まとめて申請できるようにして事務負担の軽減で免税店の出店を後押しし、訪日客の購入拡大にもつなげたい意向だとのことです。訪日客は、消耗品、一般物品ともに一つの店舗でそれぞれ5,000円以上(消耗品は50万円まで)購入した場合、消費税が免税となります。ただ、消耗品、一般物品それぞれで申請書を作成する必要があり、手続きが煩雑になっているため、消耗品、一般物品それぞれ5,000円以上なら1枚の申請書で済むようにして、また、消耗品と一般物品をまとめて一つの袋に入れて出国後まで開封できないよう密封した場合は、消耗品と一般物品の合計が5,000円以上なら免税の対象とするといいます。これは訪日客が消耗品と一般物品を同時に購入するケースが多いドラッグストア業界などから要望が出ていたものです。観光庁によると免税店は今年4月1日時点で全国に約4万店あり、今年上半期の訪日客全体の旅行消費額は半期ベースで初めて2兆円を超えました。ただ、中国人観光客の「爆買い」が落ち着いた影響もあり、訪日客1人当たりの旅行支出額は伸び悩んでいますが、政府は東京オリンピックのある2020年に訪日客4,000万人、消費額8兆円の目標を掲げており、観光庁は手続きの簡素化で免税店の出店を促し訪日客の消費を拡大させて目標達成につなげたい考えなのです。しかしその一方でマイナスイメージの税制改正もちらついています。

訪日客らに「出国税」?

訪日外国人旅行者らから税金を徴収する「出国税」構想が浮上しており、安倍政権が掲げる観光立国実現に必要な財源を確保する狙いがあるといいます。徴収した税金は海外での観光プロモーションなどに充てる計画で観光庁が検討を進めているのですが、徴収方法など実現に向けた課題は多く、「現在、諸外国の事例を研究しており、勉強している段階だ」と観光庁の田村明比古長官は7月19日の定例記者会見で明らかにしたものです。政府が5月に策定した「観光ビジョン実現プログラム2017」には「高次元で観光施策を実行するために必要な財源の確保策を検討」と盛り込まれており、観光庁はこの方針に沿って日本人も徴収対象に含めるかなど、具体的な徴収方法などについて検討しているとのことで、2017年7月時点では出国税の税率は決まっておりません。

「出国税」の方向性

現在は諸外国の事例を研究中で勉強している段階とのことですが、方向性としては航空機チケットに上乗せられるという話で、そうなると航空会社はチケット代が値上がりしたように見られるため猛反発しており、旅行業界の反発は必至で実現へのハードルは高いのが現状です。導入時期や規模は示していませんが、参考にする海外の例としてオーストラリアの「出国税」や、出国者の航空運賃などに上乗せする韓国の「出国納付金」をあげています。ただ、日本人の海外旅行客の減少につながりかねないだけに、外国人客に絞って負担を求める案も検討しており、例としてはビザの取得を免除する代わりに渡航認証の申請を課してその手数料収入を財源にする米国の制度も参考案に挙げています。いずれにしても訪日客への負担増となるわけで、今まで順調に進んできた「訪日客増加」の足を引っ張る懸念もあることは承知の上なのでしょうか。一方、海外ではどうなのかというと欧州主要国が「航空旅客税」を徴収しているほか、韓国も空港・港湾を問わず「出国時に納付金」という事実上の税金を徴収しており、米国もビザ免除対象国の国民から「電子渡航認証システム」で14ドル(約1540円)を徴収して観光促進の財源に充てています。

既存の「出国税」がある

既存の「出国税」が有ります。正式には「国外転出時課税制度」といい1億円以上の株式等を有する富裕層が海外転出をする際に含み益に所得税を課税するという制度で、2015年度の税制改正で決定し2015年7月1日から導入されました。すでに日本を除くG7では導入済みということもあり、遅ればせながら日本もこれを導入することにしたもので、日本の世間一般ではこれを「出国税」と呼んでいます。また世間一般には「出入国税」も有り、これはその国を出入国する際にかかる税金のことで、国ごとに決まりがあって名称・金額・徴収方法も異なります。近年では各国の出入国税は空路で行き来する際はすでに航空券購入時に含まれていることが多いのですが、カンボジアやインドネシア、フィリピンなどは出国する航空券のチェックイン時にカウンターで支払ったり別途支払いカウンターが設けられており、現地通貨で支払う必要があります。これを「出国税」と名付けている国もあれば「空港使用料」としているところもあり、「出国税」ならば出国するときに1回支払うのみですが「空港使用料」となると出国時だけでなく乗継でも支払が必要となるのです。ちなみに日本の場合は、「旅客サービス施設使用料」と呼ばれており、成田2,540円、羽田2,000円、関西2,650円、中部2,500円、福岡945円、札幌1,000円と設定されています。

中国メディアが在日中国人の声を紹介

中国メディアが在日中国人の声を紹介しています。日本で仕事をしている中国人男性が「近年、日本では住民税や消費税などの税負担が増え続けており、給料の増加が税金の増加に追い付いていない。もし出国税ができれば、頻繁に帰国する中国人にとっては間違いなく見過ごせないレベルの支出が増えることになる」と語ったといいます。また、日本で観光ガイドをしている男性が「出国税を納めることになれば、外国人観光客が日本を訪れる積極性が大きく下がり、日本の観光市場は一定の影響を受けることになるはずだ」と強い憂慮を示したことを紹介しています。法務省の在日外国人数統計の2015年末の確定値では中国人が1位で30%を占めています(2位は韓国人20%)、税制改正案の結果次第では中国からの猛烈な批判を浴びるかもしれません。

「出国税」は方向性としては「航空機チケットに上乗せられる」という話が出ていますが、例えばビザの種類によって限定するとか選択肢はいくらでもあると思うのですが、いずれにしても「オリンピックを見込んだ悪巧み」と世界の批判を浴びぬようにしてもらいたいものです。

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