2強でシェアは9割にも

中国のモバイル決済の分野では、微信支付(WeChat Pay)と支付宝(Alipay/アリペイ)とで約90%のユーザーをカバーしていると言われています。微信支付(WeChat Pay)のバックにはSNSの巨人とも言える腾讯(Tencent/テンセント)があり、支付宝(Alipay/アリペイ)の背後にはECの巨人である阿里巴巴(Alibaba/アリババ)が控えています。苹果支付(Apple Pay/アップルペイ)が2016年2月に中国に上陸し、iPhoneやiPad経由で中国市場でのシェアを拡大するはずだったのが、この2強を脅かす存在となるには至っていません。

支付宝(Alipay/アリペイ)1強から微信支付(WeChat Pay)が猛追?

2017年5月3日の報道によれば、2016年第4四半期の支付宝(Alipay/アリペイ)を柱とする阿里巴巴(Alibaba/アリババ)側のシェアは54%で、これは2015年第三四半期の71%と比較しても大幅な減少になっているというのです。微信支付(WeChat Pay)を柱とする腾讯(Tencent/テンセント)のほうはどうだったかというと、同じ期間に16%から37%へと拡大しています。中国のモバイル決済が最初はECでのショッピングの決済から発展していったことから、阿里巴巴(Alibaba/アリババ)傘下の淘宝(タオバオ)と天猫(T-mall)が中国のECの主流であったので支付宝(Alipay/アリペイ)がモバイル決済のスタンダードとして中国の消費者の間に認識されていました。しかし腾讯(Tencent/テンセント)のメッセンジャーアプリである微信(WeChat)が広まるにつれて、メッセージのやりとりだけではなく、お金のやり取りも微信(WeChat)を介して行うようになり、P2P ペイメントから利用が広がりを、急速に台頭していったのです。現在の熾烈な競争のもとでは、両者ともモバイル決済事業はせいぜいコストをカバーするにとどまり、収益を上げるところまではいっていないと言われています。現在の2強の目的は眼の前の収益ではなく、より魅力的なユーザーの支出関連データを蓄積することだという見方もあるようです。

支付宝(Alipay/アリペイ)は金融信用サービスを基礎に

支付宝(Alipay/アリペイ)は決済サービスとして消費に関するさまざまな機能を提供しています。その使用領域はオンラインからオフラインにまで広がっていて、水道光熱費の支払いから病院の予約といった生活の隅々にまで浸透しています。さらに個人信用評価の「芝麻信用」とバーチャルクレジットカードと言ってもいい「螞蟻花唄」の機能も加わっています。「芝麻信用」のサービスの対象はアリババの商品のカテゴリーだけにとどまらず、この信用のポイントが高いとホテルやレンタカーの利用で優遇が受けられたり、信用記録が良好な場合には、シンガポールやルクセンブルクのビザをオンラインで取得することまで可能になっています。また、資金運用機能も加わっています。信用ポイントを上げるために支付宝(Alipay/アリペイ)を使うユーザーも居るとも言われ、支付宝(Alipay/アリペイ)のバックボーンはECを通じて得られるビッグデータや資金を基礎とした金融信用サービスであるということは一つのポイントです。

「紅包文化」を変えた微信支付(WeChat Pay)

一方、微信支付(WeChat Pay)はソーシャルネットワークやオンラインゲームでの有料コンテンツ対する課金決済をその基礎としています。現在では微信(WeChat)でも水道光熱費の支払いや資金運用などの機能も追加されていて、支付宝(Alipay/アリペイ)とほぼほぼ同様の機能を有しているのですが、微信支付(WeChat Pay)を特徴づけるものとして代表的なのは紅包(ご祝儀・お年玉)機能です。SNSでのフォロワー同士でオンラインでご祝儀を贈れるのですが、この機能がこれまで現金を「赤い祝儀袋」に入れて贈っていた伝統的な中国の「紅包文化」に一種のイノベーションを引き起こしたとも言われています。

両者は実は同じ土俵では争ってはいない?

このようにバックグラウンドの異なる支付宝(Alipay/アリペイ)と微信支付(WeChat Pay)とが正面からぶつかり合って争いをしているかというと、実はそうとも言い切れないのです。ユーザーは明らかにこの2つのモバイル決済のシステムを使い分けている傾向が見られるのです。一般的に言われるのは支付宝(Alipay/アリペイ)に入れている金額のほうが多く、またその支払先も多岐にわたり、オンライン・オフラインでの支払いの他に、保険、クレジット、資金運用などの利用が見られ支払額も高額であるという傾向があるようです。逆に微信支付(WeChat Pay)のほうは、利用が比較的少額で、紅包(ご祝儀・お年玉)やネットゲームなどでの課金や少額の買い物の支払いに集中する傾向が見られるようなのです。ある人は、支付宝(Alipay/アリペイ)は「金融生活全般のバトラー」であり、微信支付(WeChat Pay)のほうは「小銭入れ」であるとその特徴を言い当てています。この両者の今後の争いですが、取引件数でいうならば、微信支付(WeChat Pay)が優勢になることは間違いありません。しかし取引件数にどれだけの意味があるのか?という指摘もなされています。例えば誰かから受け取った10元の紅包(ご祝儀・お年玉)を他の誰かに贈っても、そういうやりとりが積み重なれば確かに取引件数や取引金額は増えますが、最初の10元から価値が生み出されるわけではないというのです。そういうやり取りは手軽に行われるので、淘宝(タオバオ)や天猫(T-mall)などでのショッピングよりも累計の金額や件数は多くなるかもしれませんが、そのような数字が支付宝(Alipay/アリペイ)の取引件数や取引金額を上回ったとしても、実質的にはあまり意味がないというのです。ユーザーが使い分けをしているのに、同じ尺度を使ってこの両者を比較すること自体どれだけの意味があるのか考えてみることは必要かもしれません。

モバイル決済手段から見えてくるもの

支付宝(Alipay/アリペイ)は金融体系の一部として決済があり、支付宝(Alipay/アリペイ)はその決済手段と位置づけているようです。金融分野ででより重要なのは信用リスク管理なので、阿里巴巴(Alibaba/アリババ)としては、支付宝(Alipay/アリペイ)上での金融取引を今後は伸ばすことで、信用リスク管理の力を蓄え、新しい金融システムを確立して収益性を高めることを狙うとも言われています。支付宝(Alipay/アリペイ)はあくまでもこれから構築しようとしている新しい金融体系の一部であって、決済手段だけで完結するものではないということです。腾讯(Tencent/テンセント)は、「全てをつなぐ」ということをコンセプトにしているて、自らの立場を「つなげるもの」と位置づけています。ソーシャルの領域では人と人とをつなげ、金融の領域ではユーザーと金融業界とをつなげるというのです。阿里巴巴(Alibaba/アリババ)がどちらかと言うと新しいものや変革を目指しているのに対して、腾讯(Tencent/テンセント)は金融分野の安定と健全性に重点を置いていて、多くのパートナーと提携していくことで腾讯(Tencent/テンセント)の目指す金融体系を確立していくことを狙っているようです。よりよいサービス環境やチャンネルなどのインフラを作り上げて多くのパートナーをそこに引き込むことでエコシステムを構築していこうとしているのです。微信支付(WeChat Pay)がオフラインでの提携に力を入れていて、オフラインでの取引額では支付宝(Alipay/アリペイ)を上回っているのもこのような文脈から見れば納得できそうです。腾讯(Tencent/テンセント)も微信支付(WeChat Pay)は金融体系の一部であり、ユーザー同士あるいはユーザーと業者とを結びつけるツールという位置づけをしているのだと指摘もあります。支付宝(Alipay/アリペイ)と微信支付(WeChat Pay)との争いは今後も続いていくでしょうし、いろいろな場面で話題になると思います。決済手段は金融体系の入り口であるのと同時に、阿里巴巴(Alibaba/アリババ)や腾讯(Tencent/テンセント)の今後の戦略や思想などが窺える「窓」にもなっているのかもしれません。

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