越境EC

爆買い収束後の越境ECに追い風が吹く理由

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「爆買い」から越境ECへのシフト

日本政府観光局(JNTO)のデータによると、2016年の訪日中国人の1人当たり旅行支出は、2016年4月に行われた中国当局による税制改革を契機に下降線をたどり、23万1504円と前年比18.4%も減少しました。一方、2015年の中国の日本からの越境ECでの購入額は7956億円であったのが、2016年は1兆円を上回ることが予想されています。旅行支出が減少し、越境ECの消費が増加していることからも「爆買い」が収束し、中国人の海外商品の消費の軸が越境ECにシフトしていることが明らかになっています。中国向け越境EC市場は、天猫国際(国際T-mall)や京東(JD.com)がモール内に国や地域ごとの専門館をオープンしたこともあって、各国企業の出店が急増しています。日本企業による中国ECサイトへの旗艦店出店も続出しました。その結果、商品数も増加して越境EC市場は拡大を続けています。今後も中国の日本からの越境ECによる購入額は伸び続け、2019年には2兆円を上回るとの予測もあります。ここからは、中国の越境EC利用が急激に伸びている背景を考えてみたいと思います。

消費者層の変化

2016年の中国人1人当たりの国内総生産(GDP)は8200ドルに達し、可処分所得も前年度比で8.4%増えています。ECサイトで買い物をするユーザーが最も重視するのが商品の品質だと言われています。可処分所得が増えていることで、コストパフォーマンスの高い海外商品のニーズが上昇傾向にあります。これまで日本の製品やサービスは、高機能・高品質であることが認識されながら、価格の高さがネックとなってなかなか市場に浸透しない側面がありました。「高機能すぎて現地ニーズに合わない」とか「日本のコスト高が価格に反映されてローカルの低価格商品にかなわない」などという声が多くあったのですが、そうした高機能・高品質の商品を消費できる層が増えてきているのです。国際通貨基金(IMF)の予測では、中国の一人当たり国内総生産(GDP)は2020年時点で約1万2000ドルになると見られています。中国市場においては質の高いライフスタイルを追求する消費者の層が厚みを増し、製品やサービスに求めるレベルが今後も持続的に高まる傾向にあるといってもよいでしょう。

「C2CからB2Cへ」狙いは監督強化とサービス向上

中国政府が始めた「保税区」(越境EC試験区)の運用が本格化し、海外企業の利用が進んでいます。「保税区」(越境EC試験区)方式は、コンテナ船や航空貨物便を利用して商品をまとめて保税区に送り、中国国内の保税倉庫内に商品を保管しておく方法です。2013年から上海、重慶、杭州、寧波、鄭州の各拠点でスタートした「保税区」(越境EC試験区)は現在、中国全土の都市に広がっています。この越境EC試験区の制度はこれまで暫定的な位置づけでの運用だったのですが、中国政府は2016年4月から保税区を活用した越境ECを「輸入における一般的な制度」として位置付けました。この政策の狙いは越境ECの分野での「C2C」と呼ばれる消費者間取引の比率を下げ、課税など行政の監督の及ぶ、企業と個人間取引の「B2C」取引の比率を増やしていくことにあります。また、「保税区」を活用した物流は、従来の直送方式(日本から中国に個別配送する方法)や正規通関商品(一般貿易方式)に比べ、コスト面や配送スピードなどで圧倒的な優位性があります。「保税区」の活用により、これまでよりも短い配送期間、かつ低コストで中国消費者は海外商品を手にすることが可能になってきました。

日本と中国の思惑が一致する

「爆買い」収束後の挽回策として、日本政府が日本企業の中国の越境ECへの進出を後押ししようという動きが見られます。2013年に発表された政府の「日本再興戦略」では、海外展開を行う中小企業・小規模事業者の数を2017年度末までに新たに1万社増やすことを目標に掲げています。今年がこの目標達成の最後の年になるので、政府としても本腰を入れて取り組むことが予想されます。この数値目標の達成に当たり、中小企業の海外展開の手段として越境ECが注目されています。新たな販路開拓手段として現地法人を設立して中国に市場に乗り込むことは中小企業にとってはハードルが高いのですが、越境ECでは事業拠点は日本に置いたままで中国に市場を拡大できます。ですから、越境ECは数値目標達成のためにも格好のモデルなのです。政府でも「爆買い」収束後の挽回策として、国内企業の越境ECへの進出を支援することを検討するとしています。これまでにもTPP交渉参加国を主な対象にして新たに越境ECサイトを出店または構築する事業者に対して、その出店やサイト構築等に要する経費の一部を補助する制度があったのですが、2017年には中国向け越境ECを意識した新たな支援制度が打ち出されるかもしれません。一方中国側の思惑ですが、中国では景気の減速感が見え始めていて、今後の景気を下支えするのが個人消費であり、そのためにも内需拡大が重要なテーマになっています。そこで、中国政府は海外から持ち込まれる製品に対する関税を引き上げ監督体制を強化して、爆買いや直送方式を抑制し、国内消費扱いとなる越境ECの普及・拡大に積極的に取り組んでいます。越境ECの拡大によって海外商品の増加や新たな消費観念の導入が起こり、消費構造のグレードアップを行いながら、消費拡大を牽引することが期待されています。このように中国向け越境EC市場の拡大という方向性では、日中両国政府の思惑が一致しているので、中国向け越境EC市場への進出に対して、2017年には追い風が吹くと期待してよいのではないでしょうか。

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