WeChat Payが王者アリペイを猛追! 銀聯は実店舗に加えネットでも拡大

中国で現金が消える!?そんな時代がもうすぐそこに来ているのかもしれません。2015年からインターネット上の電子決済サービス大手、アリペイとWeChat Payが相次いで実店舗に本格参入し、中国国内の電子決済サービスは激しい利用者争いを繰り広げています。また、従来から中国国内の貧困層にまで幅広く浸透しておりデビット機能を持つ銀聯カード(Union Pay)は、実店舗に加え、増えるネット取引にも利用され、用途を拡大しています。

オンライン決済では王者・アリペイをWeChat Payが猛追し、銀聨もこれを追いかけます。実店舗では王者・銀聨にアリペイ、WeChat Payが迫るなど、オンライン、実店舗とも三つ巴の様相になりつつある中国の電子決済サービスはどこへ向かっていくのでしょうか。現状や展望を見ていきたいと思います。

中国の3大決済方法の概要

銀聯(Union Pay) 支付宝(Alipay) 微信支付(WeChat Pay)
決済のタイプ デビットカード オンライン決済サービス オンライン決済サービス
設立時期 2002年 2004年 2011年
設立 中国銀聯(中国の80以上の金融機関が共同で設立) アリババグループ ※テンセント
設立目的 加盟銀行間をオンラインで結ぶことで各銀行間の決済を実現 タオバオをはじめとしたネット通販サイトの決済 WeChat内でのオンライン決済、QRコード決済
中国オンライン決済シェア 約10% 約50% 約20%(テンセント全体)
主な特徴 与信審査や信用情報を得る必要がなく、誰でも利用することができる。 買い手は決済前に商品を受け取れ、売り手は代金未収リスクを回避 WeChatと連携したサービス
利用者数(発行枚数) 13億人以上(50億枚以上) 3億人以上 2億人以上
加盟店(業務提携先) 世界2600万店以上 中国170の金融機関と提携 中国などの金融機関、小売店
主な利用先 量販店、百貨店、ショッピングモール、ドラッグストア、ホテル、大手銀行ATMなど タオバオ、Tmallをはじめ46万以上の中国企業のウェブショップ、オンラインゲーム、通信、ビジネスサービス、チケット販売、公共料金などの決済 ウェブショップ、コンビニ、総合スーパー、レストラン、駐車場、チケット販売、公共料金などの決済
利用可能な国 日本、米国、韓国、シンガポール、ドイツ、フランス、オーストラリアなど150カ国以上 14カ国の主要外貨で取引サポート   中国、日本、韓国
日本でのサービス  三井住友銀聯カード、ANA銀聯カード、MUFG銀聯カード Alipay国際決済 WeChat Pay
※中国のインターネット関連会社

決済だけじゃない!割り勘、高利息も アリペイ、WeChat Pay

中国の実店舗の電子決済サービスを独占していた銀聨を脅かすまでに普及したアリペイ、WeChat Payですが、そのすごさは何でも決済できてしまうだけではありません。ネット通販の代金や公共料金、チケット代はもちろん、お財布携帯機能を通じて小売店や飲食店といった加盟店の実店舗でも利用できるなど、日常生活に必要なサービスをすべてアリペイやWeChat Payで支払うことができると言っても過言ではないでしょう。また、お年玉など現金のプレゼントや割り勘支払いの際に、アリペイやWeChat Payを通じて相手に代金を支払うことも可能です。

アリペイでは、ほとんどのサービス料が無料のほか、中国国内の銀行口座からリアルタイムにアリペイにチャージでき、銀行口座に返金する際も迅速に行えます。さらにお金を預金サービス「余額宝」にチャージしておくだけで利息がもらえるサービスも存在するなど、その利便性やお得さが多くのユーザーから支持されています。

WeChat Payでは、中国版LINEと言われる微信(WeChat)のコミュニケーション機能を利用した取引が頻繁に行われています。知人やソーシャルバイヤーとタイムリーに買い物の情報交換ができ、その場で注文を受けて代金を受け取れるため、中国人観光客の“爆買い”に繋がっているケースもあります。

現金よりも銀聨カード!? 中国カードシェア、9割超

アリペイ、WeChat Payがインターネットユーザーにしか普及していないのに対し、銀聨カードは中国国内で、財布に現金は入っていなくても銀聨カードが入っていないことはない、と言っても過言ではないほど普及しています。VISAやMasterCard、アメックス、JCB、ダイナースクラブの5大国際ブランドよりも銀聨カードが普及しており、中国でのカードのシェアは90%を超えています。

2002年に発行された銀聨カードの累計発行枚数は50億枚を超えると言われています。政府の後押しもあって中国全土、富裕層から貧困層まで幅広く浸透しており、これまで中国の電子決済サービスを独占してきたと言えるでしょう。中国での普及率の高さに加え、世界中で利用でき、ネット上での決済サービスも整備されていることから、海外旅行の買い物やネット通販の代金支払いに利用されるなど、利用用途が広がっています。

三つ巴の勝者はいない? 戦いの舞台は世界へ

アリペイ、WeChat Pay、銀聨の三つ巴の戦いの行方はこの先どうなってしまうのでしょうか。この先の勝者が気になるところですが、現在のところ決着が付きそうにありません。その理由は、中国の人たちがこれら3つの電子決済サービスを使い分けていると考えられるからです。中国全土や世界中で利用できる銀聨カードはなくてはならないものですし、インターネットユーザーであれば淘宝や天猫などでのネット通販の決済にはアリペイは欠かせません。また、コミュニケーションツールとして幅広く普及しているWeChatでの送金や支払い機能は親しい間柄での新しいコミュニケーション手段になりつつあります。

中国の電子決済サービスの利用者が、生活スタイルによってそれぞれのサービスを使い分ける中、アリペイ、WeChat Pay、銀聨は、中国国内でのサービス向上に取り組むとともに、海外市場の開拓にも力を入れます。日本ではすでにいずれのサービスも利用でき、迅速かつ円滑な決済により、中国人観光客などの買い物に役立っています。

今後、中国の人たちがネット通販や旅行などを通じ海外に一層目を向けていくことが考えられます。その時に電子決済サービスでどのように中国と外国との架け橋になれるのか、それぞれの強みをいかした取り組みやニーズに応じたパートナーとの連携が求められています。

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